ついに出た“4K”ノートPC――「dynabook T954」の世界初ディスプレイを検証する:4K REGZA譲りの高画質化技術も(3/3 ページ)
いち早く4Kディスプレイを搭載した東芝の「dynabook T954/89L」。気になる超高精細ディスプレイの表示品質を測色器と目視でじっくりチェックした。
東芝がREGZAで培った高画質化技術も搭載
この4Kディスプレイの能力を最大限に引き出すべく、東芝独自の高画質化技術を盛り込んでいるのも見逃せない。同社の液晶テレビに搭載した画像処理エンジン「REGZA Engine CEVO 4K」をPCの高ppi環境向けにチューニングし、同等品位をCPUとGPUのソフトウェア処理で実現したという「レゾリューションプラス機能」を装備しているのだ。この機能も冒頭で述べたような画質の好印象に貢献している。
レゾリューションプラス機能は、静止画と動画それぞれで高画質化処理を行う。まずは静止画だが、「微細テクスチャー復元」と「輝き復元」で質感の向上を図っている。微細テクスチャー復元は、画像の輝度成分に対してテクスチャ解析を行い、抽出されたテクスチャの特性に応じた復元処理を施すことで、高ppiディスプレイで細部が見えにくくなる現象を抑え、画像の解像感を向上させる機能。低解像度の写真も質感を復元し、解像感を向上させる。輝き復元は、色相ごとに輝き成分を解析し、失われた細かな光沢成分を復元させて、画像の質感を向上させる機能だ。
動画再生時には、記憶色を想定した色調補正の「カラーエンハンスメント」、輪郭を鮮明化する「シャープネス」、映像分析で明部と暗部のコントラストを見やすく補正する「ダイナミックコントラスト」、テクスチャのエッジを検出して強調する「テクスチャエンハンスメント」、低解像度を高品位に引き伸ばして表示する「アップスケーリング」といった高画質化技術が適用される。
ただし、利用する動画再生アプリや動画ファイルの解像度により、適用される高画質化技術が異なる点は注意したい。Windows Media PlayerやYouTubeでも一部機能は使えるが、4K動画でカラーエンハンスメント、ダイナミックコントラスト、シャープネスを効かせて再生するには「TOSHIBA Video Player」を使う必要がある。
実際にレゾリューションプラス機能を試したところ、静止画でも動画でも液晶テレビのように発色がより鮮やかになり、文字や細部の解像感が高まるのが確認できた。ソースが4Kのコンテンツに比べると精細さは落ちるが、HD動画のエッジやコントラストの強調効果は明らかにあるので、積極的に試してみることをおすすめする。
レゾリューションプラス機能の対応状況 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
アプリケーション | TOSHIBA Blu-ray Disc Player/TOSHIBA Video Player | 東芝画面設定ユーティリティ (Windows Media Player、YouTube、RZスイートexpress) | TOSHIBA Media Player by sMedio TrueLink+ | ||||||
再生するコンテンツの解像度 | DVD再生 | BD再生 | 4K再生 | SD画質 | HD/フルHD画質 | 4K画質 | SD画質 | HD/フルHD画質 | 4K画質 |
カラーエンハンスメント | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | − | ○ | ○ | ○ |
ダイナミックコントラスト | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | − | ○ | ○ | − |
シャープネス | ○ | − | ○ | ○ | − | − | ○ | ○ | ○ |
テクスチャエンハンスメント | − | − | − | − | ○ | − | − | − | − |
4K dynabookでノートPCは次のステージへ
以上、dynabook T954/89Lがいち早く搭載したノートPCの4Kディスプレイをチェックした。表示が非常に高精細なことはもちろん、輝度、視野角、発色の面でも優れており、ノートPC内蔵のディスプレイが次のステージへ突入したことを感じさせる出来栄えだ。
今後は同様の4Kディスプレイ搭載ノートPCが他社からも登場すると予想されるが、製造工程におけるTechnicolor基準色への個別色調整や、東芝が液晶テレビの開発で培った高画質化技術といった点は、dynabook T954/89Lのアドバンテージになるだろう。
現状では4Kコンテンツが普及していないため、フルHD動画を再生しても物足りない部分があり、本領を発揮できるのはもう少し先になりそうだが、現時点でも高画素の写真や電子文書の文字などで、その実力を十分に味わえる。(これはRetina級ディスプレイを搭載した他機種でも同様だが)Windows 8.1のスタート画面やデスクトップ画面がきめ細やかに美しく表示されるため、通常のPC操作も気持ちがいい。
また豪華な4Kディスプレイに合わせて、4コア/8スレッド対応のCore i7-4700HQ(2.4GHz/最大3.4GHz)、AMD Radeon R9 M265X(専用グラフィックスメモリ2Gバイト)、IEEE802.11acの無線LAN、harman/kardonステレオスピーカー(DTS Studio Sound対応)を備えるなど、そのほかのスペックも充実している。実売価格は23万円前後(税別)の見込みと高めだが、ハイエンドな大画面ノートPCを求めるならば、是非検討したい1台だ。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
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