難しい技術より「TCO削減」が重要なイマドキのvPro
インテルは9月1日に、vPro対応ソリューションを導入する企業が増えていることを訴求するリリースを発表し、vProの導入でTCOがいかに削減されるかを説明した。
3年経ったPCは買い換えましょう
インテル技術本部長の及川芳雄氏は、多くの企業のIT投資が2009年になって抑制されている状況をIDC Japanの調査結果で示したうえで、「経済状況が成長局面に転じてからIT関連の投資をしても遅い。投資を抑えている企業は中長期的には難しい選択をしているのではないか」と、厳しい経済状況だからこそ、IT投資を積極的に行うべきと述べた。
及川氏は、導入してから3年未満と3年以上のPCで問題発生頻度とパーツごとの保守コストを比較し、既存システムの延命は短期的なコスト削減になるが、長期に渡って使いつづけると逆に管理コストが増加すると説明、「導入から3年経ったらリフレッシュするのがTCOの削減に最も効果的だ」とアピールした。
インテルマーケティング本部の徳永貴士氏は、「インテル vPro テクノロジー」について、TCOの削減という側面にフォーカスして説明した。徳永氏は、現在のIT部門が抱えている問題として、「電力コスト」「管理コスト」「セキュリティ」の3項目を挙げている。「電気代を総務で管理している企業が依然として多いが、これからはIT部門で把握すべき。また、内部統制など法律による管理要求が厳しくなるため、IT部門の運用コストと労力はこれからさらに増加する」(徳永氏)
省電力はハードウェアとソフトウェアで強力になる
そういう状況において、インテル vPro テクノロジーを導入することで、IT部門の省電力実現とPC管理、セキュリティ確保が少ないコストと労力で可能になると徳永氏は説明している。今回の説明会では、PCリプレースとvPro導入による省電力効果がデモを交えて紹介された。徳永氏は、企業に導入されたクライアントPCで、旧機種(CRTと接続したPentium D 945搭載デスクトップPC)、準旧機種(液晶ディスプレイを接続したPentium D 945搭載デスクトップPC)、新機種(液晶ディスプレイを接続したCore 2 Duo E7200搭載デスクトップPC)で、システム消費電力が減っていく推移を示しただけれなく、さらに、新機種で491Kワットアワーだった年間消費電力が、vProのような運用管理ソフトウェアを導入するだけで、一気に192Kワットアワーまで減り、さらに、Core 2 Duo T9400を搭載してvProを導入するノートPCでは、38キロワットアワーまで激減することが紹介された。
また、説明会場に用意されたCRT接続のデスクトップPC、液晶ディスプレイ接続のデスクトップPC、ノートPCのそれぞれで、システム電力の瞬間消費量と積算消費量が測定されたが、積算消費量を比べるとノートPCが圧倒的に少ないことも示された。
ユーザーには、難しい説明より、分かりやすいキーワードが欲しい
説明会では、Absolute Software Japanの田北幸治氏がインテル Anti-Theifテクノロジーに対応して、盗難されたノートPCの不正利用を防ぐ技術を説明したほか、会場にはvPro対応ソリューションを出荷している企業が展示ブースを構えていた。ただ、その多くの企業は、「vProのリモートによるパワーオンとシャットダウン」だけを利用しているケースが多い。ユーザー認証を伴なうリモートパワーオンはvProで実現する機能だが、そのほかは、自分たちの開発した機能でユーザーに提供できるというのが、多くの展示ブースで聞かれた意見だった。
また、ユーザーの意識と知識がvProに追いついていないという状況も少なからずあるという意見も聞かれた。vProのインテル アクティブ・マネージメント テクノロジーでは、OSがクラッシュしたPCでも、リモートでリストアできる機能が用意されているが、多くのユーザー(企業の機器導入責任者)は、「業者の保守サービスで機材を丸ごと交換できるから」といって、関心を示さないらしい。
インテルでは、そういうユーザーにもvProを分かりやすく理解してもらうため、「vProでTCO削減」をキーワードとしてアピールしていく予定だ。
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