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Ryzen×Chrome OSの実力は? 「ThinkPad C13 Yoga Chromebook」をじっくりチェック(2/2 ページ)

ThinkPadブランドのChromebookが、ようやく日本にもやってきた。しかも、AMDプロセッサ(RyzenまたはAthlon)搭載である。その実力はいかほどのものか、実機で試してみよう。

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Ryzen搭載のChromebook 実力は?

 先述の通り、ThinkPad C13 Yoga ChromebookはChromebookに最適化されたAMD製APUを搭載している。標準搭載するストレージはAPUによって異なり、AthlonモデルはeMMC、RyzenモデルはPCI Express接続のSSDとなる。

 今回レビューしているモデルの主なスペックは、以下の通りだ。

  • APU:Ryzen 5 3500C(2.1GHz〜3.7GHz、4コア8スレッド)
  • メインメモリ:8GB
  • ストレージ:128GB SSD
  • ディスプレイ:13.3型フルHD IPS液晶

 Chromebookとしては比較的スペックは高めといえるだろう。その実力を、ベンチマークテストを通してチェックしてみよう。

Geekbench 5

 まず、クロスプラットフォームのベンチマークテストアプリ「Geekbench 5」を試した。Chrome OSではAndroid端末用のアプリも稼働するするため、今回はAndroid版アプリを計測した。

 結果(スコア)は以下の通りだ。

  • Single Core:853
  • Single Core:3232

 ITmedia PC USERで以前にレビューした、Core i7-10510U(1.8GHz〜4.9GHz、4コア8スレッド)を搭載する「ASUS Chromebook Flip C436FA」のスコアと比べると少し低いが、それでもChromebook全体から見ると、十分に高いスコアである。

 全体的に動作が軽快なChrome OSだが、YouTubeアプリなどでフルHD動画を視聴すると、それなりに負荷がかかる。高負荷な状況でも快適に使えるのは、非常にありがたい。

Geekbench 5
Geekbench 5の結果

Octane 2.0

 続けて、Webブラウザベースのベンチマークテスト「Octane 2.0」を実行してみた。

 総合スコアは3万8669となった。こちらも、ASUS Chromebook Flip C436FAよりも数値こそ低いが、Chromebook全体で見れば高い方だ。もっというと、筆者が普段使っているCore i7-7600U(2.8GHz〜3.9GHz、2コア4スレッド)を搭載するWindowsノートPCよりも高い。

 最近は、ビジネスアプリでもWebブラウザベースのものが増えている。1日の仕事(作業)のほとんどをWebブラウザでこなしているという場合、少し古いWindows PCの買い換えする際にChromebookを選択肢に入れても良いかもしれない。

Octane 2.0
Octane 2.0の結果

PCMark/3DMark

 最後に、Windows PCの総合ベンチマークテストアプリとしても有名な「PCMark」のAndroid版をテストした。ただし、日程の都合で、現在公開されている64bit版ではなく32bit版アプリでのテストとなり、現行バージョンとはスコア上の互換性がないことに注意していただきたい。

 まず、「Work 1.0」のパフォーマンステストを実行した。総合スコアは1万8137となった。非常に優秀である。

 続いて、より近代的な「Work 2.0」のパフォーマンステストを実行……したのだが、何度繰り返してもテキストのペーストのテストで止まってしまい、完了できなかった。

PCMark for Android(Work 1.0)
PCMark for Android(Work 1.0)の結果
PCMark for Android(Work 2.0)
PCMark for Android(Work 2.0)では、テキストのペーストテストで止まってしまい、スコアを算出できなかった

 「このままでは……」ということで、当初は測定する予定のなかった3Dグラフィックスの性能を「3DMark for Android」でチェックすることにした。実行したテストは、主にOpenGL ES 3.1のパフォーマンスを確認する「Sling Shot Extreme」だ。

 スコアは6232だった。手元にあるFCNT(旧富士通コネクテッドテクノロジーズ)製のAndroidスマートフォン「arrows 5G F-51A」のスコア(5149)よりも良好だ。Chromebook向けとはいえ、Radeon Graphicsを統合したAPUを搭載した効果はてきめんといえそうだ。

3DMark
3DMark for Android(Sling Shot Extreme)の結果

Chromebookでもハイスペックを求める人にお勧め

 Windowsと比べると、Chrome OSは動作が軽快だ。そのこともあり「Chromebookには高性能CPUは不要である」という意見も見受けられる。しかし、動画再生やオフライン作業では、ローカル(端末)側の処理能力の高さが快適さを左右する。

 その点、ThinkPad C13 Yoga ChromebookのRyzen 5 3500Cモデルは負荷の高い作業も快適にこなせる。5月17日現在、日本では販売代理店を通して固定構成モデルのみ販売しているが、米国のようにカスタマイズモデルも選べるようになると、需要はともかくとして「カスタマイズできるChromebook」として貴重さが増すだろう。

 なお、ThinkPad C13 Yoga Chromebookの Ryzen 5/7モデルは、仮想マシンアプリ「Parallels Desktop for Chromebook Enterprise」の動作対象モデルに含まれている。「Windowsがないと困る」という人でも、Parallelsを通してWindowsを利用できることは心強い。

 ビジネス用途でハイスペックなChromebookを探しているという人は、ThinkPad C13 Yoga Chromebookをぜひチェックしてみてほしい。

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