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PCの快適さは増す? スリムデスクトップPCをグラボでパワーアップしてみた(検討編)大型連休の自由研究(3/4 ページ)

手持ちのPCをパワーアップしたい――方法はいろいろある。PCI Expressスロットを備えるスリムデスクトップPCを使っている場合は、GPU(グラフィックスカード)を増設するという選択肢を取ってみるのはどうだろうか。この記事では、スリムデスクトップPCに搭載できそうなグラフィックスカードを検討していく。

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ではどのようなグラフィックスカードを選ぶ?

 今回の企画で使うグラフィックスカードは、「ロープロファイル対応」「GPU補助電源なしでも動く」の2点を必ず満たす必要がある。加えて、最大210Wの電源に過剰な負荷を掛けないような省エネタイプであることも加味して選ばなければならない。

 パワーアップするPCは、第6世代Coreプロセッサを搭載する。ゆえに、OS(Windows 10)のサポートの兼ね合いを考えると、使えても2025年10月14日までである。「残り約3年半のために、わざわざグラフィックスカードを追加するの?」と疑問を持つ人もいるだろうが、残り3年半で置き換えが見えているとしても、費用対効果があるなら“つなぎの”パワーアップはアリだと筆者は考える。

 とはいえ、グラフィックスカードを3年半で「お役御免」とすることはもったいないという思いもある。できれば、新しいデスクトップPCに買い換えたとしても、ある程度の性能を持って流用できる程度には新しい世代のGPUを搭載するものが望ましい。

 ロープロファイル、GPU補助電源不要、低消費電力、ある程度新しい――そうなると、選択肢はある程度限られる。

GeForce GTX 1650

 NVIDIAの「GeForce GTX 1650」は、2019年4月に発売されたGPUだ。アーキテクチャはGeForce RTX 20シリーズと同じ「Turing」だが、リアルタイムレイトレーシング(RT)処理を行う「RTコア」や行列同士で積和算を実行する「Tensorコア」が省かれている。基本消費電力は75Wで、GPU補助電源は原則として不要だ(※1)。バスはPCI Express 3.0規格に対応する。

 このGeForce GTX 1650には、搭載するグラフィックスメモリによって大きく「GDDR5モデル」と「GDDR6モデル」の2種類存在する(参考リンク)。どちらのモデルにも今回の条件を満たすグラフィックスカードは存在するが、GDDR5モデルを搭載するものの方が価格は手頃な傾向にある。

 なお、GDDR6メモリ版には搭載するGPUダイによって3種類のモデルが存在する。基本的なGPUスペックは3種類共に共通とされているが、動画のエンコードに利用する「NVIDIA Encoder(NVENC)」の仕様がモデルによって異なる(※2)。動画の編集や書き出しをする機会のある人で、GeForce GTX 1650のGDDR6モデルを搭載するグラフィックスカードを購入しようとしている人は、搭載されているモデルを必ず確認しよう。

(※1)GPU補助電源が必要なグラフィックスカードもあります
(※2)「TU117」はVoltaエンコーダーを、「TU106」「TU116」はTuringエンコーダーを搭載している

Radeon RX 6400

 AMDの「Radeon RX 6400」は2022年1月に発売されたGPUだ。当初、このGPUを搭載するグラフィックスカードはPCメーカーの完成品PC用とされていたが、4月からパートナー企業を通して一般ユーザー向けへの単品販売も始まった。標準消費電力は53Wと、先に紹介したGeForce GTX 1650よりも低い。バスはPCI Express 3.0/4.0規格に対応する。

 エントリークラスのGPUながらRTに対応していることが何よりの特徴である。消費電力も低めな上、グラフィックスカードのラインアップにもロープロファイルタイプ製品が幾つかあるので、スリムデスクトップPCのパワーアップにも使えそうである。

 ただし、Radeon RX 6000シリーズの上位製品とは異なり動画のエンコーダーは備えないので、動画の編集や書き出しをしたいという人は注意が必要だ。

NVIDIA RTX A2000

 「NVIDIA RTX A2000」は、GeForce RTX 30シリーズと同じ最新GPUアーキテクチャ「Amperer」を採用するプロフェッショナル向けグラフィックスカードだ。幅を抑えることでロープロファイルスロットにも収まるようになっている(ただし2スロットを消費する)。消費電力は70Wとなる。グラフィックスメモリの容量は6GBと12GBから選択可能で、バスはPCI Express 3.0/4.0規格に対応する。

 今回のパワーアップで選べる選択肢としては間違いなく“最強”で、特に3D CADの利用や動画の編集/書き出しでは強みを発揮できる。ただし、税込みの実売価格が6GBモデルで9万円弱、12GBモデルで11万円弱と、候補の中ではかなり高い。

Radeon PRO W6400

 AMDの「Radeon PRO W6400」は、Radeon RX 6000とシリーズと同じGPUアーキテクチャ「RDNA 2アーキテクチャ」を採用するプロフェッショナル向けグラフィックスカードだ。ロープロファイル対応であることに加えて、1スロットで収まるサイズ感ながらRT処理にも対応する。標準消費電力は53Wで、バスはPCI Express 3.0/4.0規格に対応する。

 このグラフィックスカードはオフィスワーク、出版編集作業や2D CADでの利用を想定しているといい、NVIDIA RTX A2000とは明らかに異なる用途を狙っている。AMDの説明を聞く限り、今回の企画の趣旨の理想に一番“どんぴしゃり”な選択肢だ。Radeon RX 6400とは異なり、ISV(独立ソフトウェアベンダー)の認証も取得済みなので、プロ向けツールを使う場合はRadeon RX 6400よりも安心して使える。ただし、Radeon RX 6400と同様に動画のエンコーダーは備えない

Radeon PRO W6400
Radeon PRO W6400は「日常をパワーアップする上で最強」という触れ込みで登場した。ある意味で、今回の企画で一番理想的なグラフィックスカードかもしれない

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