5月2日に「Windows 10 Cloud」と「新Surface」が発表される?:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/2 ページ)
教育分野で台頭する「Chromebook」対抗の新しいWindowsデバイスが、5月2日にMicrosoftから発表されるのではないか――そんなウワサが出てきている。
教育分野に本腰を入れるMicrosoft
「Windows 10 Cloudは教育分野を目指す」という認識で間違いないようだが、ここでの「教育分野」とは何だろうか。
かつて「エンタープライズ」というメインストリーム市場を取れなかったAppleが、Macで力を入れていたのが映像系などのプロフェッショナルな分野や、学校や生徒を対象にした教育分野だったわけで、どちらかと言えばニッチに近い位置付けにあったと思う。
ただ、教育分野での普及は将来的にユーザー層を拡大させる礎にもなるため、そうした期待も含まれていたのだろう。高級志向の製品を得意とするAppleがMacで比較的リーズナブルな価格の製品ラインアップを長らく用意してきたのも、教育分野を視野に入れた結果だと考えている。
それでは、Chromebookはどうか。2014年にChromebookで起きつつあるムーブメントを紹介した際は、「低価格なノートPC」としての人気が高まっているものと分析した。
「iPad」登場前夜の2010年前にブームとなった「Netbook」は、性能的な制約とメインストリームにあたるノートPCの大幅な価格下落により終焉(しゅうえん)を迎えた。セカンドデバイスとしてのNetbookはタブレットやスマートフォンに取って代わられたと考えている。こうした中でChromebookに人気が集まりつつあったのは、「もうこれで十分」というユーザー層が多く現れたことが大きいのではないだろうか。
その後もChromebookの市場は拡大している。例えば、調査会社NPDが2015年夏に出した資料によれば、毎年Chromebookの市場シェアは増えており、WindowsやMacなど他のプラットフォームの拡大ペースを上回っている。
最も顕著なのはIDCが2016年8月に出したデータで、同時期に米国では初めてChromebookの出荷台数がMacを上回った。Chromebookができることと言えば、WebブラウジングとWebアプリの利用のみで(後にAndroidアプリに対応)、WindowsやMacと比較しても限られている。それでもシェアが拡大しているのは、やはり「もうこれで十分」という層が支えているからだろう。
正直に言えば、Chromebookの購入層と教育分野がどれだけオーバーラップしているのか疑問を抱く部分もある。しかし、「値段が安いので収入の少ない学生でも買いやすい」「親が子供に贈るプレゼントに向いている」といった事情を考えれば、Chromebookと教育分野は潜在的に結び付いている可能性が高い。
実際、学校におけるChromebookの導入事例は増えている。Microsoftとしては「青田買い」の意味を込めて、この分野でのChromebookのプレゼンスが拡大する前にWindows 10 Cloudのような製品をぶつけようと考えたのかもしれない。
Microsoftは2017年1月24日、デバイス管理ツールであるIntuneを使って学校内のPCを管理するソリューション「Microsoft Intune for Education」を発表したが、次はいよいよデバイス自体とそこで動作するOSも投入し、教育分野に本腰を入れてくる構えだ。
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