「VAIO Z」が第6世代Coreの採用を見送った理由:Windows 10搭載モデルは出たが……
Windows 10モデルを一斉に発表したVAIOだが、ハードウェアは既存製品のままだった。「VAIO Z」や「VAIO Z Canvas」は第6世代Coreの採用が見送られている。
プロセッサが旧世代になっても優位性は維持
VAIOは10月6日、Windows 10プリインストールの「VAIO Z」「VAIO Z Canvas」「VAIO Pro 13 | mk2」を発表した。同日に直販モデルは先行受注を開始し、店頭では10月15日(VAIO Z Canvasは10月22日)に発売する。
既報の通り、これらはプリインストールOSにWindows 10を採用した以外、ハードウェアスペックに変更はなく、第6世代Core(開発コード名:Skylake)プロセッサの搭載は見送られた。このような形でWindows 10モデルが発表されたことで、2015年秋冬商戦にこれらの製品でプロセッサ刷新はないとみられる。
現状でVAIOは、製品サイクルをソニー時代より長く設定しており、新世代プロセッサ発売時にそれのみ変更するような細かいモデルチェンジは行わず、製品競争力が発揮できる間は既存モデルを継続販売しつつ、リソースを新規開発モデルに集中する方針を採っているという。
この背景には、ソニー時代と異なり、限られた開発リソースやコストを細かい仕様変更に分散できない事情もあるが、昔に比べてプロセッサの世代交代でユーザー体験が大きく変わることは少なくなり、PC市場が成熟したことで、頻繁なモデルチェンジの必然性が薄れたという時代の流れもある。
実際、VAIO ZとVAIO Pro 13 | mk2は第5世代Core(開発コード名:Broadwell)を搭載し、VAIO Z Canvasは製品投入タイミングがIntelのプロセッサリリース時期とかみ合わず第4世代Core(開発コード名:Haswell)を採用しているものの、プロセッサが旧世代になったことで製品自体が陳腐化した印象は比較的小さい。
他社も第6世代Core搭載モバイルPCのリリースがまだ少ないうえ、もともとVAIO ZとVAIO Z Canvasは2in1構成の薄型軽量ボディにTDP(熱設計電力)が通常より高いパフォーマンス志向のプロセッサを載せており、VAIO Pro 13 | mk2は薄型軽量ながら優れた堅牢性を確保するといった差異化が図られているからだ。
特に、最新かつ最高の性能をモバイル環境に求めるVAIO Z/VAIO Z Canvasユーザーは、最新世代プロセッサの非採用を残念に思うかもしれないが、現行モデルでも“この小ささと軽さのモバイルPCでは突出した性能”という優位性があることは疑いようがない。依然として、パフォーマンス志向のモバイルPCを好むユーザーにおすすめの製品と言える。
ちなみに、VAIO Z Canvasについては、eDRAM搭載のIris Pro GraphicsをCPUに統合した4コアモデルが第6世代Coreで発表されておらず、載せ替えるべきプロセッサが出ていないという事情もある(第5世代Coreでは該当するモデルがあるが)。
最後に、2015年秋冬商戦に発売するPC新製品は今回のWindows 10モデルだけなのかとVAIOに問い合わせたところ、現時点での明言は避けるとのことだった。既存モデルと異なる最新プロセッサ搭載のVAIO新製品が追加で発表される可能性も考えられる。
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