曲げられるフィルム型電池公開、ノートPCや電子書籍端末への応用は?:FC EXPO 2010/国際二次電池展
国際二次電池展で、曲げられるフィルム型や厚さ6ミリほどのシート型といった、従来とは異なる形状のバッテリーが各種展示されている。将来的にノートPC用などへの応用はあるのだろうか。
韓GS Caltex「曲げられるフィルム型バッテリー」
FC EXPO 2010と同時開催された国際二次電池展(バッテリージャパン)で、既存の二次電池から想像以上に変化・進化した形状のバッテリー技術が各種展示されている。
まずは厚さ0.2ミリ、曲げられるフィルム型バッテリー「Thin Film Battery」。販売は韓GS Caltex、国内代理店として稲畑産業が担うこのフィルム型バッテリーは、固体電解質(通常は液体)を採用し、薄く、フレキシブル(柔軟性があり、曲げられる)、安全、低発熱といった特長を持つ。
セル1つあたりの仕様は4.1ボルト/0.5mAhで、厚さは約0.2ミリ。主にクレジットカードサイズのカード内に“内蔵”したり、(他社の曲げられる電子ペーパーディスプレイなどとともに)電子書籍/電子ペーパー端末への搭載、補聴器などの医療機器向けなど、比較的消費電力の少ない小型機器への利用が想定されている。1枚あたりの容量は少ないが、(普通の電池と同様に)複数枚を接続して電圧や総容量の調整することも当たり前だが、可能。ただ、現時点ではノートPCクラスの電力を消費する機器への応用は想定していないようだ。
「PCの底面や天面へ装着するスタイル、あるいは重ねてコンパクトに収納──など、PC向けに考えてもThin Film Batteryは応用が利く。出力特性や容量、価格の課題が解決するなら技術的に不可能ではない。ちなみに現在、1セルあたり30USドルほどする」(説明員)
日立マクセル「ラミネート型リチウムイオン電池」
日立マクセルは、工業用途向け製品やニンテンドーDSi/DSi LLに内蔵する角形リチウムイオン電池のほか、開発中の「ラミネート型リチウムイオン電池」を公開展示した。
ラミネート型リチウムイオン電池は、昨今、急速に拡大する“薄型・大容量”のニーズを満たす二次電池として開発。アルミニウムのラミネート外装材を採用することで、厚さ約6.5ミリの薄型化とともに高い放熱性、高出力特性、安全性を実現した。主に電動二輪車やフロアマシン用、UPSなどのバックアップシステム、過般型電源システムといった機器向けに、シートを複数枚重ねたユニット単位で設置するモジュール型システムでの運用を想定するという。
シート1枚あたり、出力は定格3.7ボルト/容量10Ah、サイズは142(幅)×235(奥行き)×6.5(厚さ)ミリ、重量約340グラム。よくあるノートPCのバッテリー重量を勘案すると、現時点ではPCへの搭載は1枚が限界か。ともあれ、基本的にはノートPC向けをはじめ、1枚単位での運用はあまり想定されていないようだ。「こちらはノートPC向けを想定したものではないが、薄型軽量化、大容量化、多層・高密度化、高い安全性、高耐久性など、バッテリーに関わる技術は日々進歩を重ねている。コンシューマーユーザーの身近な製品にふと当社のバッテリーが載っていることも多々あるだろう」(説明員)
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関連リンク
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