検索
レビュー

何かとうわさの「ThinkPad Edge 13”」を使ってみた(2/3 ページ)

「ユーザーの新しいニーズに応えたい」という新しいシリーズに、ThinkPadを知るユーザーは「ムムッ」とうなった。その実力を「赤いカラバリ」で検証する。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

アイソレーション・キーボードを採用。最上段レイアウトに注意

 「ThinkPadといえばキーボード」というユーザーは多い。しかし、ThinkPad Edge 13”ではキーボードが従来のThinkPadシリーズから大きく変わっている。まず大きな違いが、キーとキーの間にすき間を設けた、いわゆる「アイソレーションタイプ」のキーボードを採用したことだ。また、従来のThinkPadは一部のモデルを除いて通常7段にキーボードを並べるが、ThinkPad Edge 13”では6段に変更されている。このようにレイアウトが大きく変更されたキーボードだが、キータッチは良好だ。キーピッチが広く確保されていることもあって打ちやすく、強めにタイプしてもユニットがたわむなどの問題もない。

 最上段のキートップには、ディスプレイ輝度や音量の上げ下げなどの機能を示すアイコンが大きくプリントされている。従来のノートPCでは、最上段がF1〜F12キーとなっていて、Fnキーと組み合わせることで機能キーの入力が行えるのが一般的だ。しかし、ThinkPad Edge 13”はこれと正反対で、最上段のキーを普通に押すと機能キーとなり、Fnキーと組み合わせることでF1〜F12キーとして利用できる。

 レノボ・ジャパンの説明によると、F1〜F12よりも機能キーを使うことのほうが多い初心者ユーザーに配慮して、そちらに合わせてきたということだ。ただ、エディタや日本語入力などでF1〜F12を頻繁に使うユーザーも多い。BIOSで、単独で利用できるのを機能キーからF1〜F12キーに変えることも可能だが、この仕様はベテランが多いThinkPadユーザーで賛否が分れそうだ。このほか、最上段のキー配列で右端の並び順がIns、Del、Home、Endの順番になっているのも気になるところだ。Home、EndよりもDelキーのほうが使用頻度は高いだろうから、Delキーを右端に配置したほうが使いやすいように思える。

 また、PrintScreen(PrtSc)キーの配置も変わっている。通常は最上段に配置されているが、ThinkPad Edge 13”では最下段、右Altキーの右隣に配置されている。WindowsではAlt+PrtScキーでアクティブウィンドウの画面キャプチャーが行えるので、その点に配慮した配置だろうか。多くの場合、Fnキーとファンクションキーの組み合わせでPrtScを行うが、このような製品でアクティブウィンドウをキャプチャーしようとすると、Alt+Fn+ファンクションキーと、キーを3個同時に押す必要がある。その点、ThinkPad Edge 13”ではAltキーとPrtSCキーを指1本の同時押しが可能なので、ポインティングデバイスを操作しつつ、アクティブウィンドウをキャプチャーするという動作がやりやすい。

 キーレイアウトでは、Page Up(PgUp)キーとPage Down(PgDn)キーにも注目しておきたい。この2つのキーは、それぞれ上カーソルキーの左右に配置されている。カーソルキーよりもキートップを低くしているので、カーソルキーを押そうとしてうっかりPgUp、PgDnキーを押してしまうミスが起こりにくい。

 このように、ThinkPad Edge 13”に採用された従来型とかなり違うレイアウトには賛否両論ありそうだが、それでも、細部まで考えて作りこんでいる点において、ThinkPadらしいキーボードといえる。

 ポインティングデバイスは、トラックポイントとマルチタッチに対応したタッチパッドの両方を装備している。トラックポイントでは、周辺のキーにくぼみをつけることで、トラックポイントのトップとキートップの実際の高さの違い以上に段差を認識できるようにしている。このおかげで、トラックポイントの高さをこれまでより0.4ミリ下げることができたとレノボ・ジャパンでは説明している。わずかな差ではあるが、液晶ディスプレイを閉じたときにトラックポイントが液晶パネル面に当たるのを防止する効果がある。同時にこの工夫が、満員電車で受ける力などの面方向に受ける圧力に対する堅牢性を確保している。

ThinkPad Edge 13”の液晶ディスプレイは、13.3型ワイドで最大解像度は1366×768ドット。ThinkPadシリーズでは珍しい光沢タイプのパネルを採用する(写真=左)。ThinkPad Edge 13”でもっとも大きく変わったキーボードレイアウト。アイソレーションタイプ、6段配列と従来のThinkPadとは異なる仕様を採用する(写真=右)

AMDプラットフォームの実力は?

■PCMArkVantage
PCMark Suite 2351
Memory suite 1374
TV and Movies Suite 1486
Gameing suite 1298
Music sutite 2729
Communication Suite 2395
Productiviity suite 2234
HDD test 2769
■PCMark05
CPU 3102
Memory 2705
Graphics 1108
■3DMark06 1366×768ドット
3DMark Score 912
CPU 1146
■FF XI Bench3
High 2080
Low 3912
■CrystaDiskMark 2.2(Test Size:100Mバイト) リード ライト
シーケンシャル 66.927 63.763
ランダム512KB 31.775 41.538
ランダム4KB 0.477 1.574

 今回性能を検証した評価用機材の構成は、CPUにTurion Neo X2 L625(動作クロック1.60GHz)を搭載し、メモリは2Gバイト。レノボ・ジャパンではThinkPad Edge 13”に採用するHDDの型番を明らかにしていないが、評価機材では富士通の「MJA2320BH-G2」(容量320Gバイト、5400rpm、キャッシュ8Mバイト)が組み込まれていた。

 PCの総合的な性能を計測する「PCMark05」と「PCMark Vantage」の結果は、PCMark05のCPU項目で3102と、ノートPCでよく使われるCPUとしては、デュアルコアのCeleron SU2300(動作クロック1.2GHz)の3000前後と、おおむね同じ程度のパワーと見ていだろう。

 PCMark Vantageの総合スコアは2351で、この値はCeleron SU2300を搭載した「HP ProBook 5310m/CT」のHDDモデルと同レベルとなっている。Core 2 Duoなどと比べると低めになるが、Atomなどと比べればだいぶ高速で、日常的なビジネス用途であればストレスは感じない(なお、Celeron SU2300を搭載したノートPCで測定したベンチマークテストの結果は、仕事で使い倒せるCULVノートPCが欲しい!!──「HP ProBook 5310m/CT」のSSD/HDDモデルをテストしたを参照のこと)。

 HDD性能は「CrystalDiskMark 2.2」で検証した。HDDは5400回転モデルなので飛びぬけて速い部類ではないが、この価格帯のノートPCとしては標準的な数値といえる。グラフィックスは3D性能について「3DMark06」と「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」で検証したが、FF XI Bench3のLowモードが3912で、これは「FINAL FANTASY XI for Windowsをデフォルト状態でとても快適に動作させることができるマシン」となる。この指標はベンチマークが公開された2004年12月当時の基準なので、最新の3Dゲームでは快適な動作が厳しいと思われるが、Windows 7のAeroを使う程度なら十分な性能だ。

 バッテリー駆動時間は海人氏の「BBench 1.01」で計測した。BBenchの設定は「60秒間隔でのWeb巡回」(10サイト)「10秒間隔でのキーストローク」で、ディスプレイの輝度は最大、ネットワークには無線LANで常時接続している。測定結果は2時間37分13秒でメーカー公称値の約3.4時間より短いが、ディスプレイ輝度を低めに設定すれば3時間程度の連続稼働は可能だろう。

 約1.64キロという本体の重さは、常に持ち歩くにはやや重いが、重量バランスが良好でどこを持っても感じる重さにバラツキがないことと、最薄部14ミリのボディが薄く見えることもあって、実際の重さよりは軽く感じる。ACアダプタの重量は、本体が約260グラム、コードが約70グラムで、本体とACアダプタでギリギリ2キロ以内に収まっているため、ときどき持ち歩くといった程度の用途ならば十分だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る