日本でFire TVシリーズはどんな感じ? 米Amazon担当者に聞いた(2/3 ページ)
Amazonの「Fire TVシリーズ」は、映像投影(キャスト)デバイスとして日本国内でも一定の地位を築いた。ヤマダホールディングスと提携してFire OSを搭載する「Fire TVスマートテレビ」も投入したが、今後日本においてFire TVシリーズはどのように展開されるのだろうか。米Amazonの担当者が語った。
コロナ禍が落ち着いて起こった「2つのこと」
―― コロナ禍になって、Fire TVシリーズが一時的に品薄になりました。「おうち時間」を過ごすために使われたようです。最近はコロナ禍もある程度落ち着いたように思えるのですが、Fire TVシリーズの売れ行き、あるいは利用動向に何らかの変化は生じているのでしょうか。
ラウシュ氏 2つの変化が起こっています。1つはストリーミングコンテンツの(共通する)トレンドだと思いますが、Fire TVを利用する時間やエンゲージメントは全体的に増加する傾向にあります。
もう1つは、(受像機としての)TVの文脈になるかと思いますが、私の孫の世代になると、説明しない限り放送としてのTVとは何なのか分からなくなる(意識しなくなる)ようになるでしょう。(放送であれストリーミングサービスであれ)Fire TVシリーズはお客さまが求めるコンテンツにアクセスするための一番気軽な方法であることを目指しています。
新型コロナウイルスのパンデミックの中で、この傾向はより一層強固なものになったと思います。お客さまはオンラインでの注文(買い物)とコンテンツのストリーミングを求めていた――これが利便性の上で一番便利な選択肢だったのです。
この傾向は、私たちの小売部門の動向からも確認できています。ここ数年Fire TVシリーズの売れ行きは右肩上がりで、パンデミックが落ち着きを見せた現在も落ち込んではいません。成長曲線は緩やかになるでしょうが、1〜2年はこの状況が続くと思います。
「在庫は大丈夫なのか?」という心配もあるかと思いますが、現在は落ち着いています(十分にあります)。
新型コロナウイルス感染症の拡大で急激に売り上げを伸ばしたFire TV Stickシリーズだが、パンデミックが落ち着いた昨今も売り上げの落ち込みは見られないという(写真はABEMAボタン付きリモコンが付属する「Fire TV Stick」)
―― 最近は、世界的な半導体不足や世界情勢の影響による物流の制約もあって、さまざまな電子機器の供給が厳しい状況です。Fire TVシリーズに限っては全く影響ないという理解で良いですか。
ラウシュ氏 (一般的には)家電はもちろん、自動車や私たちのFire TVシリーズで使われているチップセットなど、サプライチェーンに関わるほぼ全ての要素が影響を受けています。ただ、(Amazonの)サプライチェーンチームの頑張りと幾らかの幸運によって、(Fire TVシリーズの)供給は落ち着いています。
スマートTVユーザーほどFire TVシリーズを買う?
―― スマートTVを含めて、最近はTVにもストリーミングサービスを視聴するための機能が標準で付いていることが珍しくありません。この傾向がさらに強まると、わざわざ(Fire TVシリーズのような)ストリーミングデバイスを買おうと考える人が減ると思うのですが、その辺はどう考えていますか。
ラウシュ氏 興味深いことなのですが、Fire TVシリーズの利用比率を「非スマートTVユーザー」と「スマートTVユーザー」に分けて算出すると、スマートTVユーザーの方が多くなります。スマートTVのユーザーこそ、Fire TVシリーズの購入意欲が高いという状況です。私個人としても驚く結果ではあるのですが、(Fire TVシリーズが)誰にも使いやすく、なるべくシンプルなUI(ユーザーインタフェース)を志向していることの結果だと思います。
想像してみてほしいのですが、お使いのスマートフォンに電子メールをやりとりするアプリが7つもあって、やりとりをする相手によって変えなければならないとなったら、どれを使えばいいのか分からないでしょう。
私たちは、ストリーミングサービスのコンテンツをユーザーに届けることに焦点を当てています。だからこそ、こうなった(シンプルなUIとなった)のです。
現行のFire TVシリーズのUIは、コンテンツを“串刺し”してチェックしたり探したりしやすくすることに重きを置いている。コンテンツのサジェスチョンはアプリ側の対応も必要だが、この点はサービス(アプリ)提供者の協力の下で実現したそうだ(参考記事)
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