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ノコギリで切る!? ヤスリで削る!? 「木ーボード DIY Kit」にチャレンジ!(前編)ちょっと気になる入力デバイス

ちまた(の一部)で熱烈な注目を集めている木製キーボードの自作キットが「木ーボード」だ。その出来栄えはどうなのだろうか?

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自作する“木製”キーボードが「木ーボード DIY Kit」

「木ーボード DIY Kit」のパッケージ

 CEATEC JAPAN 2007において、ひょんなことで発見された山口工芸が企画する「木ーボード」。ふんだんに木を使ったキーボードをこちらで記事にしたところ、かなりの反響があったという。

 「そういえば、無事にあの木ーボードも発売されましたね」などと最近では“マイ ノートPCを組み立てる”など妙に自作づいている編集者と雑談していたところ、「無理をして手に入れたので、まぁサクッと自作してくれたまへ」といって手渡されたのが、今回紹介することになった「木ーボード DIY Kit」だ。見たところパッケージは非常にシンプルにまとまっているが、果たしてどのようなストーリーが待ち受けているのか。

 福井県で木工製品や漆器製品を生産する山口工芸では、木のぬくもりやよさといったものとデジタル機器の融合を目指したHacoaブランドを展開中だ。

 この木ーボードもその一員で、ほかにも携帯電話の木製カスタムジャケットをはじめ、USBメモリキーキーボードスタンドマウスパッドなどを多彩にそろえている。

 木ーボードシリーズは、109キーの「フル木ーボード」や、「木ーボード〜樹魂(じゅこん)〜」といった完成品をラインアップしているが、前者は26万2500円、後者でも5万400円と気軽に買うのにはハードルが高いのが難点だった。そこで、手間のかかる製作の最終工程をユーザーに託してコストダウンをはかるとともに(3万4800円)、ユーザーに“マイ キーボード”を作る喜びを提供してくれるのが、「木ーボード DIY Kit」というわけだ。シックなウォールナットと明るいメープルのラインアップから、今回は前者を組み立てた。

木ーボードはHacoaブランドの一員だ(写真=左)。こちらは完成品の109キーを備えた「フル木ーボード」(写真=中央)と「木ーボード〜樹魂(じゅこん)〜」(写真=右)。価格はそれぞれ26万2500円と5万400円となっている。後者は好評で今注文しても納期は2カ月後とのこと

お手軽なオールインワンパッケージだが……

 さて、DIY Kitとうたうだけに、どの程度までが“Do It Yourself”なのかを確かめるべく、早速パッケージを開封してみた。

 まず箱を開けて驚くのは、1列に並んだ木の板たちだ。ある程度は想定していたとはいえ、まるでチョコレート板のようにキーがくっついて並んでいる姿には思わず笑ってしまった。このキットに付属するキーボードは10キーを省いた小型タイプなので、キー数は全部で89個となる。これが6本の木の板にまとまっているわけだ。説明書によると“木ートップ”がまとまっているという表記になる。

 そのほかパッケージには、小型ノコギリに小型ハンマー、マイナスドライバー、合計90個を越えるジョイントパーツ、2種類のサンドペーパーに加え、両面テープやスポンジ(反発材)のほか、作業台やサンドペーパーをはり付ける研磨補助材、そして組み立て説明書と作業に必要な工具がすべてまとまっている。ふだん、DIYとは縁遠い生活を送っている人にもやさしいセットと言えるだろう。特にキーを切断するときに使う作業台は通常のキーとともにファンクションキーの板を固定するための溝が彫られていたり、サンドペーパーはあらかじめ裏面に接着剤が塗られているので、適宜サイズを調整して研磨補助材にはるだけですんだりと、なかなか気が利いている。

 セット内容に不足がないことを確認したうえで、組み立て作業に移ろう。

パッケージの一覧(写真=左)。まさにオールインワンだ。B4サイズのカラーマニュアルが付属する(写真=右)。手順はシンプルだが、繰り返しの作業が続く……ようだ

製作には根気と忍耐、多少の達観が必要

 組み立て説明書によると、主な手順は下記の通りになる。

1 木ートップをノコギリで切り離す

2 研磨補助剤にサンドペーパーをはる

3 切り離した木ートップをサンドペーパーで磨く

4 木ートップの裏面にジョイントパーツを取り付ける

5 ジョイントパーツをハンマーでたたいて固定する

6 スポンジ(反発材)をはり付ける

7 キーボードユニットに両面テープをはる

8 木ートップをユニットに取り付ける

9 とりあえず完成


 前置きが長くなったが、まずは木ーボードの製作に取りかかろう。と、思ったのだが、今回はここで制限時間がいっぱい。というのも、前述の編集者が「能書きはいいから早く記事を書きたまへ」と真横でせかすからだ。

 しかし、キットの内容を確認すればするほど、思った以上に大変な仕事をやらされて引き受けてしまったのではないのか……という悪寒が全身を走り抜けるのは気のせいか。実際のところ、撮影スタジオの使用時間は限られているし、木ートップをめでているとカメラマンさんの痛い視線を感じるし、すぐそばでネットサーフィンをしている編集者は何も手伝ってくれないし……。文字通り、四面楚歌(そか)の状況だ。しかも、普段は黙々と撮影が行われるスタジオ内に、なぜか今回は多くのギャラリーが顔をそろえ、無駄に緊張を強いられるありさまである。

 果たして、時間内に木ーボードを完成させることはできるのだろうか?

後編はこちら

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