新しい「MacBook Pro」は誰のためのマシンか?:気になるポイントをチェック(4/4 ページ)
MacBook Proの試用を始めて数日が経った。まずは本格的なレビューではなく、製品の位置付けや、外観を含む感覚的な部分でのファーストインプレッションを書こうと思う。
細かくアップデートされたMac OS X
ちなみに新MacBook ProにインストールされているMac OS Xは、バージョン10.5.5のビルド9F2114というバージョンだが、通常の10.5.xとは異なる細かなアップデートが施されている。
初めて起動すると、ドックの右のほうに「スタックについて」と「ダウンロードについて」という2つのPDF書類のアイコンが登録されており、これらの機能を図入りでたっぷりと紹介している。
また、「システム環境設定」を開くと、これまで見かけたことがない「トラックパッド」という項目が表示される。従来のMacBookシリーズでは、トラックパッドの設定は「キーボードとマウス」の中に収まっていたが、新シリーズでは独立した項目が用意された。もう1つ変わったのが「省エネルギー」のアイコンだ。従来は通常の丸形の電球だったが、新MacBookではより省電力なイメージを強くしたかったのか、電球型蛍光灯の絵に変わっている。
これら2つの項目の中も実際に見てみよう。
「トラックパッド」の設定は一見すると、これまでの(「キーボードとマウス」の中に収まっていた)「トラックパッド」設定とそっくりな気がする。しかし、従来のものは白地のフィールドに設定項目が並ぶという構成だった。あたかも、今後このパネルに項目が増え、スクロール可能になる可能性があります、と暗示しているようだった。これに対して、新設定パネルはメタル調のグレーの地に四角い枠があり、まるで「その枠ピッタリのサイズにおさめました。今後とも項目が増えることはありません」とでもいうようにピッタリと設定項目の文字がレイアウトされている。
もう1つおもしろいのが、これら設定項目の上にカーソルをマウスオーバーすると、その項目が明るくハイライトされる点だ。これまでのMac OS Xではあまり見かけなかったユーザーインタフェースの表現で、もしかしたら次期OS「Mac OS X “Snow Leopard”」のユーザーインタフェースを先取りしたものかもしれないと思わせる。
「省エネルギー」のパネルの中身にも変化がある。実は設定画面の左上に「グラフィックス」という設定項目が加わったのだ。これはGPUのGeForce 9600M GTをオンにするか、オフにするかの設定である。
この強力なGPUにより、Macを求めるクリエイターが抱きがちな「でもノート型パソコンでは、携帯性と引き換えにパフォーマンスが犠牲になるから」という不満が解消されたことになる。どうしてもパフォーマンスが必要で、MacBook Proとは別にMac Proも併用していたユーザーは、この新MacBook Proでは、少なくともCPUとGPUの性能に関しては妥協せずに済むことになるだろう。
ただし、そのパフォーマンスを得るには、バッテリーライフという別の犠牲がつきまとう。GeForce 9600M GTの機能を有効にすると、チップセットに内蔵されたグラフィックス機能のGeForce 9400Mよりもさらに1.5倍ほど高速な処理が可能になるが、それと引き換えに公称値約5時間のバッテリー寿命は4時間になってしまう。
そこで新MacBook Proでは、「省エネルギー」設定の左上に「グラフィックス」という項目を用意し、GeForce 9600M GTの機能をオフにできるようにしたのだ。これをオフにした場合は、MacBookと同じくGeForce 9400Mを使って画面表示を行うように切り替わる。ちなみにこのGeForce 9400Mでも、旧MacBookのGMA X3100と比べれば最高で約6.2倍も高速なので、ほとんどの用途では不満に感じることはないはずだ。
なお、このGPU切り替え機能は「バッテリーが少なくなってきたからオフにしよう」と気軽に切り替えられるものではない。オン/オフの切り替えは、設定後「ログアウト」操作をして初めて有効になる。つまり、再起動までは不要なものの、一度すべてのアプリケーションを閉じる必要があるのだ。
以上、かけ足で新MacBook Proで筆者が気になったポイントをまとめてみた。これ以外にも、いくつか気になったことはある。
例えば筆者は、MacBookではなくMacBook Proを買うことのメリットの1つとして、圧倒的に大音量が楽しめるキーボード両脇のスピーカーの存在もあると考えている。実際にこれまでのMacBook Proのスピーカーは、ノートPCのスピーカーの中ではかなり上等な部類に入っていたのではないかと思う。
今回の新MacBook Proも大音量で再生できるという点は変わりはないが、第1印象では、これまでのMacBook Proと比べると、やや音がこもり気味の印象があった。このあたりは是非アップルストアに立ち寄って自分の耳で確かめてみてほしい(なお、トリビア的な変更だが、新しいMacBookとMacBook ProからはiPhoneや新iPod付属のマイク内蔵型ヘッドフォンにも対応した。これらのヘッドフォンをヘッドフォン端子につなぐと、サウンド入力の「内蔵マイク」が「外部マイク」の表示に切り替わり、ヘッドフォン側のマイクから音を拾うようになる。これはSkype通話や音声チャットなどをするときに便利そうだ)。
もっとも、新しいMacBook Proの登場によって、カバンの中に新次元の性能を収めて屋外に持ち出せるようになったことは間違いないし、もし今後日本でもiTunes Movie Rentalのサービスが始まり、しかもハイビジョンのコンテンツがMacでも見ることが可能になったら、もうホテルのテレビで映画を見るMacユーザーがいなくなることは確実だろう。続くリポートでは、実際にアプリケーションをいくつかインストールしたうえで、性能面について掘り下げていく。
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