“Z68”に導入された新機能を整理する:“Intel SSD 311”を日本で出荷します
インテルが5月11日に発表したIntel Z68 Expressチップセットは、「P67とH67の全載せ」以外にも新しい機能が導入された。インテルの資料とともに紹介しよう。
“P”のオーバークロック機能と“H”のグラフックス機能を
インテルは、Intel 6シリーズの最新モデルとなる「Intel Z68 Express」チップセットを5月11日に発表した。2011年3月に行われたCeBIT 2011で、米Intelのムーリー・エデン氏が公式の場で初めてその存在に言及し、「オーバークロック機能とCPUに統合されたグラフィックス機能の両方を利用できるチップセットだっ」という“おおまかな”説明のほかに、インテルからIntel Z68 Expressの機能や仕様について紹介されることはなかった。5月11日の発表後にようやく、そのあたりの情報がでてきている。
インテルが“Z68”の特徴として最初に挙げるのは、やはり“オーバークロック機能と統合されたグラフィックス機能が利用できる”ことだ。統合されたグラフィックスコア、メモリだけでなく、Core i7-2600K、Core i5-2500Kを搭載した場合は、CPUまでオーバークロック設定が可能になる。そして、従来はIntel H6X Expressチップセットでしか利用できなかったCPU統合のグラフィックスコアや、そこに実装されたIntel Quick Sync Video、Intel InTru 3D、そして、日本では運用がまだ始まっていないIntel Insiderなどの機能もIntel Z68 Expressチップセットでは使えるようになる。
さらに、Intel Z68 Expressでは、SSDとHDDを組み合わせて運用し、SSDをキャッシュのように使うことでデータ転送速度を向上させる「Intel Smart Response Technology」や、統合されたグラフィックスコアとPCI Expressバスに接続した外付けGPUを動的に切り替える「Switchable Graphics Support」、そして、個人認証用のトークンアルゴリズムをPC内部(具体的にはチップセット内部のマネジメントエンジン)に内蔵した「Intel Identity Protection Technology」などの機能が用意された。
なお、Intel Identity Protection TechnologyはvPro対応のCoreプロセッサー・ファミリーと一緒に紹介されることが多いが、ソフトウェアトークンアルゴリズムはチップセットのマネジメントエンジンに内蔵されるため、vProに対応しないコンシューマ向けCoreプロセッサー・ファミリーでも利用可能とインテルは説明している。
インテルが示す、Intel Z68 Expressチップセットの仕様と機能、さらにIntel P67 ExpressとIntel H67 Expressとの比較は以下の通りになる。
| チップセット名 | Intel Z68 Express |
|---|---|
| サポートするCPU | 第2世代 インテル Coreプロセッサー・ファミリー |
| オーバークロック | CPU、メモリ、統合グラフィックスコア |
| グラフィックスカード用PCI Expressスロット | 16レーン1基、または、8レーン2基 |
| 構築可能RAID | 0/1/5/10(Intel Rapid Storage Technologyによる) |
| Intel Smart Response Technology | 対応 |
| USB 2.0 | 14基 |
| Serial ATA 6Gbps | 2基 |
| Serial ATA 3Gbps | 4基 |
| PCI Expressスロット | 8基 |
| PCIスロット | サポートせず(ブリッジチップで対応可能) |
| 最大メモリスロット | 4基 |
| Intel Identity Protection Technology | 対応 |
| チップセット | Intel Z68 Express | Intel P67 Express | Intel H67 Express |
|---|---|---|---|
| CPUソケット | LGA1155 | LGA1155 | LGA1155 |
| Intel Rapid Storage Technology | 対応 | 対応 | 対応 |
| グラフィックス用PCI Expressスロット | 16×1、8×2 | 16×1、8×2 | 16×1 |
| メモリチャネル(チャネルあたりメモリ数) | 2(2) | 2(2) | 2(2) |
| 統合グラフィックスコア | 利用可能 | 利用不可 | 利用可能 |
| USB 2.0 | 14 | 14 | 14 |
| 最大PCI Expressスロット | 8 | 8 | 8 |
| Serial ATA(うち6Gbps対応) | 6(2) | 6(2) | 6(2) |
| オーバークロック | 可能 | 可能 | 不可 |
| Intel Identity Protection Technology | 対応 | 不可 | 対応 |
“Intel SSD 311’の日本市場出荷も明らかに
映像出力では、異なる2面のディスプレイ出力が可能で、インタフェースではアナログRGBのほかに、HDMI、DVI、DisplayPortが利用できる。また、Intel Rapid Storage Technologyでは、Version 10.5のドライバをインストールすることで、Intel Smart Response Technologyが有効になるほか、2.2Tバイト以上のHDDによるRAID構築が可能になる。インテルが公開している構成図によると、Intel Rapid Storage Technologyと、それに付随するIntel Smart Response Technologyはオプション扱いとなっている。
なお、Intel Smart Response Technologyで組み合わせるSSDはIntel製以外でも利用でき、また、インテルとしては、利用できるSSDのスペックに制限を加えていないとしている。また、海外では、Intel Smart Response Technologyで利用するSSDとして注目されているインテル製20GバイトSLCモデル「Intel SSD 311」について、日本でも出荷することも明らかにしている。加えて、チップセットの単体価格は1000個ロットで3990円であることも合わせて明らかにした。

Intel Z68 Expressの構成(写真=左)。インテルではIntel Z68 Express搭載マザーボードとして「DZ68DB」(開発コード名は“Dunes Beach”)を用意している(写真=右)関連キーワード
Intel | Intel Z68 Express | マザーボード | Intel 6シリーズ | オーバークロック | Intel H67 Express | Intel P67 Express
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
“P67”“H67”入りましたっ──ASUS「P8Z68-V PRO」で“Z68”を試す!
インテルの新チップセット「Intel Z68 Express」が登場した。その存在はCeBIT 2011などで明らかにされていたが、その機能と実力はどうなのか?
MSI、「GD80」と「ED55」なZ68マザー
MSIは、Intel Z68 Expressチップセット搭載マザーボード2モデルを発表した。出荷は5月11日から。
ASUS、“Z68”マザーをオーバークロック特化モデルから汎用モデルまで
ASUSは、Intel Z68 Expressチップセットを搭載したマザーボード5製品を発表した。
“Z68”搭載マザーボード、各ベンダーから
インテルから登場したIntel Z68 Expressを搭載したマザーボードがベンダー各社から発表された。
ドイツで気になったマザーボードをまとめてチェック
マザーボードが目立ったCeBIT 2011。その概要が初めて紹介されたIntel Z68 Express搭載モデルなど、注目しておきたいマザーボードを“復習”しておこう。
ムーリーさん、欧州のPCゲーマーに「Intel Z68 Express」を世界初解説
なんだかんだいいながらも、目新しい情報が多かったCeBIT 2011。ムーリーエデン氏の「2回目のステージ」では、Intel Z68 Expressの概要が公開された。
AM3+対応マザーボードを大量に動員できたのは「ASRock」
6月のCOMPUTEX TAIPEI 2011に向けて開発中の次期主力製品が公開されるCeBIT 2011。Intelの“Z68”マザーに続いて“Bulldozar”対応マザーも姿を見せた。
こちらでは、Antillesが動いていた!――MSIのCeBIT展示ブース事前公開
関係者向けのカンファレンスが行われるCeBIT開幕前日。台湾ベンダーが集うHall 17では、ASUSに続いてMSIも展示ブースの事前公開を行った。
やっぱり出てきた“Z68”マザー──ASUSのCeBIT展示ブース事前公開
ASUSはCeBIT 2011開幕の前日に、展示ブースを公開した。所定の1時間では回りきれないほど大規模な展示ブースでは、多数の“未発表サンプル”が確認された。
