Windows Phone 8.1サポート終了もWindows 10 Mobileへの移行は進まない?:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」
MicrosoftのモバイルOS「Windows Phone 8.1」がサポート終了となった。サポートを継続するには、Windows 10 Mobileに乗り換えるしかないが……。
2017年7月11日にMicrosoftのモバイルOSである「Windows Phone 8.1」のサポートが終了した。これにより、セキュリティ更新プログラムをはじめとするサポートは今後同社から提供されなくなる。
通常のPC向けWindows OSとは異なり、スマートフォン向けのWindows Phoneではライフサイクルの開始日(2014年6月24日)から最短36カ月でのサポート終了が明記されているが、Windows Phone 8.1はほぼその期間通りに終息となる。
Windows 10 Mobileにアップグレードしたくてもできない?
Windows Phone 8.1は2014年に登場したモバイルOSで、音声対応アシスタントのCortanaやアクションセンターなどの新機能が追加された大型アップデートだった。頻繁なアップデートが行われたわけではなく、メジャーアップデートとしては2015年春にリリースされたGDR3が最新だ。その後継となるWindows 10 Mobileは2015年秋にリリースされている。
今後もWindows Phone 8.1搭載デバイスのサポートを継続したい場合、Windows 10 Mobileへのアップグレードが必要だ。ただし、Windows 10 Mobileへのアップグレードが可能な機種は限られており、Windows Phone 8.1プリインストールモデルながらWindows 10 Mobileへのアップグレードパスを得られないデバイスもある。あらためて、携帯電話の製品寿命の短さを実感する。
もっとも日本の場合、Windows Phone 8.1プリインストールモデルとして発売された機種はマウスコンピューターの「MADOSMA Q501」しかなく、しかも同製品はWindows 10 Mobileへのアップグレードが可能だ。従って、Windows Phone 8.1のサポート終了による影響は受けない。
一方、海外ではMicrosoftのローエンド市場攻略の一環でWindows 10 Mobileの最低動作要件を満たさないWindows Phone 8.1搭載デバイスが大量投入されており、少なくない影響を受けそうだ。
ちなみに筆者の例では、2012年末に購入した当時のフラグシップモデル「Lumia 920」などがWindows 10 Mobileへのアップグレード対象外だ。しかしLumia 920は、プリインストールされていたWindows Phone 8時代から数えて4年半も現役でサポートされていただけ御の字かもしれない(筆者は後にWindows 10 Mobile搭載の「Lumia 650」を購入し、ここ1年半はLumia 920の電源さえ入れていなかったが)。
Windows Phone 8.1のユーザーはWindows 10 Mobileより多いが……
Windows向けアプリ広告事業を行うAdDuplexが発表した2017年6月版のWindowsデバイス動向調査によれば、現在稼働中のWindows Phone 8.1デバイスのシェアは73.9%で、Windows 10 Mobileのシェアは20.3%にすぎない。
モバイル向けWindowsを搭載したデバイスはアクティブユーザーの母数が少ないという事情もあるが、現在もなおサポートが終了したOSを使い続けているユーザーは、AndroidやiPhoneを含む最新機種に乗り換える予算やモチベーションがないなど、何らかの理由で古いデバイスを使い続けている可能性が高い。サポート終了を経ても、Windows 10 Mobileのユーザーが増えることにはつながらないだろう。
Windows Phone 8.1は利用者が急減することもなく、今後1〜2年をかけて徐々に減少していくカーブを描くことになるはずだ。
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