かざして高速転送「TransferJet」、数年後“1.25Gバイト/秒”へ高速化目指す:CEATEC JAPAN 2013
かざすだけで高速転送、「TransferJet」の東芝製外付け製品が近日発売される。合わせて、数年後に最大10Gbpsを想定した規格を策定中とのことだ。
「CEATEC JAPAN 2013」で東芝は、同社が推進する近接無線転送技術「TransferJet」の同社製製品群を展示。数年後のロードマップも示した。
TransferJetは東芝やソニーのほか、国内外のカメラメーカー、家電・AV機器メーカー、通信事業者がTransferJetコンソーシアムのプロモータ会員として名を連ね、規格化や製品化を推進する近接無線伝送技術。数センチ以内の距離において通信し、FeliCaのようなスタイルで手軽に利用できること、物理層で最大560Mbps(約70Mバイト/秒)と高速にデータを送受信できることを特徴とする。
技術仕様としては、中心周波数4.48GHz、通信帯域560MHz(4.2G〜4.76GHz)、送信電力-70dBm/MHz以下で動作。通信距離がごく短距離のためデータ漏えいの可能性が低いこと(複雑なセキュリティ設定も不要)、微弱出力による近接専用の無線システムのため、ほかの無線システムに干渉を与えにくく、多数のユーザーが同時に使用しても性能低下がないなど運用側のメリットも多く存在する。規格は2011年6月にECMA(ヨーロッパ電子計算機工業会)での標準化が完了、2012年9月にISO(国際標準化機構)/IEC(国際電気標準会議) 17568、17569として標準仕様として認定された。
CEATEC JAPAN 2013では、2013年10月現在の仕様で近日発売予定とする実製品の紹介に加え、2015年に2Gbps(約250Mバイト/秒)、さらに2017年に10Gbps(約1.25Gバイト/秒)と、より高速化させるロードマップが示された。
高周波数帯域を使用する近距離での新世代高速無線伝送手段として、Wi-Fi Alliance(旧WiGig)が推進する「WiGig(802.11ad)」(理論値最大約7Gbps)なども存在する。WiGigの想定通信距離は数センチのTransferJetに対し、もう少し広い数メートル(同じ部屋の中)の範囲とする違いがあるため、想定される使い方やニーズも若干異なる傾向だが、「より簡単」「より便利」「より高速」の方向は共通する。「まずはTransferJet対応機器を増やし、普及させる活動を推進するが、これからのユーザーシーンを考えると規格がいくつかあるより統一化/標準化されていたほうが利便性がよいはず。Wi-Fi Allianceとの連携もできればいいと思う」(説明員)
個人向け製品としては、USB 2.0接続型の「TJM35420UX/TJM35420MU」(製品化済み)と、TransferJetリーダー機能内蔵SDメモリーカード(2014年上半期リリース予定)を投入する。
USB接続型モデルはPC接続用のStandard-A端子搭載モデルと、スマートデバイス用のMicro-A端子搭載モデルの2つを含むパッケージとし、それぞれのUSB端子に差すだけで機器をTransferJet対応にできるようにする。想定機器はUSB端子を備えるPC、スマートフォン、タブレットのほか、テレビ/AV機器なども含む。発売は2013年12月、価格は4000円台を予定する。SDメモリーカード型(8G/16Gバイト)はデジタルカメラ/ムービーカメラ向けとし、同じく4000〜5000円ほどを想定する。
現時点、最大約70Mバイト/秒(実効レートでは最大約46Mバイト/秒ほど)となると、実感値としては現時点USB 3.0接続ストレージにコピーするほどの感覚か。大量のデジカメ写真データや長時間のムービーカメラデータを全部転送するならもう少し速度がほしい気はするが、仲間とちょっとしたデジタルデータを共有するシーンなどには認証不要でさっと送れる分、手間がかからず便利だ。
そして、将来の「1.25Gバイト/秒」はかなり夢が膨らむ。現時点のPCではストレージやインタフェースがボトルネックになるが、PCもその部分は相応に進化しているはずだ。まずは、TransferJet内蔵PCあるいは外付けストレージ機器が普及してくることを期待したい。
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