Ryzen×Chrome OSの実力は? 「ThinkPad C13 Yoga Chromebook」をじっくりチェック(1/2 ページ)
ThinkPadブランドのChromebookが、ようやく日本にもやってきた。しかも、AMDプロセッサ(RyzenまたはAthlon)搭載である。その実力はいかほどのものか、実機で試してみよう。
既報の通り、レノボ・ジャパンは2020年12月15日、Chrome OSを搭載する13.3型コンバーチブル2in1ノートPC「ThinkPad C13 Yoga Chromebook」を発売した。
Chrome OSを搭載するThinkPadは、海外では過去に数モデル登場しているが、日本ではこのモデルが初号機となる。加えて、同OSを搭載モデルとして初めて独自のポインティングデバイス「TrackPoint」を搭載したことも特徴だ。Chromebookに最適化されたというAMD製APU(GPU統合CPU)を採用したことも注目ポイントである。
この記事では、ThinkPad C13 Yoga Chromebookの「Ryzen 5 3500C」(2.1GHz〜3.7GHz、4コア8スレッド)を搭載する構成をチェックしていく。
ThinkPadらしい外観 よく観察してみると違いも
ThinkPad C13 Yoga Chromebookの外観は、一見すると従来のコンバーチブル2in1タイプのThinkPadそのものだ。しかし、よくよく観察してみると、違いも幾つか見受けられる。
まず、天板に「Chrome」ロゴがある。これは、他社のChromebook(Chrome OS搭載ノートPC)にも共通する特徴だ。Windows PCでは、わざわざボディーにWindowsロゴをあしらうことはない。個人的にはステッカーにするか、もう少し目立たないような印字でも良いと思うのだが……。
次に、ボディーカラーがアビスブルーとなっている。「アビス」という名前の通り、深みの感じられる青色だ。「ThinkPadといえばブラック」と思っている人もいると思うが、アルミボディーとなったThinkPad X1 Yogaは「ストームグレー」を採用しており、国や地域によっては、一部モデルに「シルバー」も用意している。黒くないThinkPadも、意外と悪くないものである。
そして、ThinkPadで定評のあるキーボードにも違いがある。日本初投入ということもあり、ThinkPad C13 Yoga Chromebookの日本向け固定構成モデルは、日本語(JIS)配列のキーボードを搭載している。
先述の通り、このキーボードにはTrackPointも搭載しており、キーボードのホームポジションから指を大きく動かすことなくマウス操作を行える。大きめのタッチパッドも備えているので、TrackPointに不慣れな人でも安心だ。
ただ、日本語配列ではあるものの、各種機能キーがChromebook固有のものとなっている。特に左側のCtrlキーとAltキーは、Windowsを搭載する一般的なノートPCと比べても“長い”ため、当初は違和感を覚えてしまうだろう。
Windows向けのキーボードではCaps Lockキーが来る場所に「検索キー」が配置されていることにも注意が必要だ。Caps Lockの切り替えを行う場合は、Altキーを押しながら検索キーを押せばよい。
なお、日本向けの固定構成モデルは、キーボード上部に約500万画素のアウトカメラを標準で装備する。タブレットモードにした際に、現場や室内などの写真を撮影しやすいことはありがたい。カスタマイズ(CTO)モデル(※1)ではアウトカメラの非搭載も選択可能だ。
インカメラ(HD、シャッター付き)は、全ての構成で標準装備となる。「Google Meet」を始めとするWeb会議で活用できる。
(※1)5月25日現在、日本では販売していない
キーボードは日本語配列だが、Chromebook特有の配列となっている。ThinkPadの特徴である「赤ぽっち」ことTrackPointも備えている。レビューした構成では、約500万画素のインカメラと指紋センサーも搭載する
ディスプレイはキレイ 拡張性もバッチリ
内蔵ディスプレイは、フルHD(1920×1080ピクセル)の13.3型IPS液晶で、最大10点のマルチタッチとペン入力に対応している。ただし、スタイラスペンが付属するかどうかはモデルによって異なる。付属する構成では充電式の「Lenovo USI Pen」が付属し、本体正面に充電にも対応するペンホルダーを備える。
液晶パネルの発色は良好で、動画の視聴も快適だ。
ポート類は、左側面にUSB 3.1 Type-C端子、USB 3.0 Type-A端子×2、イヤフォン/マイクコンボジャック、microSDメモリーカードスロットを、右側面にHDMI出力端子とUSB 3.1 Type-C端子を備える。USB 3.1 Type-C端子は、USB Power Delivery(USB PD)による電源入力とDisplayPort Alternate Modeによる映像出力にも対応する。
ワイヤレス通信は、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)とBluetooth 5.0を利用できる。Wi-Fi 6ルーターがあれば、より快適な通信を望める。有線LAN接続が必要な場合は、Chrome OSに対応するUSB接続の有線LANアダプターなどを用意しよう。
バッテリーは4セルのリチウムイオン式で、ユーザーによる交換には対応しない。満充電からの駆動時間は、最長約12.5時間だ(Google Chrome OS Power_LoadTestによるメーカー測定値)。ACアダプターは45W出力のものが付属する。バッテリー駆動時間は実際の使い方に大きく左右されるが、少なくともちょっとした外出時にバッテリー切れを起こして困るようなことはない。
ボディーはアルミニウム製で、サイズは約307.56(幅)×212.1(高さ)×15.5〜17.9(厚さ)mm、本体重量は約1.497kgとなる。最近の13.3型モバイルノートPCは、1kg前後の重量であることが多く、1kgを切るものもある。そのような状況に慣れすぎたせいか、ThinkPad C13 Yoga Chromebookを初めて手にしたときには「重いなぁ」と思ってしまった。
もっとも、重量は十分に持ち運べるレベルである。アルミボディーの質感は良好で、いわゆる「所有感」も十分に得られる。何より、ThinkPadの特徴の1つである頑丈さもしっかり確保している。“ガンガン”使い込むような人でも安心して使える。
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