「PCのデフレは終わった、価格勝負以外の需要創造を」――今後のPC販売動向はどうなる?:タッチ&Ultrabookの普及、そして円安(2/2 ページ)
家電販売店のPOSデータを集計するBCNがデジタル機器の売れ行きを分析、今後の動向を予測する記者会見を開催した。タッチパネル搭載機の増加やUltrabookの普及で、PCの価格は上昇傾向にあるという。
Ultrabookはソニーが独走するも、普及率は足踏み
PCの単価上昇は、比較的単価が高いUltrabookの販売数が伸びたことも要因という。2011年11月にASUSTeK Computerが「ZENBOOK」を発売して以降、順調に売り上げを伸ばし、2013年6月においては販売台数ベースで全ノートPCの10.2%を占めるまでに市場が成長した。しかし、2013年に入ってからはシェアの増加傾向は鈍っている。
Ultrabookの平均単価は国内メーカー製品が約10万円、海外メーカーが約6〜8万円となっている。メーカー別の売り上げは、2013年6月時点でソニーがトップとなった。2位、3位には東芝とASUSTeK Computerが続く。「Officeやタッチパネルを搭載しているぶん、国内メーカーの製品単価は高いが、それでもユーザーに買ってもらえる。とはいえ全体で10%程度なので、PC市場をけん引する存在となるにはまだまだ時間がかかりそうだ」と森氏は述べた。
タブレット市場については、変わらず市場規模は拡大しているものの、さらなる拡大には「アップルとASUS以外のメーカーがヒット商品を出すことが不可欠」(森氏)という。アップルは2013年5月末に行われたiPadの価格改定で販売台数が落ち込んだものの、他製品の販売台数が伸びなかった。タブレットのメーカー別シェア(2013年6月時点)は1位がアップルで53.9%、2位がASUSで24.5%、3位がソニーの5.6%と続く。4位は安価なAndroidタブレットを数多く投入した恵安(2.6%)となっている。
これらの販売動向を総括し、道越氏は「価格を下げて需要を喚起する手法ではもう戦えない。これからは単なる機能の追加ではなく、各機能がどのような価値を生むかを考え、アピールする必要がある」と指摘。変化する消費者の生活スタイルに合わせ、ユーザーにとっての価値を再定義するとともに、「革新的な製品へのチャレンジが不可欠」だとアピールした。
同発表会では、薄型テレビの販売動向についても大きく取り上げた。それについては下記の記事を参照してほしい。
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