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メモリ不足によるPC高騰が直撃! Windows 10 ESU延長の裏事情と「脱Windows」の現実味Windowsフロントライン(2/2 ページ)

Microsoftは、コンシューマー向けWindows 10のESU(拡張セキュリティ更新プログラム)の提供期限を2027年10月まで延長した。この背景には、深刻なメモリ供給問題によるPC価格の大幅な高騰があり、ユーザーにWindows 11への移行猶予を与える狙いがある。ESU延長の裏にあるMicrosoftの思惑と、2027年以降に待ち受けるプラットフォームの課題を考える。

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Windows 11への移行ができないとどうなるのか

 サポート切れのWindows 10を使い続けるという人がいるかもしれないが、昨今のセキュリティ事情でのリスクの高さを考えると非常に危うい。

 取り得る選択肢の1つがWindowsではないプラットフォームの選択だ。macOSはハードウェアそのものを買い換える必要があるため、有力な選択肢としてはLinuxやそれをベースにした派生OS(Androidなど)ということになる。

 まず代替OSとしてのAndroidだが、実際に利用されるケースは増えている。典型的な例では、サイネージや(小売店舗の)POS、SaaSアプリケーションなどWebブラウザでの動作に特化した特定用途向けのデバイスだ。

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 もともとサイネージでWindowsを利用するケースは多かったが、近年ではこれをAndroidで代替することが増えている。駅などの商業施設の案内表示がWindowsのエラー画面を出して止まっている風景をよく見かけるが、これをサポート切れOSではなくAndroidで置き換えてしまおうというものだ。

 POSや特定業務端末など、ファーストラインワーカー向けのデバイスにAndroidを使うケースも増えている。Webブラウザさえ動作すれば問題ないため、Windowsアプリケーションの互換性を気にしなくていいのがその理由だ。

 またAndroid(実際にはAOSPをベースにしたカスタマイズ済みOS)を活用することで、Intuneを含む既存のデバイス管理ソリューションが利用できるほか、Android向けに構築されたアプリをそのまま流用することも可能だ。x86だけでなくArmプロセッサのデバイスも選択肢として選べるメリットもある。

 企業システムを、Linuxベースで構築し直してしまうという動きもある。かつて、Microsoftという一企業へのロックインを嫌い、Linuxを含むオープンソース系OSやアプリケーションでシステムを固めるというムーブメントが、特に欧州で盛んになった。

 その急先鋒として知られていたのがドイツのミュンヘン市だが、後にLinux+LibreOfficeで構築されていたシステムをWindows 10+Microsoft Officeに置き換え直すという動きがあった。

 同市が採用していたのはUbuntuを専用にカスタマイズした「LiMux」というOSだが、サポート契約更新時における管理コスト負担の増大を理由としており、当時のミュンヘン市長が親Microsoft的で、それが更新判断に影響したという意見もあり議論となっていた。

 だが現在、再びこれをLinuxを含むオープンソースベースのものに戻すムーブメントが起きつつある。特にドイツ、フランス、スイスなどで顕著だが、昨今の米国の(特にトランプ政権の)動きに懸念を抱いたこともあり、(税金で運営されるような)公的機関では可能な限り“オープン”な製品を採用していくという考えだ。


ドイツのミュンヘンにあるマリエン広場に面した市庁舎

 実際、ここ最近になってオープンソース移行に踏み切った自治体の事例がある。デンマークに陸路を接するドイツ北端部のシュレスヴィヒ=ホルシュタイン州(Schleswig-Holstein)では、3万台のWindows業務端末をLinux+LibreOfficeに移行したことで話題になった。

 結果として1500万ユーロのライセンス費用の削減に成功したというのが同州の主張だ。同州のオープンソースソフトウェア(OSS)移行の特徴の1つが、ハードウェアをそのままにソフトウェアのみを移行した点にある。

 4万4000以上のメールアカウントやその内容をそのままに、新システムへの切り替えに成功しつつある。メディアの分析ではWindows 10 EOSに伴うESUへの支払いやハードウェア更新コストを嫌った結果としているが、実際にESUを使ってもサポート期限は3年間しか延長できず、少なくともハードウェアの耐用年数程度は継続して使い続けることで、ライセンス費用を削減できるという狙いがあったのは確かだろう。

 こうしたものはエンタープライズ市場全体からみればまだ微々たる水準で、今回のように特徴的な事例としてピックアップされるにとどまる。実際、デスクトップOS全体に対するLinuxのシェアはほとんど変動しておらず、依然としてWindowsが圧倒的優位にある。

 ただ、中国やインドなど多くの人口を抱える国々ではMicrosoftという外国の特定ベンダーに“生殺与奪権”を握られることを嫌い、実際に独自のLinuxディストリビューションを開発して普及活動を続けるなど、やや無視できない動きも存在する。

 これが昨今のPC価格という事情と、ハードウェアの買い換えを要求するWindows 10 ESU提供の“見えている”終了と合わせ、2027年の動きに注目かもしれない。

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