「Google Workspace」は小学校でどう使われている? 3人の先生が解説(3/3 ページ)
文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」によって、小中学校では2020年度内に「1人1台」の学習用端末配備がおおむね完了した。しかし、端末配備後の様子は自治体や学校によってマチマチのようだ。うまく行っている小学校ではどのような取り組みをしているのだろうか?
GIGAスクール構想の成功には教師の「学び」「つながり」も重要
愛知県春日井市立藤山台小学校の久川慶貴教諭は、学習用端末の導入に伴う春日井市における教員側の取り組みを紹介した。
春日井市の市立小中学校では、1999年から校務の情報化(ICT化)に取り組み始め、2006年度から普通教室への実物投影機の配備を順次進めてきたという。2011年度には同市立出川小学校においてICTを活用した授業改善活動がスタートし、2014年度には同校に80台の学習用端末が配備された。2017年度からは授業改善活動が複数の学校で展開されるようになり、2020年度からは全学校にChromebookが配備され、クラウドツールとして「Google Workspace for Education」の利用も始まった。
出川小におけるPC活用事例や2017年度からの授業改善活動では、校内研修を公開したり事例を発信したりすることで、全ての市立小中学校に水平展開してきたという。そのため「(春日井市は)他の市町村と比べるとICTに関する土壌があった」(久川教諭)。
2020年度に導入されたGoogle Workspaceは、教師にとっても強い武器になるという。教師間の情報共有を行いやすいからだ。
春日井市では、少しずつ継続的に市立小中学校にICTを導入してきた。そのこともあり、Google Workspace for Educationの導入は、児童/生徒だけではなく、教員にとっても福音となったようである
藤山台小学校では、授業に関する校内研究会の振り返りに「Googleスライド」を、学年の予定管理を「Googleスプレッドシート」で行っているという。共同編集機能を使うことで、従来のように「持ち回り」をすることなく文章や資料を完成させられるようになった。
職員会議の資料は「Google Classroom」や「Google Chat」を使って共有することで、資料を探すのに戸惑うことも少なくなったそうだ。さらに、同校では教員へのアンケートに「Googleフォーム」を使うことで、紙の節約と情報集約の迅速化も図れた。
とはいえ、このようなICTツールの利活用を“苦手”とする教員もいることは事実である。そこで同校では「ミニICT勉強会」を実施することで、ICTが苦手な教員のフォローを行ってきた。
Google Workspaceの利活用は、1つの学校内にとどまらず、市立小中学校の教員の「横のつながり」にもメリットをもたらしている。
従来、他の学校における取り組みを直接見たり聞いたりするチャンスはそれほど多くなかったという。しかし、チャットなどを活用することで日常的に取り組みを紹介したり、それに対するフィードバックを得たりしやすくなった。同市のICT教育の中核を担う教員のチャットルームには同市教育委員会の指導主事(※)や大学教授も参加しており、専門的な立場からの意見や助言も得やすくなったという。
(※)指導主事:教育課程、学習指導、生徒指導、教材、学校の組織編成について、学校長や教員に助言と指導を与える役職。教育委員会の事務局に置かれる
春日井市では教員の夏季研修でもGoogle Workspaceに関する研修を行う。この研修の事前課題は、あえて児童や生徒と同じ方法で提示される。児童/生徒と同じように学ぶことで、授業でも同様に展開しやすいからだ。
「まず教師が活用して手応えを得てから、それを児童や生徒に展開する」という春日井市のやり方は、実物投影機を導入し始めた頃と同じである。しかし、クラウドツールを活用することで、その利活用や展開はかなり迅速化したという。
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