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インタビュー

“画素密度No.1”の国産Ultrabookを徹底分解して秘密に迫る「FMV LIFEBOOK UH90/L」分解&開発陣インタビュー(後編)(1/6 ページ)

3200×1800ドット表示の14型「IGZO」液晶と洗練された薄型ボディが目を引く「FMV LIFEBOOK UH90/L」。開発陣インタビューの後編は、実機をバラバラに分解し、内部構造の秘密を明らかにする。

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←・「FMV LIFEBOOK UH90/L」分解&開発陣インタビュー(前編):IGZO液晶+第4世代Coreの“日本製”Ultrabookはこうして生まれた

薄さと頑丈さを両立する「超圧縮ソリッドコア」構造とは?

「FMV LIFEBOOK UH90/L」は9.2〜15.5ミリ厚の薄型ボディを採用しているが、手に持ってみると剛性の高さが伝わってくる。その秘密は新しく採用した内部構造にあるというが……

―― 「FMV LIFEBOOK UH90/L」は薄さと頑丈さを両立するため、独自の「超圧縮ソリッドコア」構造を採用したそうですが、従来機である「FMV LIFEBOOK UH75/H」の「超圧縮デュアルグリッド」構造とは何が違うのでしょうか?

立神氏 前回(UH75/H)の超圧縮デュアルグリッド構造では、両面実装のメイン基板を採用し、部品の出っ張りをよけながら、内部のクリアランス(隙間)をできるだけなくすように、桟となる樹脂パーツ(グリッド)を中に1枚敷いて、底面側からギュッと圧縮するように組み立てていました。これにより、薄さと強度を保っています。

 今回のUH90/Lは、液晶ディスプレイにタッチパネルを追加したことで、本体の装置内部をより薄く作る必要がありました。そこで、片面実装のメイン基板を採用して、基板部の薄型化を図りつつ、桟を入れずに、基板裏のフラットな面全体でキーボードを受ける構造としています。これにより、薄さと軽さ、頑丈さを強化しつつ、キーボードの打ち心地も向上させました。これが新しい超圧縮ソリッドコア構造と我々が呼ぶものです。

―― 約200kgf(重量キログラム)の重さにも耐えられる堅牢性(天板全面加圧試験より)は、この構造によるところが大きいのでしょうか?

立神氏 この構造で高密度に組み上げたことはもちろんですが、複数の技術を組み合わせています。天面と底面に頑丈なマグネシウム合金を採用したこと、パームレスト面と底面のカバーをそれぞれ箱型に成型し、上下から重ねて側面を2重化することでボディのねじれを抑えたこと、そして電子部品の凹凸に合わせて底面の厚みを削って変化させ、最薄部で厚さを統一する場合より高い強度を確保したこと(板厚変化工法)、こうした技術の積み重ねによって高い剛性を確保しました。

 機構設計の担当としては、従来(UH75/H)比で1.5倍の強度をどの部分でも実現するという目標を掲げて開発してきましたが、結果としては多くの場所でこの目標をクリアしています。残念ながら、目標に届かなかった部分もありますが、それでも従来比で1.2〜1.3倍の強度を出すことができました。

先代機の「FMV LIFEBOOK UH75/H」では、格子状のグリッドを基板とキーボードの間に挟み込むことで、キー入力時のたわみを抑えつつ、剛性感をアップさせていた(写真=左)。UH90/Lの内部構造イメージ(写真=右)。片面実装のメイン基板を採用するとともにグリッドを省き、薄型化に磨きをかけながら、パームレスト面と底面のカバーを箱型にしてガッチリ重ね合わせ、内部に余計な隙間を作らないよう設計し、薄さと頑丈さのさらなる向上に努めた

本体厚の変化に合わせて内部パーツを配置

―― スペックアップしながら薄型化を果たした本体内部のパーツは、どのように配置を決めたのでしょうか?

山田氏 本体の奥から手前にかけて、ボディを斜めに削ぎ落して薄く見せるデザインとしているので、基本的に装置の奥側に厚みがあるパーツ、手前には薄いパーツを置いています。重量バランスも考慮し、手前に重いパーツ、奥に軽いパーツを配置することで、液晶ディスプレイを開けてタッチ操作する際、パームレストの手前が浮き上がるのを抑えています。

立神氏 具体的には、装置の手前に薄型のリチウムポリマーバッテリーがドーンと鎮座しています。底面側から見て、その右上にCPUとCPUクーラーを配置し、側面から効率的に排熱できるようにしました。厚みがある7ミリ厚のハイブリッドHDDやSO-DIMMのメモリスロットは奥側ギリギリの位置に押し込んでいます。バッテリーの左にあるのは、無線LAN/Bluetoothのコンボモジュールです。コネクタ類は左右の側面に搭載しましたが、これもデザインの邪魔になり、厚みがある端子を奥側に並べています。

 内部の基板類は大きく3枚構成です。CPUなど主要パーツを集めた片面実装のメイン基板が1枚と、側面にコネクタを配置するためのサブ基板が左右に1枚ずつ入っています。

注意!

製品を分解/改造すると、メーカー保証は受けられなくなります。内部で使用されている部品などは取材した機材のものであり、すべての個体に該当するわけではありません。



分解は本体底面から行う(写真=左)。見栄えに配慮した底面には、ネジが1本も見当たらないが、2個の黒いゴム足と、6個の赤いキャップを外すことで、8本のネジが現れる。8本のネジを外すと、底面カバーを分離することが可能だ。取り外した底面カバーの裏面(写真=右)。マグネシウム合金を採用し、底面から側面まで一体成型の箱型カバーになっている。なお、「富士通 WEB MART」直販のカスタムメイドモデルでオプションのポートリプリケータを選択すると、底面の中央に専用コネクタが追加される

本体の底面カバーを外した状態。薄くて重量があるバッテリーは手前、厚みがあるハイブリッドHDDやSO-DIMMのメモリスロットは奥に配置している。底面側から見て右寄りに第4世代Coreと、CPUクーラーを置き、バッテリーの左にはPCI Express Mini Cardの無線LAN/Bluetoothコンボモジュールを装着している

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