年明けから「Sandy Bridge」に彩られた1月のアキバ:5分で分かった気になるアキバ事情(2/2 ページ)
1月初旬に登場した“Sandy Bridge”こと第2世代のCoreシリーズは、多くのショップが「予想外」と口をそろえるほどのヒットを果たし、その勢いは月末まで続いた。そう、1月末までは……。
世代交代時期の足踏みと激安特価が乱舞するグラフィックスカード
Sandy Bridge関連以外では、グラフィックスカードに注目度の高い新製品が多かった。1月初旬には、GALAXYのGeForce GTX 460カード「GF PGTX460/1GD5 WHDI」が登場。ワイヤレスでフルHD映像データを転送できる「WHDI」に対応しているのが特徴だ。転送先用レシーバーのセットが4万7000円前後で販売されていた。
入荷したツートップ秋葉原本店は「キーボードやマウスだけでなく、液晶ディスプレイもマシン本体から離せるようになります。これでマシンをとなりの部屋に置いてファンノイズなどを一切気にせず使うといった選択肢もできます」と新たな可能性を歓迎していた。
月末には、GeForce 500ファミリーの新GPUとなる「GeForce GTX 560 Ti」を搭載したカードが各社から登場した。すでに出回っているGeForce GTX 570の下位にあたるモデルで、価格は3万円前後となっている。比較的生産が安定しやすいミドルレンジクラスということで、初回からオーバークロックモデルやオリジナルクーラーモデルが多く出回っており、豊富なバリエーションが各ショップに並んだ(関連記事:「GeForce GTX 560 Tiのオーバークロックモデル」は“みんなが喜ぶ”グラフィックスカードか?)。
ただし、旧世代のGeForce GTX 480/470カードが在庫一掃で割安価格となっているため、新GPUの売れ行きはいまひとつというショップが多い。ソフマップ秋葉原本館は「1つ前の世代の最上位クラスが3万円前後で買える状況ですからね。400ファミリーに対して500ファミリーは、劇的なアーキテクチャの進化というより、細部を突き詰めて完成度を高めたという印象が強いので、これだけ安いならGTX 480/470カードを買おうと考える人が多いのは自然でしょう。まあ、在庫が一掃されるまでにGTX 560 Tiの価格も落ち着くでしょうから、そこからが勝負だと思いますよ」と話していた。
こうした状況はRadeonにもみられ、1月末時点では売れ筋GPUにHD 5850カードを挙げるショップが過半数といった状況となっている。Radeon HD 6900/6800カードにメーカー独自仕様のモデルが多数並ぶようになっているため、こちらも今後の世代交代を待つ声が多かった。クレバリー1号店は「新GPUの評判はすでに広まっていますから、旧世代のGPUが割安で姿を消すまでに、価格がどこまで下がるかがカギでしょう。これはGeForceもRadeonも同じですよ」としみじみ語っていた。
2年7カ月ぶり――歩行者天国が試験的に再開
1月のアキバ全体で最大のトピックとなったのは、1月23日に再開された中央通りの歩行者天国だろう。2008年6月に起きた連続殺傷事件以来、2年7カ月間中止されていたが、関係者の努力が実り、毎週日曜日の試験的な実施に至った。当面は6月時点まで実施される予定、その後は未定だ。
初日の23日は、歩行者天国開始の12時より1〜2分程度早く車道に歩行者があふれる事態となり、フライング気味にスタートしたが、その後は大きなトラブルもなく多くの人が中央通りを利用していた。運営側の千代田区やアキバ21、警察などが懸念していた路上パフォーマンスや撮影会などは、スタッフによる呼びかけや警察官の目もあって、ほとんど行われなかった。
人だかりができても10分も経たないうちに散開するなど、問題視されるレベルには至っていない。なかにはコスプレして練り歩く人もいたが、「パフォーマンスの準備と思われるので、立ち止まらないようにただ歩いています」と、現在の歩行者天国の状況を承知しているようだった。
歩行者天国再開により、JR秋葉原駅からみて中央通りの向こう側となるPCパーツショップ密集エリアも、普段以上の往来がみられるようになった。クレバリー1号店は「いつもの日曜日より確実に人が多いです。お店に入ってくれる方もたくさんいらっしゃいます」と話していた。
とはいえ、直接的な売り上げにどれだけ結びつくかは慎重に考えるスタッフも多い。某ショップは「たくさん来店してもらえてうれしいですが、23日の売り上げだけでみると、正直なところ普段どおりといったところでした。たくさんの人にみてもらえる機会ができたのだから、あとは自作PCの魅力を伝えるように努力して、『ちょっと買ってみようか』と思ってもらえないとダメですよね。ま、がんばります」と前向きに今後を見据えていた。
関連キーワード
アキバ | Intel 6シリーズ | Sandy Bridge | Core iシリーズ | 自作 | 歩行者天国 | 深夜イベント | Intel H67 Express | Intel P67 Express | 不具合
関連記事
- マザーボードベンダー各社、Intel 6シリーズチップセット問題で対応策
インテルが明らかにしたIntel 6シリーズチップセット問題について、マザーボードベンダーと販売代理店各社は現在検討中の対応策について明らかにした - “Intel 6”に欠陥――アキバに与える影響は?
Intel 6シリーズチップセットに問題が発覚し、アキバではP67/H67マザーボードが一時的に販売停止となった。年明けからの盛況が一転、各ショップの売り場には大きな穴が空く事態に……。 - 米インテル、Intel 6シリーズチップセットに問題
米インテルは、Intel 6シリーズチップセットに接続したSerial ATAデバイスで、性能が低下する問題があることを明らかにした。現在PCメーカー、PCパーツベンダーとともに対応策を検討している。 - “Sandy Bridge”対応をうたうPCパーツが増殖中
Core i7-2600Kを中心に人気が過熱する“Sandy Bridge”だが、「LGA 1155対応」をうたうメモリやCPUクーラーを見かけるようになった。「LGA 1156対応でLGA 1155に非対応」ってなんだ? - “Sandy Bridge”の注目度を具現化!――圧倒的な観衆を集めた「Intel Technology Day in Akiba 2011」
Sandy Bridgeの発売にあわせて、インテルが新プラットフォームの魅力をたっぷり伝えるユーザーイベントを実施。新CPUとチップセットの人気ぶりを反映して、会場内は一日中恐ろしいほどの人口密度を保っていた。 - 「この反響はマジで予想外でした」――猛烈に売れるSandy Bridge
深夜販売、早朝販売、通常販売。この3段階を経てもSandy Bridgeの勢いは止まらず、年初の連休を迎えたPCパーツショップは、新しいプラットフォームでイチからの自作を目論むユーザーで終日ごった返していた。 - よく冷えて、とっても静音!――300人超が集まった“Sandy Bridge”深夜販売
「Sandy Bridge」こと新CPU「Core i7/i5」が対応マザーとともに販売解禁に。8日深夜、新しいプラットフォームを求めた大勢のユーザーが深夜のアキバに集結し、行儀良く日付が変わる瞬間を待っていた。 - 「GeForce GTX 560 Tiのオーバークロックモデル」は“みんなが喜ぶ”グラフィックスカードか?
NVIDIAは、1月25日にGeForce GTX 560 Tiを発表した。価格性能比でヒット製品となった「GeForce 8800 GT」の再来をねらうGPU、とNVIDIAが訴求するその実力は? - 秋葉原歩行者天国が“試験的再開”
2年7カ月ぶりに復活したアキバの歩行者天国は、中央通りを埋め尽くす人であふれかえった。そこには子ども連れの姿もコスプレイヤーの姿も警察官の姿もあった。 - 2010年アキバまとめ(ホコ天編):絶望視された「アキバ歩行者天国」復活の裏側 (1/4)■■1月23日から、アキバの歩行者天国が試験的に復活し、毎週日曜日は中央通りを自由に歩けるようになる。2011年の出来事となるが、決定したのは昨年だ。この復活劇を2010年まとめの最終編としたい。
- 「Sandy Bridgeは400ドルGPUを超える」──ムーリーさんが“過激”に発表
正式に発表されたSandy Bridgeを訴求するプレスカンファレンスにポール・オッテリーニ氏とムーリー・エデン氏が登場。これで“おとなしく”終わるわけがない。 - ようやく正式発表なのだ:インテル、アーキテクチャを一新した“Sandy Bridge”世代のCore iシリーズ
インテルは、“Sandy Bridge”こと「第2世代Core プロセッサー・ファミリー」を発表し、デスクトップPC向け、ノートPC向けのモデルを投入した。 - 「P67」「H67」「H65」あたりがきそうな「Intel 6シリーズ」チップセット
インテルが“新世代チップセット”を発表しなくなった代わりに“次世代チップセット“搭載マザーが登場するCOMPUTEX TAIPEI。2010年は“Intel 6”をチェックだ! - インテルのセッションで姿を見せた「Intel 6シリーズ」マザーインテルのセッションで姿を見せた「Intel 6シリーズ」マザー
インテルは基調講演とPCクライアントセッションで「Sandy Bridge」「デュアルコアAtom」「Oak Trail」をアピール。次世代マザーも“さりげなく”登場した。 - 2010年アキバまとめ(街編):気がつけば国際観光都市になっていた秋葉原
アキバは世界的にも高い知名度を持つ特殊な街だ。外国人観光客は昔からいたが、2010年を振り返ると、その人数はさらに増加した印象を受ける。“外国人にやさしい環境”が整いつつある、再開発後のアキバの現状をみていこう。 - 2010年アキバまとめ(ショップ編):さよならT・ZONE――“電気街アキバ”に希望はあるのか
老舗PCパーツショップ、T・ZONE.PC DIY SHOPの閉店は、GUNDAM Cafeやアトレ秋葉原1の開店などの明るい話題で盛り上がった電気街に、暗い影を落とした。ただし、街が固定化しないのはアキバ最大の特徴でもある。 - 2010年アキバまとめ(PCパーツ編):6コアよりも次世代GPUよりも、「FF14」が目立った自作PC市場
業界を揺るがす劇的な進化が、その数カ月後には普通の存在になるのがアキバの日常。4コアCPUや2TバイトHDDを最上級から“普通”に引きずり下ろした2010年のPCパーツを振り返ってみよう。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.