「VAIO Pro 11」「VAIO Pro 13」徹底検証(前編)――ソニーがHaswellで実現した“世界最軽量”タッチ対応Ultrabook:VAIO Z/VAIO Tとの比較も(2/6 ページ)
片や11.6型、約770グラムで約11時間駆動。片や13.3型、約1060グラムで約13時間駆動。いずれも液晶はIPSでフルHD表示、タッチ対応モデルもある。思わず「こんなPCが欲しかった!」と狂喜乱舞したくなる最新VAIOノートの実力を検証しよう。
「VAIO Pro 13」はタッチ付きで約1060グラム、タッチなしで約940グラム
VAIO Pro 11/13のボディデザインは、従来のVAIOモバイルノートに引き続き、六角形状の断面にして剛性を高めた「ヘキサシェルデザイン」だ。
VAIO Pro 13はかつてのハイエンドモバイルノート「VAIO Z」を薄く、軽くしたようなイメージだが、フルフラットではなく、手前側を絞り込んだフォルムを採用している。これはキーボードへのこだわりの一貫であり、パームレストの手前を接地面ギリギリまで下げ、段差をなくすことによるタイピングのしやすさを優先したため、ということだ。
VAIO Pro 13の本体サイズはタッチパネル付きで322(幅)×216(奥行き)×12.8〜17.2(高さ)ミリ、約1060グラムだ。VOMモデルで選べるタッチパネルなしの構成だと、322(幅)×216(奥行き)×11.3〜15.8(高さ)ミリ、約940グラムまで薄さと重さを減らせる。
ちなみに、2012年夏モデル(最終モデル)のVAIO Z(SVZ13119FJB)は、本体サイズが330(幅)×210(奥行き)×16.65(高さ)ミリ、約1170グラム(VOMモデルの最軽量構成で約1150グラム)だった。
VAIO Zに比べて最厚部は少し厚くなっているが、奥行きが長くなったこともあって、見た目には平べったいイメージが強くなった。重量の差は110グラムほどとわずかだが、それでも厚さと重さで不利になるタッチパネルを搭載しながら、はっきり体感できるほど軽くなった(比較写真は次のページを参照)。
通常電圧版の第3世代Core(開発コード名:Ivy Bridge)を極薄ボディに無理やり押し込めたVAIO Zと異なり、低電圧な第4世代CoreのUシリーズを存分に生かし、前方を薄く絞り込みつつ、さらなる軽量化を実現している。
「VAIO Pro 11」は前人未到の約770グラム、タッチ対応でも約870グラム
一方のVAIO Pro 11は、VAIO Pro 13を液晶サイズのぶんだけ小さくしたようなフォルムだ。本体サイズはタッチパネルなしで285(幅)×197(奥行き)×11.8〜15.8(高さ)ミリ、タッチパネル付きで285(幅)×197(奥行き)×13.2〜17.2(高さ)ミリとなる。
フットプリントは11型クラスの液晶を搭載するUltrabookとしてもダントツに小さい。11型クラスの液晶を搭載する多くの競合製品は、薄さを保つためにコンポーネントを横に逃がす設計を採用しているため、画面左右のフレームが広い傾向にあるためだ。
しかし、このVAIO Pro 11の液晶フレームの広さはVAIO Pro 13と変わらない。画面の左右が幅8ミリ、上が幅15ミリほどで、液晶サイズの差からイメージする通りの本体サイズにまとまっているのだ。つまり、13型クラスのUltrabookや他社の11.6型クラスのUltrabookに比べて、決定的な小ささが感じられる。そのサイズ感は、かつて薄型軽量で高評価を得たビジネス向け12.1型モバイルノートPC「VAIO type G」に近い。
そして、何より特筆すべきは、タッチパネルなしで約770グラム、タッチパネル付きで約870グラムという驚異的な軽さだ。かつてソニーは「VAIO X」の名で、11.1型ワイド液晶搭載ながら約655グラムという当時世界最軽量(10型以上の液晶搭載ノートPCにおいて、2009年10月8日発表時点、同社調べ)のノートPCを投入して話題を集めた。しかし、VAIO XのCPUは省電力で低発熱だが、非力なAtom Zを採用していた。
対してVAIO Pro 11は、PC用の主力CPUである第4世代CoreのUシリーズを搭載したうえで、約770グラムまで軽量化してきた。実際に持ち上げみると、フワッと浮き上がるような、いい意味で強い違和感がある。まさしく前人未踏、これまでのモバイルノートPCにはない領域に踏み込んだことを感じる瞬間だ。
これだけの軽量化を実現できた要因の1つには、天面と底面の両方に東レ製の「UDカーボン」を採用していることが挙げられる。UDとはUni Directionalの意味で、単一方向に繊維をそろえたカーボン素材だ。繊維を縦横に織り込んだ通常のカーボン素材(クロスカーボン)よりも軽くて薄く、剛性が高い一方、大変加工が難しいとされる。
これまでのVAIOノートで培ってきた加工技術により立体成型を可能にし、軽さと強度を極めて高いレベルで両立することを可能にしたという。昨今はカーボン素材を採用したノートPCも少しずつ増えてきたが、同じカーボンでも差異化を図っているのだ。
ちなみにパームレストはアルマイト処理のアルミニウム、ディスプレイの背面に装着されたバーもアルミニウムを用いており、高級感に配慮している。
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