レビュー

自作沼への入り口か? ロジクールGの新ゲーミングキーボード「G512 X 75」は“盛り込みすぎ”な意欲作だった(3/5 ページ)

ロジクールのゲーミングブランド「ロジクールG」から、新たな有線ゲーミングキーボード「G512 X 75」が登場した。カスタムキーボードカルチャーの領域に大きく踏み込み、編集部内でも「キワモノ」とどよめきが起こった本機の真価を、詳細なレビューで解き明かす。

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マルチアクションを助けるSAPPリング

 中でもマルチアクションはユーザーの明示的な意図による操作を拡張するものであり、軽く押して前進、深く押してダッシュ、というような使い方ができる。だが、その2つを思い通りに使い分けるには繊細な指先の感覚が必要だ。

 そこをサポートしてくれるアイテムが小さなゴム製の「SAPPリング」だ。SAPPはSecond Actuation Pressure Point(第2のアクチュエーション加圧ポイント)の頭文字で、磁気アナログスイッチの軸回りに装着して使う。

 SAPPリングを装着すると、その厚みによってトラベル長2.6mmくらいのところで行き止まりとなる。だが、ゴム製なので少し力を込めるとさらに押し込むことができる。この仕組みによって「普通の力での入力」と「そこからぐっと押し込む」の2段階の区別が容易になる。

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 一方で、ゴムのリングを挟む分、装着したキーの押し込みの感触は素の磁気スイッチとは変わってくる。通常のキーが底打ちするときにカツンと音が出るのに対して、SAPPリングを装着したキーはキーが戻るときにスポンというような裏拍を打つ音になる。

 物理的にトラベル距離が短くなる違和感はあるものの、個人的にはぐっと押し込むキーという感覚の恩恵の方が大きかった。


マルチアクションは、キーを押し込んだ量で異なるアクションを起こす機能だ

SAPPリングを装着したところ。アナログスイッチのマルチアクションが感覚的に分かりやすくなる

 SAPPリングは5個付属するが、用途から考えても十分だと言えるだろう。だが、磁気アナログスイッチの9個は少ないように感じた。

 対応する41キーを全てアナログ化するには全く足りず、WASDキーと矢印キーを置き換えた時点で残りは1個という計算になる。FPSの移動系に絞れば最低限+予備といったところではあるが、「自由に組み替える」というには心もとない。

 ロジクールから別売で販売されていれば「本体に付属しているのは必要最小限で、がっつりやりたい人は追加購入するもの」と解釈できるが、現時点では純正品の販売はない。なお、プレス向け発表会の資料では「主要なアナログスイッチおよびメカニカルスイッチの多くに対応」とあるため、自己責任でトライする価値はありそうだ。

 もっとも、この「一部だけアナログ可」という割り切りを、フルアナログ機の廉価版と見るか、思想の違いと見るかは評価の分かれ目だろう。

 Wootingに代表されるフルアナログキーボードや「Razer Huntsman V3 Pro」、SteelSeriesの「Apex Pro TKL Gen3」といった競合は、全キーをアナログ検知で固める方向に進んできた。

 一方のG512 X 75は、テキスト入力や普段使いはメカニカルのタイプ感で、勝負どころのキーだけアナログで、という使い分けを前提に設計されているのだろう。混在させることこそが他のキーボードにできないことであり、全てをメカニカルもしくはアナログで使いたい、という人がG512 X 75を選択する理由はほとんどない。

 また、スイッチの交換に使用するキーキャップ/キースイッチプラーは非常にユニークな方法で本体に収納できるようになっている。本体底面のゴム足に切れ込みがあり、そこにかぶせることで8度の傾斜を持つスタンド足になる。出先でのカスタムにも死角がない(実際に行う人がいるかは不明だが)。


キーキャップとキースイッチプラーが付属する。それ自体は珍しくないが……

本体底面にある、意味ありげなゴム足の切り込みに合わせると……

約8度の傾斜を持つスタンド足になる

本体のみだと傾斜は4度だ

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