Appleの定額制音楽配信サービス「Apple Music」が6月末にスタートしてはや4カ月弱。開始と同時に無料トライアルを開始したユーザーは、先月末で無料期間が終了したことになりますが、その後どのくらいのユーザーが有料メンバーシップに登録したのでしょうか?
Appleのティム・クックCEOが米Wall Street Journalのカンファレンス「WSJD」で発言した内容よると、Apple Musicは世界で1500万人が利用し、そのうち650万人が現在有料会員に、残りの850万人が3ヶ月の無料トライアルに参加したそうです。
8月にはエディ・キュー上級副社長が「トライアルユーザーは1100万人以上」と発言していたので、この2カ月ほどで新たに約400万人が利用を始めたことになります。
さてこの有料会員650万人という数字、ティム・クックCEOは「非常に好調」と語っていますが、実際のところどう評価すべきでしょうか?
競合他社の有料会員数と比較すると、世界最大の定額制音楽配信サービス「Spotify」が2000万人、仏から始まり世界180カ国以上でサービス展開する「Deezer」が630万人、インターネットラジオ「Pandora」が390万人となっています(「Spotify Ahead of the Pack in Terms of Paying Users」/statista)。
SpotifyやPandoraは無料プランと有料プランから選べるため、有料プランしかないApple Musicとの単純比較は難しいところですが、有料サービス初月であることを考えるとかなりの滑り出しと言えます。
それでは日本国内での利用者数はどうでしょうか?
アップルは国別のApple Musicユーザー数を公表していませんが、国内ではApple Musicのみならず定額制音楽配信サービス自体が苦戦している様子。
クロス・マーケティングの「サブスクリプション型音楽配信サービスの実態調査」によると、定額制音楽配信サービスの国内認知率は66.9%と、7割近くのユーザーに知られているにもかかわらず、サービスの利用率は7.9%と1割にも満たないことが分かりました。
「AWA」「LINE MUSIC」「Apple Music」で比較すると、それぞれの利用率は3.6%、4.5%、5.1%と軒並み低く、市場に浸透しているとは言いがたい数字です。
調査期間はApple Musicの有料期間がスタートしていない9月のため、想像以上に国内で受け入れられていないなという印象を受けました。Apple Musicのサービス開始時は、「邦楽のラインアップ数が物足りない」といった不満の声が聞かれ、このままでは日本国内でのサービス展開は厳しいものになるかもしれません。
……と記事を締めようと思っていたら、本日23日からApple Musicでソニー系レーベルの楽曲配信が始まっていました。
乃木坂46、JUJU、木村カエラ、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの最新タイトルや、松田聖子、TM NETWORKなどの老舗アーティスト、中川翔子やClariS、大原櫻子のアニソンなどが追加されています。
ソニー・ミュージックエンタテインメントはLINE MUSICに出資しているため、しばらくApple Musicへの配信はないものと思っていましたが、意外と早く実現したのは驚きです。
しかしアルバムの中には虫食いのように未配信となっているものもあり、今後の配信拡大に期待したいところ。他社を含めて定額制音楽配信サービスがどう変わっていくのか、今後の展開に注目です!
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