「IT資産を生かし、早く・安く・安全に導入可能」これがポイント──Windowsタブレット「HP Slate 2」と法人PCビジネス
日本HPが、ビジネス向け8.9型Windowsタブレットを投入。企業向けとして、サイズ、セキュリティ、導入コストなどを考慮した仕様で展開する。
重量690グラムの法人向け8.9型ピュアタブレット 3G内蔵モデルも
日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は11月29日、新開発のWindows 7搭載タブレット「HP Slate 2 Tablet PC(以下、Slate 2)」を発表、2012年1月上旬より主に法人向けに販売する。
主なポイントは、OSにWindows 7 Professional(あるいはWindows Embedded Standard 7)、基本システムにIntel SM35+Atom Z670(1.5GHz)を採用する、いわゆるタブレットスタイルのWindows PCとしてビジネスシーン向けに展開すること。ディスプレイは8.9型ワイドのデジタイザー+タッチパネル付き液晶(1024×600ドット)、2Gバイトのメインメモリ(DDR2)、64GバイトのSSDを搭載し、厚さ15ミリ、重量690グラムの小型・軽量のボディを実現する。
ビジネスシーン向けとして、モバイル時/立ったままペン操作が行いやすい軽量・小型ボディに加え、32ビット版Windows 7 Professionalの採用、TPMセキュリティチップの標準搭載、BIOSパスワード、遠隔データ消去機能によるセキュリティ機能の強化、軽量ボディとデジタイザーペン入力によるユーザービリティ向上などを特徴とし、特に企業導入においてWindowsをOSに用いることによる「アプリやIT基盤含めてこれまでのWindows資産をそのまま活用でき、導入コストも低減できる」点、これらとともに「これまでと違う/プラスαを加えた業務シーン、利活用スタイルを実現できる」点を特に訴求する。業務向けに、組み込み向けWindows Embedded Standard 7へのカスタマイズも行えるようにする。
TPMセキュリティチップの標準搭載により、インターネットを利用するクラウドサービス利用に加え、機器内に保存するファイル、フォルダの暗号化を実現し、独自のセキュリティソフトウェア「Computrace for HP ProtectTools」により、万一時の紛失・盗難時に所在地の追跡、遠隔データ消去なども行えるよう工夫する。BIOSパスワード(起動前パスワードロック機能)も、業務シーンへのタブレット導入で“ニーズが高かったがこれまで搭載例がほぼなかった”機能という。BIOS画面上でソフトウェアキーボード表示をサポートし、これまでのビジネスPCと同様にBIOSパスワードをかけられる。
本体に傾きセンサーを内蔵し、もちろん持つ位置に応じて縦位置/横位置表示の切り替えも可能。本体を立てて活用できる専用ケースやデジタルペンも同梱し、Windowsの文字認識・手書き入力機能とともにペン入力操作も容易に行える。
3Gモデル対応通信方式 | |
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GSM/GPRS/EDGE | 800M/900M/1700M(AWS)/1800MHz |
W-CDMA(3G) | 850M/900M/1900M/2100MHz |
CDMA2000 1x EV-DO | 850M/1900MHz |
ネットワーク機能は、Wi-Fiモデルが5GHz帯(W52、W53、W56)を含むIEEE802.11a/b/g/n準拠の無線LANとBluetooth 4.0+HS、3Gモデルが左記に加え、W-CDMA/CDMA2000 1x EV-DO対応のSIMロックフリー+GPS機能搭載3Gデータ通信モジュール「HP un2430 EV-DO/HSPA」を内蔵する。オプションでUSB有線LANアダプタ「HP USB Ethernetアダプタ」も用意する。
2011年8月、米Hewlett-Packard(HP)はPC事業を含むPersonal Systems部門(PSG)のスピンオフ・再編を検討すると発表。同年10月、分析の結果同部門はこれまで通り社内に保持するとした。
「2011年8月の発表は、PC業界の伸びが鈍化している中でどういった運営形態がよいのか考えるとアナウンスしたにすぎない。黙ってやってもいろいろな意味で健全性が保たれず、社内外に対して透明性を持って真剣に検討するという意図だった。結果としてソリューションポートフォリオや利益・規模、ブランド力、顧客価値などを改めてきちんとの審査・検討でき、PCビジネスはコア事業として継続することにした」(日本HP 取締役パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史副社長執行役員)
「とはいえ、日本では全体的にマイナス成長であるなか、PC事業のどこに成長性があると考えているか。全世界のPC普及率はまだ20%もない。また、同じものを5年そのまま使うこともない。さらにPC/IT技術を軸にしたクラウドソリューションやスマートグリッド、POS利用シーンなど、まだ拡大・成長できる余地がある。また、スマートデバイスが普及する中でコンテンツをどう作り、提供するか。ビジネスシーンでは、むしろ今まで以上にPCとそれに近いデバイスのパフォーマンスと利便性、双方の向上が望まれるようになる」(同)
日本HPは今後、社内にタブレットPC導入案件を支援するタブレットPCのソリューション営業チームの設立とともに、同社パートナー向けセミナーを定期的に開催するなど販売・導入を支援する体制を整え、法人のWindowsタブレット導入シーンを軸に法人PCビジネスの活況化を促す。一般オフィスシーン・営業スタッフ向け端末として以外に、サービス業での受付端末、医療機関での診察結果開示ツール、教育機関での電子教科書、小売業でのデジタルサイネージなど、これまでのPCと同じ使い勝手で、モバイル活用シーンでも使える──とするこれまでの“プラスα”の利活用シーンを提案するビジネス機器の1つとして今後販売を促進したい考えだ。
「昨今、在宅勤務やフリーデスクなど、ビジネスシーンのワークスタイルも多様化してきている。特にタブレットは、クラウドを中心とする通信サービスやテクノロジー、デバイスの追加・進化も手伝い、いつでもどこでも利活用できる。このため、PCに対する“コンパニオンデバイス”として企業において活用されていくと思っている。普段のPCと同じ使い勝手で、どこでも使え、アプリケーションやIT基盤も、セキュリティポリシー、システム管理など、既存のIT資産をそのままお使いいただける。2011年はかなりWindowsタブレットの企業導入事例が増え、Windowsタブレットに興味があるが、どうすればいいかと問い合わせいただくことも多くなっている」(日本マイクロソフト Windows本部の森洋孝エグゼクティブプロダクトマネージャ)
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