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さよならT・ZONE――“電気街アキバ”に希望はあるのか2010年アキバまとめ(ショップ編)(2/4 ページ)

老舗PCパーツショップ、T・ZONE.PC DIY SHOPの閉店は、GUNDAM Cafeやアトレ秋葉原1の開店などの明るい話題で盛り上がった電気街に、暗い影を落とした。ただし、街が固定化しないのはアキバ最大の特徴でもある。

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自作ユーザーが減っている?――それでも、アキバには希望がある

中央通りと神田明神通りの交差点にあるベルサール秋葉原。自作PCイベントの会場として活躍している

 現在の自作PC市場をふかんするには、2010年よりも前の時代を見る必要がある。

 2007年ごろから、PCパーツショップが閉店するたびに同業者からは「明日はわが身」と、厳しい市況を示唆するコメントが頻繁に聞かれるようになってきた。閉店の事情はその都度異なるが、根底には市場の縮小、つまり、購入層の縮小があるとの意見も多い。

 ユニットコムの小川氏は「新しいCPUが出てきても、良い製品ならずっと売れていくといったパターンではなくなってきました。だから、やっぱりユーザーさん自体が減ってきたのかなという実感はあります。我々も含めて、新規の層を取り込むようにイベントを企画していますが、それでも現状ではまだ増えているといえないと思います」と語る。

 自作層はいつごろから減ってきているのか。小川氏が思い返すピークはWindows 95登場時の1995年という。「あのころは尋常じゃなかったです。深夜販売も本当に1〜2万人のユーザーが集まりましたから。Windows 95は9500円で販売したんですが、当日はレジを打つひまもないので、500円玉を大量に積み上げて、1万円以外お断りみたいな状況でしたよ。1万円預かって、ひたすらOSとお釣りを渡していくという。Windows 7の深夜販売も盛り上がりましたが、あのころとは比べられないです」という。

 パソコン、そして自作PCが社会現象並みに注目された15年前から、市場の縮小は緩やかに始まったともいえそうだ。そうした動きを見据えたうえで、ユニットコムは2000年ごろからBTOマシンを提供するようになった。同時に、PCのトラブルに対応するサポート業務も収益の柱に成長させている。根底には「サポートのコストは基本的にスタッフの人件費となります。原価が存在しないので安定した利益を確保しやすいんですね」という考えが当時からあった。

 サポート業務は直接の収益になるだけでなく、顧客の拡大にもつながる。例えば、同社の「パソコンワンコイン診断」は、メーカーを問わず500円でPCのトラブルや問題をチェックするサービスだが、利用者の約30%を女性が占めているという。「従来の弊社のサービスの女性比は4%程度だったのですが、飛躍的に上がりました。提供開始から2カ月で全国2万件の注文をいただいたのですが、なかでも秋葉原の店舗に持ち込む方が目立って多いですね。やはり、PCに詳しい街というブランドイメージが貢献しているでしょう。そうした方々に、必要があれば弊社のBTOマシンをすすめることもあり、新しいお客さんを取り組む流れも作れていると思います」というわけだ。

 ここで重要なのは、PCパーツショップの生き残り戦略の中に、電気街・アキバのイメージが組み込まれていること。小川氏は「大阪や名古屋にも電気街はありますが、日本橋や大須を電気街とみなす人は、アキバに比べて少ないでしょう。実際の街を歩けば分かりますよ。自作PC市場単体ではなく、アキバの一要素として自作PCショップが存在できるということが生き残りのカギにもなりますし、アキバの特殊な魅力にもつながっているんですよね」と語っていた。

 それを踏まえて、街のイメージを構成するほかの要素――自作PC系以外の施設や店舗の2010年を、次のページからみていこう。

2009年10月22日のWindows 7深夜販売。2000人超のユーザーが詰めかけた(写真=左)。JR秋葉原駅電気街口を南に出たところ。PCや家電だけでなく、サブカル系の看板も目立っている(写真=中央)。ユニットコムの「パソコンワンコイン診断」サービス(写真=右)

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