これがキーボード着脱式モバイルPCの最前線だ――「ASUS TransBook T300 Chi」徹底検証(使い勝手編):MacBookとは違うCore Mマシンの可能性に挑む(5/5 ページ)
タブレットとノートPCを1台に集約した2in1は、幅広い用途をカバーできるが、ともすれば中途半端な製品になりがちだ。キーボード着脱式の2in1で薄さを徹底追求したという「ASUS TransBook T300 Chi」は、ユーザーの期待に応えてくれるだろうか?
Core Mプロセッサでファンレスボディを実現
ASUS TransBook T300 Chiシリーズの基本システムには、開発コード名「Broadwell-Y」で知られるTDPが4.5ワットと低消費電力・低発熱のCore Mプロセッサを採用している。
現在のモバイルノートPCで主流となっている第5世代Core Uプロセッサ(TDP 15ワット〜)ではなく、Core Mプロセッサを選択することで放熱設計を簡素化し、タブレットとして違和感がないファンレス設計のボディを実現しているのは見逃せない。当然ながら省電力と引き替えに、パフォーマンスは第5世代Core Uプロセッサより下がるわけだが、どの程度の処理性能なのかは次回のベンチマークテスト編でお届けする。
今回入手したハイエンドモデルのT300CHI-5Y71が搭載しているのは、上位にあたる2コア/4スレッド対応のCore M-5Y71(1.2GHz/最大2.9GHz、4Mバイト3次キャッシュ)だ。GPUはCPUに統合されたIntel HD Graphics 5300を利用している。
メインメモリは8Gバイト(LPDDR3-1600)、データストレージはSerial ATA 6Gbps対応の128GバイトSSDを搭載。評価機のSSDは、BGAでオンボード実装されるSanDisc製の「i110」だった。タブレットとして考えると、ハイスペックな構成だ。
通信機能はIEEE802.11a/b/g/nの無線LANとBluetooth 4.0を標準装備。無線モジュールはIntel Dual Band Wireless-N 7265を搭載していた。今後は11acの高速無線LAN対応に期待したいところだ。センサー類は、加速度、ジャイロ、照度を内蔵している。
タブレット本体側のインタフェースは、Micro USB 3.0、Micro HDMI出力、ヘッドフォン/マイクコンボ(3.5ミリ)、インカメラ(約92万画素)、microSDメモリーカードスロット(microSDXC対応)を装備。必要最低限のポートは備えているものの、アウトカメラを採用しなかったのは、タブレットユースを考えると残念だ。前述の通り、キーボード側には充電用のMicro USB端子しかない。
製品にはACアダプタのほか、キーボードの充電に用いるMicro USBケーブル、そしてタブレットのMicro USBに周辺機器などを接続するためのMicro USB → USB変換アダプタが付属する。
一方、タブレット本体に内蔵されるステレオスピーカーの完成度が高いことには驚いた。7.6ミリ厚の極薄ボディに、出力2ワット+2ワットのステレオスピーカーを内蔵している。タブレットとしては十分なパワーがあり、映像や音楽のコンテンツを再生したときに落胆するようなことはないだろう。
また、プリインストールされる「Audio Wizard」では、「Music Mode」「Movie Mode」「Recording Mode」「Gaming Mode」「Speech Mode」と音響設定を切り替えられる。音響ソフトウェアの「Realtek HDオーディオマネージャ」でも、各種サウンドエフェクトを設定可能だ。
プリインストールOSは64ビット版のWindows 8.1を採用。主な付属ソフトウェアは、ASUS独自のユーティリティ群を除けば、McAfee LiveSafeやKINGSOFT Office 2013 Standardの体験版(30日間)のみと最小限の構成だ。
なお、ASUS TransBook T300 Chiのラインアップは3モデルあり、このT300CHI-5Y71以外に、Core M-5Y10(800MHz/最大2.0GHz)を搭載した下位の「T300CHI-5Y10」(実売9万9800円前後)と、T300CHI-5Y10にOffice Home and Business Premium プラス Office 365 サービスを付属した「T300CHI-5Y10S」(実売12万4800円前後)も販売中だ。
以上、ASUS TransBook T300 ChiのハイエンドモデルであるT300CHI-5Y71について、大きな特徴の薄型ボディをはじめ、着脱機構、液晶ディスプレイ、入力環境、基本スペック、拡張インタフェースなどをチェックした。後編では、Core Mの採用で気になるパフォーマンスやバッテリー駆動時間、動作時の発熱をテストしていく。
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