Windows Updateのストレスが減る? 操作不能になる時間を短縮:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」
意図しないWindows Updateの実行と再起動で作業を邪魔された経験がある方は少なくないだろう。次期大型アップデートでは、Windows Updateのストレスが減るかもしれない。
Windowsユーザーにとって憂鬱(ゆううつ)なことの1つが、定期的にやってくるセキュリティ対策などのWindows Updateだ。アップデートと再起動の実行によって、最低でも十数分程度は操作不能になるため、どうしても生産性が落ちてしまう。
Windows 10ではアップデートに伴うOSの再起動を行わない「アクティブ時間」の設定が可能だが、一般ユーザー向けのWindows 10 Homeでは基本的に自動でWindows Updateが行われ、手動で制御できないため、意図しないタイミングでWindows Updateが始まってしまい困った経験を持つ方も少なくないだろう。
Microsoftもこうした問題は把握しており、今秋に配信される予定のWindows 10次期大型アップデート「Fall Creators Update」では改善策を講じる。Windows 10のFeedback Hubでの報告によれば、Windows Update実行中に操作不能になる時間が短縮されるようアップデートプロセスを見直すという。
バックグラウンド処理を増やして操作不能な時間短縮へ
Windows Updateは、ユーザーの操作が可能な段階でバックグランドタスクとしてアップデート作業が進む「オンラインフェーズ」と、ユーザーの操作が不可能になる段階の「オフラインフェース」に分かれている。
現行のWindows Updateのプロセスを単純化すると、以下の順番で処理が行われる。オンラインフェーズとオフラインフェーズが完了し、最終的な再起動が実行されると、PCはオンラインに戻って利用可能になる仕組みだ。
- オンラインフェーズ(ユーザーの操作が可能)
- PCがアップグレードをチェック
- アップグレードのダウンロード
- インストールを開始する前の再起動までの待機処理
- オフラインフェーズ(ユーザーの操作が不可能)
- PCの再起動とインストールプロセスの開始
- ユーザーコンテンツ(アプリや設定)のバックアップ
- 新しいOSファイルの書き込み(Windows Image:WIMプロセス)
- ドライバとOS関連ファイルの移行
- ユーザーコンテンツの復元
- PCの再起動とアップデートの後処理
新しいWindows Updateのプロセスでは以下のように、オフラインフェーズに行われる作業のうち、「ユーザーコンテンツのバックアップ」と「新しいOSファイルの書き込み」の2つをオンラインフェーズに落とし込み、ユーザーが操作不能になる時間の短縮を図る。
- オンラインフェーズ(ユーザーの操作が可能)
- PCがアップグレードをチェック
- アップグレードのダウンロード
- ユーザーコンテンツ(アプリや設定)のバックアップ
- 新しいOSファイルの書き込み(Windows Image:WIMプロセス)
- インストールを開始する前の再起動までの待機処理
- オフラインフェーズ(ユーザーの操作が不可能)
- PCの再起動とインストールプロセスの開始
- ドライバとOS関連ファイルの移行
- ユーザーコンテンツの復元
- PCの再起動とアップデートの後処理
Microsoftによれば、これでかなり操作できない時間の短縮が可能になるというが、実際にどの程度有効かは不明だ。
オンラインフェーズでは、ユーザーの操作性に影響を与えないよう、低い優先度でバックグラウンド処理が進むため、このプロセスを増やしたことで、Windows Updateの合計時間は長くなるという。また、オンラインフェーズ中の手動による再起動は厳禁だ。
しかし、オフラインフェーズの削減によって、操作できない時間は短くなり、ユーザーの利便性は高まることが期待できる。うまくいけば、Windows Updateに伴う生産性の低下を従来より抑えられるかもしれない。
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