日本での展開に注力するOpenAI――「AIエージェントの1年が始まる」とライトキャップCOOが語る理由:本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/4 ページ)
OpenAIの商業部門において製品戦略などを担当するブラッド・ライトキャップCOO(最高執行責任者)が、日本法人設立1周年に当たってインタビューに応じた。同社が提唱する「エージェントの1年」たる2025年がどのような年になるのか、聞いてみよう。
「オープンウェイトモデル」の提供を目指して
逆説的ではあるが、OpenAIが約1年前にアジア初の現地法人としてOpenAI Japanを開設したのは、AI導入への意識が強い日本市場においてパートナー企業と“実際のビジネスの現場”における協力関係を築き、それをAIエージェントの開発につなげたかったのかもしれない。
事実、ライトキャップCOOはこのように語った。
日本市場が新しい技術の採用と社会への組み込みに対して高い適応性を持っていることが、今回の急速な成長を支えました。日本の文化にはテクノロジーが深く根付いており、早くからビジネスプロセスや日常生活においてAIを導入する土壌が整っています。
また、日本オフィス(OpenAI Japan)のスタッフの成長や熱意も素晴らしく、非常に心強い結果となりました。
日本オフィスことOpenAI Japanのメンバーはこの1年間で約30人にまで拡大し、日本におけるOpenAIのサービスの週間アクティブユーザー(WAU)数は3倍以上となったという。
この成長により、日本は世界的に見てもAIツール/アプリケーション開発者向け市場としてトップ5に、ビジネスユーザー向け市場としてもトップ3にまで事業規模が拡大したそうだ。
ライトキャップCOOによると、日本のSIer(システムインテグレーター)や開発者たちは、驚くほどにOpenAIの技術を積極的に活用し、“情熱的”とさえ表現できるものだという。
ただ、そうした良好な関係の中でも、一部の顧客は開かれたクラウドベースではなく、オンプレミスでの実装を望んでいるともいう。このニーズについて、ライトキャップCOOはこう話す。
多くの顧客は先進的な、大規模AIモデルを動かすためにクラウドでのAI実装を望んでいます。(企業にとって)最先端のAIモデルを動かす設備を用意するハードルは高いですからね。
一方で、セキュリティやコンプライアンス上の観点からオンプレミスでなければ(AIを)活用できない領域があることも確かです。既に明らかにしているように、私たちは近く「オープンウェイトモデル」を提供することを約束しています。
「オープンウェイトモデル」とは、開発者自身がパラメーターを調整して、特定のタスクやデータセットに最適化させることを可能とする、AIモデルの新しい提供方法だ。
AIモデルを自社システムに適応させることで柔軟性が大幅に向上し、独自のデータセットを使った高度なチューニングも可能となる。
もちろん、ウェイトパラメーターを把握/カスタマイズできるため、透明性も高めることができる。特定のタスクに特化した、専門性の高いAIモデルを作ることもできるため、AIエージェント開発のスピードも早めることができるだろう。
今のところ、どのようにしてオープンウェイトモデルを提供すべきなのか、その方法やオープンウェイト化することで、どのような展開が行えるのか、それを利用してユーザーが何を行いたいかについて、コミュニティーからのフィードバックを受けながら作業しています。
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