双発のCaymanでAMDのフラッグシップたれ──Radeon HD 6990の性能と爆音をチェック:イマドキのイタモノ(2/2 ページ)
AMDがRadeon HD 6990を発表。Radeon HD 6000シリーズの最上位となるモデルだ。さて、その“デュアル”な性能はどこまで有効なのだろうか?
Radeon HD 6950のCrossFireXを上回る
今回の性能評価では、Radeon HD 6990と従来のデュアルGPUカードであるRadeon HD 5970、現時点でシングルGPU構成カードの最上位モデルであるRadeon HD 6970、そして、Radeon HD 6950のCrossFireXと比較する。評価用システムは、Core i7-980Xを基幹に構成している。
評価用システム構成 | |
---|---|
CPU | Core i7-980X Extreme Edition(3.33GHz、Turbo Boost Technology有効時で最大3.6GHz) |
マザーボード | ASUS Rampage II Gene(Intel X58 Express+ICH10R) |
Memory | DDR3-1066(2Gバイト×3) |
HDD | WD5000AAKS(500Gバイト/7200rpm/16Mバイト) |
OS | 64ビット版 Windows 7 Ultimate |
結論から先に書くと、Radeon HD 6990のパフォーマンスは「Radeon HD 6950の2枚構成によるCrossFireXよりわずかに上を行くあたり」となる。Radeon HD 5970からは順当にスコアを伸ばしており、Radeon HD 6970と比較すると高解像度での落ち込みが抑えられている。
ゲームタイトルを使ったベンチマークテストでは、Radeon HD 6950のCrossFireXとRadeon HD 6990の差が比較的大きくなる傾向がみられた。Radeon HD 6950のCrossFireX構成は、1GPUあたりのPCI Expressレーン数で有利だが、Radeon HD 6990のSIMDエンジン数や高クロックであることがフレームレートに影響するということだろう。
バイオハザード5では、マルチGPUの効果が確認できない。スコアのブレも大きいが、デュアルGPU構成で測定した結果はいずれも、DirectX 10であろうとDirectX 9であろうと130FPS前後で、シングルGPU構成のRadeon HD 6970のみわずかに高いフレームレートを示している。マルチGPUが無効である場合、1GPUあたりのストリームプロセッサ数が多くより高いクロックのRadeon HD 6970が優位に立ったものと解釈できる。
消費電力を確認すると、Radeon HD 6990のピーク時消費電力は今回比較した中では最も高い478ワットとなった。Radeon HD 5970やRadeon HD 6970に対しては100ワット以上高いだけでなく、Radeon HD 6950のCrossFireXよりも約40ワット高い。アイドル時消費電力は、測定した中で2番目に低く、Radeon HD 6970からは20ワットほど高い値で、Radeon HD 6950のCrossFireX構成とほぼ変わらない。
ウルトラハイエンドの扱い難さはあるが、「スペースあたりの性能」は最高
Radeon HD 6990は、Radeon HD 6970から大きくスコアを伸ばすとともに、Radeon HD 6970より高性能だった従来のデュアルGPUであるRadeon HD 5970からも大きくスコアを伸ばしている。現在のRadeonラインアップで最も高性能であることは間違いない。
補助電源コネクタレイアウトからも分かるように、消費電力は大幅に増加しているが、そもそもマルチGPUを検討するユーザーであれば大容量の電源ユニットは備えているだろう。ただし、グラフィックスカードのアップグレードで「1枚のグラフィックスカードを交換する」というユーザーの場合は、電源ユニット側のコネクタが6ピンなのか8ピンなのか、6+2ピンなのかを確認しておこう。なお、消費電力と関係しているが、Radeon HD 6990のリファレンスデザインで搭載するクーラーユニットは動作音も大きい。ただし、今回の検証において、Radeon HD 5970のリファレンスカードは何度か熱暴走を起こしているのに対し、Radeon HD 6990ではほとんどそうした異常は発生しなかった点も記しておこう。リファレンスデザインで採用するクーラーユニットの信頼性は向上したといえそうだ。
実売価格について、AMDは7〜8万円台というラインを予想している。Radeon HD 6970やRadeon HD 6950を搭載したグラフィックスカードは発表から時間も経ち、価格もこなれてきているため、これをCrossFireXするのと、どちらがコストパフォーマンスとして優れているのか、となると、Radeon HD 6990は難しい立場に立たされる。しかし、1枚のグラフィックスカードで最大のパフォーマンスを発揮するという点で考えた場合、Radeon HD 6990は最高のモデルと評価できるだろう。
関連キーワード
Radeon | Radeon HD 6000シリーズ | GPU | CrossFire | AMD | グラフィックスカード | CrossFireX | マルチGPU | オーバークロック | ATI Eyefinity
関連記事
- こちらでは、Antillesが動いていた!――MSIのCeBIT展示ブース事前公開
関係者向けのカンファレンスが行われるCeBIT開幕前日。台湾ベンダーが集うHall 17では、ASUSに続いてMSIも展示ブースの事前公開を行った。 - AMD、「Radeon HD 6990」サンプルカードを公開
AMDは、1月27日にシンガポールで行っている「AMD Asia Pacific Fusion Tech Day」で、「Radeon+ HD+ 6990」搭載グラフィックスカードのサンプルを公開した。 - AMD、新しいアーキテクチャを導入した「Radeon HD 6900」シリーズ
AMDは、12月15日にRadeon HD 6900シリーズを発表した。開発コード名“Cayman”と呼ばれてきた新しいアーキテクチャを導入した最上位GPUラインアップとなる。 - 新しくなったアーキテクチャの実力は?──「Radeon HD 6970」「Radeon HD 6950」“緊急通関”レビュー
「出るの!出ないの!」と待たされた“Cayman”が登場。Radeon HD 6970以外に、なんとか間に合った「2枚のRadeon HD 6950」で“Antilles”の性能も占う! - 「Radeon HD 6870」「Radeon HD 6850」でGeForce GTX 460を迎撃せよ!
Radeon HD 6800シリーズが発表された。新世代のハイエンドGPUを思わせるナンバーだが、その位置付けは異なる。性能と価格のバランスはどう変わったのか? - AMD、“Northern Island”の第1弾「Radeon HD 6800」シリーズを投入
AMDは、10月21日に「Radeon HD 6800」シリーズ2モデルを発表した。実売価格は、Radeon HD 6870搭載モデルで3万円前後、同6850搭載モデルで2万円前後の見込みだ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.