日本での展開に注力するOpenAI――「AIエージェントの1年が始まる」とライトキャップCOOが語る理由:本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/4 ページ)
OpenAIの商業部門において製品戦略などを担当するブラッド・ライトキャップCOO(最高執行責任者)が、日本法人設立1周年に当たってインタビューに応じた。同社が提唱する「エージェントの1年」たる2025年がどのような年になるのか、聞いてみよう。
AIエージェントは「顧客と共に創出するもの」
そもそも、OpenAIはAIエージェントについてどう考えているのだろうか。ライトキャップCOOはこう語る。
エージェントは、単一のパッケージ製品に収まるものではありません。我々が「エージェント」と呼んでいるのは、単独の製品や機能ではなくいくつものAIモデルを使いこなすことで新たに出現した、自律的にタスクをこなす能力のことです。
さまざまなAIモデルを組み合わせ、自律的に動作できるようにすることで、極めて高い信頼性でタスクをこなし問題解決を行う――それがAIエージェントであるという考え方だ。
一方で、多種多様なAIツールをどのようにして使い分け、タスクをこなす上での最適解を見つけ出すには、こなすタスクや目標(ゴール)ごとに“使いこなし”を工夫する必要がある。
多様なエージェントを構築し、導入現場に適応させていくためには、1つのアプローチだけでは対応できません。異なるビジネスの現場では、それぞれにエージェントのユースケースが出現するはずです。
コーディングや情報探索、ツール活用など、ビジネス環境において現実的なユースケースは、AI導入への“壁”が少ない企業と共に生み出していくものだと考えています。
ライトキャップCOOが語ることを象徴する存在として、OpenAIは「Operator」という実験的なシステムを公開している。現時点では、「ChatGPT Pro」契約者のみ利用可能だ。
OperatorはAIチャットサービスにWebブラウザを内包させ、それを介してAIが依頼したタスクを自律的にこなそうとする。ネットにはさまざまなサービスが存在するが、検索サイトを通じて必要なサービスやツールを探し出し、そのユーザーインタフェース(UI)を“視覚的に”理解しながら実行しようとするものだ。
実際に使ってみると、うまく動かないケースや、必要なツールを見つけられない場合もある。しかし、Operatorは「エージェント」という機能を知る上で、もっとも“分かりやすい”例の1つといえる。
ライトキャップCOOは「Operatorの実装は、初期段階の一例にしかすぎません。しかし、ここで経験を積むことでユーザーがどのようにしてタスクをこなそうとしているのかを知ることができます。パートナーと共に、エージェント開発を通じて顧客の問題解決を図ることが、私たちの狙いです。実際の現場におけるエージェント開発を通して、 AIはエージェントの時代に突入していくでしょう」と語る。
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