スマホっぽさも手に入れた新世代ペンタブレット――「Intuos5」でお絵かきしてみる:指とペンの“二刀流”でますます紙っぽい(2/2 ページ)
ワコムのペンタブレット上位シリーズ「Intuos」に待望の新モデルが登場。ペンによる操作に加え、新たに指での“マルチタッチ”にも対応し、スマートフォンのような感覚で拡大/縮小などが行えるようになった。その使い勝手を漫画家の卵、きゅうり氏とともに試す。
有機ELディスプレイはなくなり、「エクスプレスビュー」に
Intuos5は、タッチホイールやファンクションキーといったインタフェースをIntuos4と同様に搭載している。ボタンのレイアウトも従来とほぼ変わらない。
ただ、今回はファンクションキーの横にあった有機ELディスプレイによる機能表示がなくなった。その代わりに、ボタンに触れることで設定内容が画面に透過表示される「エクスプレスビュー」機能が加わっている。ボタンに指を置いていると設定内容がポップアップし、自分がどのボタンに触れていて、そのボタンに何の機能が割り振られているかひと目で分かる。
この機能は、画面から目線を動かさずに情報を確認できる点が便利だ。ただ、ボタンに触れてから表示されるまでに1秒ほど時間がかかるので、即座には確認できない。触れた瞬間に反応すると頻繁に情報が表示されてうっとうしいだろうから、触れ続けていないといけない仕様なのだろう。このタイムラグを許容できるかどうかは、人によりそうだ。ちなみにボタンの一部には突起が設けられ、手触りでどのボタンか確認できるようになっている。
こいつは便利だ! ワイヤレスキット
Intuos4ではBluetoothによるワイヤレス接続に対応したモデルが後から追加されたが、今回のIntuos5は2.4GHz RF方式のワイヤレスキットの装着に各モデルが対応した。このワイヤレスキットは、最新のBamboo向けに提供されているものと同じだ。アプリケーションソフトが付属しないタッチ対応モデルには、ワイヤレスキットが標準で付属する。
ワイヤレスキットには、タブレットに装着するバッテリーとワイヤレスモジュール、PC側に装着するUSBレシーバーが入っている。Bluetoothと違いレシーバーが必要なのは残念だが、同社広報担当によれば、「コストやデータ転送の面」でRF方式にメリットがあり、採用したという。本体を買い替えることなく、“3000円ちょい”を払えばタブレットをワイヤレス化できるというのだから、悪くない話である。
フル充電からの連続駆動時間はモデルにより異なるが、「Intuos5 touch medium」の場合だと連続8時間(公称値)となる。USBを経由して充電する仕様で、充電時間は6時間(公称値)だ。スマートフォンを充電する感覚で、寝る前にUSB充電しておけば、丸1日使える。
実際に体験してみると、ワイヤレスのペンタブレットはとても快適。USBポートにレシーバーを差しっぱなしにしておけば、タブレット側の電源ボタンを押すだけであっというまにPCとペンタブレットが接続され、即座に制作が始められる。ペンの感触や遅延に関しても、有線接続との違いは感じなかった。ケーブルの取り回しに悩むことなく、好きなポジションで利用できるし、離れた場所からでも使える。ちなみに、使用可能距離は約10メートル(環境による)となっている。
また、無駄なバッテリー消費を抑えるため、一定時間操作をしていないと自動で電源がローパワーモードになるのも好印象だ。デフォルトでは2分でローパワーモードに移行するようになっており、1〜20分の間で自由に設定を変更できる。ローパワーモードから復帰する際には、例えばタブレットに触れるなど何らかの入力操作をすればよい。
30分以上入力をしないとスリープモードに移行し、入力を受け付けなくなるが、電源ボタンを押せばすぐにまたタブレットが利用できるようになる。
ここまで見てきたように、新しいIntuos5はタッチ対応によって使い勝手が従来モデルと大幅に変わり、より直感的に操作できるようになった。各種のジェスチャーを駆使することで、マウスに手を伸ばすことが少なくなり、効率的に作品制作に打ち込むことが可能になるだろう。また、全モデルがキットによるワイヤレス化に対応したのも、うれしいポイントだ。
一方、筆圧やON荷重といった、表現力に関する技術は前シリーズから据え置かれているので、“書き味”という面では従来モデルも見劣りしない。Intuos4のユーザーにとっては、新モデルの利便性に魅力を感じるかどうかが、買い替えの大きなポイントになるだろう。
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