空気感で追う新型コロナと秋葉原自作街――アキバの1年を振り返る【前編】:2020年のアキバまとめ前編(3/4 ページ)
2020年の自作PCパーツ街を振り返るとき、新型コロナウイルスの存在を無視することはできない。流通と往来、モノの流行、売り場の雰囲気に至るまで、新型コロナの波に揺り動かされた1年だった。
6〜8月:給付金特需とレジ袋有料化、お祭り感が出し切れない空気
6月になると多くのショップが営業を再開し、店内入り口にはアルコール消毒液が置かれるようになった。街に浮かれた様子はないものの、往来も回復した感があり、PCパーツショップには多くの人が訪れるようになったという。
大勢のユーザーの購入資金になっていたのは、1人あたり10万円支給された特別定額給付金だ。ドスパラ秋葉原本店は当時、「10万円で一式そろえたいという方や、10万円近いハイエンドパーツを一点買いしていく方も増えています」と話していた。
反動ともいえる特需は、7月に入ると一旦落ち着く。キャッシュレス・ポイント還元事業が終了したのが大きく、レジ袋の有料化もブレーキを強めたとのコメントをしばしば聞いた。あるショップは「レジ袋自体はコンビニ業界が先行してくれたおかげでそこまで影響はありませんが、煩わしさを嫌う流れの需要先食いの効果はありましたよね。何かしら欲しい人は6月中に買い物を済ませてしまった感があります」とぼやいていた。
それでも4〜5月の状況と比べると街の空気は安定していたが、夏休みシーズンに向けたお祭り感は一向に沸いてこない。某ショップは当時「2019年の夏は第3世代Ryzenで大盛り上がりでした。それに比べるまでもなく、2020年はキラーパーツがなく、イベントで集客するのも厳しい状況です。当面は大人しく、あまり期待せず、粛々と営業していく感じになると思います」と話している。
実際、8月に入ると「例年比でいうと、2020年はコミケがない分だけ引いた感じで捉えるのがしっくりきますね」(TSUKUMO eX.)というほどには街はにぎやかになったが、往来は日によってまちまちで、ベテランのスタッフでも読めない日が続いたという。パソコン工房 秋葉原BUYMORE店は「天候や曜日にかかわらず、お客さんが多い日は例年並みかそれ以上になりますが、少ない日は本当にパタッと止まってしまいます。ちょっと予想がつかない状況が続いていますね」と首をかしげていた。
最後に9月〜12月を振り返る。
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