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「MeMO Pad HD7」は7型Androidタブレットの新スタンダードか?「Nexus 7」と徹底比較(2/2 ページ)

ASUSがCOMPUTEX TAIPEI 2013で発表した7型Androidタブレットがついに日本上陸。コストパフォーマンスは同社製の人気機種「Nexus 7」を超えるというが、本当なのか試してみた。

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ディスプレイの色味を調節可能

photo ディスプレイは1280×800ドット表示に対応する。昨今の7型タブレットとしては標準的な解像度だが、Webブラウジングや動画視聴は快適に行える

 7型ワイド液晶ディスプレイは、1280×800ドット表示に対応しており、広視野角のIPSパネルを採用する。解像度はNexus 7と同じで、昨今の7型タブレットとしては標準的だ。評価機のディスプレイはNexus 7に比べて色温度がやや低く感じられるが、ASUS独自の機能「ASUS Splendid」で色味を調節することも可能だ。色温度や彩度などをユーザー自身で自由に変更できる。

 多数の蛍光灯があるオフィス内でも不満なく使える程度の輝度はあるものの、ディスプレイの表面は光沢仕上げなので、自分の顔や照明がはっきりと映り込む。Nexus 7の方がやや色温度が高いためか、輝度に同程度に設定していてもNexus 7が明るく見えるほか、色域もNexus 7のほうが広く見える。なお外光センサーを搭載していないため、ディスプレイ輝度の自動調節機能には対応しない。

 このディスプレイに10点マルチタッチ対応のタッチパネルを内蔵する。タッチ操作に対する追従性は良好だ。Nexus 7と比較するとホーム画面の操作では描画のカクつきを少々感じたが、アプリやWebブラウジングのレスポンスなどで不満はなかった。

 本体の背面下部にはステレオスピーカーを備える。音質は貧弱ではないものの、電源ボタンを上にして横持ちにすると、左手がスピーカーを覆ってしまい音がくぐもってしまうところは注意したい。内蔵スピーカーやイヤフォンの音質をコンテンツに合わせて調節するアプリ「AudioWizard」も搭載しており、「音楽」「動画」「ゲーム」「記録中(録音中)」「スピーチ」「OFF(非適用)」から選択できる。

photophoto ディスプレイの色味を変えるアプリ「ASUS Splendid」(写真=左)。内蔵スピーカーやイヤフォンの音質をコンテンツに合わせて調節するアプリ「AudioWizard」(写真=右)。省電力モードの時には本機能は自動でオフになる

パフォーマンスはNexus 7と同程度だが、バッテリー動作時間はやや有利

 ベンチマークテストを行う前にMeMO Pad HD7の構成をおさらいしよう。CPUはMediaTekのMTK8125(1.2GHz)を採用しており、4コアContex-A7のCPUコア(1.2GHz)とPowerVR SGX 544のGPUコアを1チップに統合している。メモリ容量は1Gバイト(DDR3LM)で、データストレージは16Gバイト(eMMC)だ。

 ベンチマークテストはQuadrant Professional Edition 2.1.1、AnTuTuベンチマーク 3.3、3DMark Android Editionを利用した。Nexus 7やインテル製SoC「Atom Z2420」を搭載する7型Androidタブレット「Fonepad ME371MG」ともスコアを比較してみたが、統合テストのスコアはMeMO Pad HD7がやや高く、グラフィックス系テストのスコアはNexus 7がやや高いという結果となった。グラフィックスについては、Tegra 3が1枚上手といえるが、体感で描画速度の差を感じることはほぼない。

photophotophoto 左からQuadrant Professional Edition 2.1.1、AnTuTuベンチマーク 3.3、3DMark Android Editionのテスト結果。全体的にMeMO Pad HD7とNexus 7のスコアは同等だ

 発熱については、室温28度の環境でのベンチマークテスト実行時に、背面の上部中央が約38度まで上昇した。縦持ちであれば問題はないが、横持ちの時はやや気をつけたほうがいいだろう。とはいえ、通常利用でベンチマークテスト程度の負荷がマシンにかかることはほとんどない。長時間動画を見るときなどは発熱する可能性は高いが、付属のスタンドを使えば熱を感じることはなくなる。

photophoto MeMO Pad HD7にはプラスチック製の簡易スタンドが付属する。縦置きと横置き両方に対応しており便利だ
photo 付属のACアダプタはプラグ部分が張り出して収納できないところは惜しいが、USBケーブルが着脱でき、コンパクトにまとまっている

 内蔵のリチウムポリマーバッテリーは容量を公開していないが、バッテリー動作時間は約10時間としている。同様の基準(輝度100カンデラ/平方メートル、720pの動画を連続再生した場合)でNexus 7は約9.5時間(カタログ値)動作する。

 実測のバッテリー動作時間は、動画再生アプリ「mVideo Player」を使ってMPEG-4 AVC/H.264(Baseline Profile)形式の1080p動画ファイルを再生させて調べた。ディスプレイの輝度は50%、Wi-Fiオン、音量50%の環境下で、満充電からバッテリーがなくなるまで約8時間動作した。同条件でNexus 7の動作時間が約6時間だったので、Nexus 7よりもバッテリーが持つ(ただし、輝度50%の条件ではMeMoPad HD7よりもNexus 7がやや明るい)。マシンに極端な負荷をかけなければ、一日中外出するような日でも、バッテリーの心配をする必要はなさそうだ。

 付属のACアダプタは、サイズが38(幅)×38(奥行き)×27(高さ)ミリ(プラグの出っ張りを含めると奥行き53ミリ)で、重量は約31グラムと軽量だが、プラグ部分が張り出して収納できないところは惜しい。ACアダプタの出力は5.2ボルト/1.35アンペアで、AC接続時の充電時間は約4.5時間としている。もちろんUSB接続でも充電は行える。

 省電力アプリも用意しており、本体がスリープ状態の時にネットワークを切断しバッテリーの使用電力を抑える「超省電力モード」、ネットワーク接続は維持しつつ電力消費を抑える「最適モード」のほか、省電力設定を個別にカスタマイズできる「カスタマイズモード」を備える。カスタマイズモードは「電子メール」「書籍」「音楽」といった動作ごとに省電力設定および画面輝度を設定できる。

 本機はNexus 7と異なり、ディスプレイ輝度の自動調節機能(外光センサーを搭載していない)がないため、高輝度のまま動作させてバッテリー消費が増える可能性もある。こうした省電力設定を活用し、バッテリー動作時間を延ばすようにしたい。

 このほかASUS独自のプリインストールアプリとして、アプリの起動をパスワードでロックできる「AppLocker」、画像を管理する「ASUS スタジオ」、お絵かきアプリ「ASUS Artist」、キーボードと手書き入力でメモが書ける「SuperNote Lite」、オンラインストレージ「WebStorage」などをそろえる。WebStorageは容量16Gバイトを1年間無料で利用できる。日本語入力ソフトは富士ソフトの「FSKAREN」だ。

photophotophoto ホーム画面にはASUSアプリのフォルダがある(写真=左)。お絵かきアプリの「ASUS Artist」(写真=中央)。ホーム画面内に展開できる浮動アプリも便利だ(写真=右)
photophotophoto 日本語入力ソフトは富士ソフトの「FSKAREN」(写真=左)。手書き入力も行える(写真=中央)。設定画面ではキーボードの種類や、入力方法の設定が行える(写真=右)

7型Androidタブレットの新しいスタンダードに

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 MeMO Pad HD7の実売想定価格は1万9800円前後だ。2013年7月17日現在、Amazon.co.jpでのNexus 7(16GバイトWi-Fiモデル)の価格は2万800円となっており、実売価格はほぼ変わらない。グローバルではNexus 7よりも50ドル安いとアピールしていただけに、円安の影響で価格面のインパクトは若干薄れてしまった。

 とはいえ、パフォーマンスは同レベルで、microSDHCカードへの対応やアウトカメラといったアドバンテージがあるため、本機はNexus 7よりもさらにコストパフォーマンスが高いタブレットと言える(NFCは省かれたが)。Nexus 7のモデルチェンジもうわさされているものの、必要十分な性能に使いやすさ、そして手ごろな価格を備えた本機の存在感が薄れることはないだろう。Nexus 7に続く7型Androidタブレットの新スタンダードとなるだけの実力は十分にある。

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