「Microsoft Defender for Individuals」でMicrosoftが狙う市場:Windowsフロントライン(2/2 ページ)
Microsoftがセキュリティ関連のソリューションを相次いで発表している。それらの意図は何か。同社の考えるセキュリティ戦略を読み解いていく。
Microsoft 365のサブスクリプションとして提供される
Windows 10/11におけるMicrosoft Defenderは標準機能なので、追加インストールも必要ないし、OSのプロセスの一部として動作するため、他の競合製品と比較しても基本的に負荷が少ない。
これに関して先日ちょっとした問題が報告されているが、影響範囲がやや広いため、おそらく近日中に対策が行われるとみられる。
→・Windows DefenderがIntel製CPUのパフォーマンスを低下させる可能性
これだけのソフトウェアが無料で標準添付されるのは、ユーザーが何らかの形でWindows OSを既に購入しており、Microsoftが戦略的に付加サービスとしてMicrosoft Defenderを提供しているためだ。一方でMetaOS戦略に沿って提供される“後付け”のMicrosoft Defender for Individualsではそういうこともなく、どのように収益を得ようとしているのだろうか。
からくりは簡単で、Microsoft Defender for IndividualsはMicrosoft 365のサブスクリプションの一部として提供される。例えば米国では一般向けとして「Microsoft 365 Personal」と「Microsoft 365 Family」の2つのサブスクリプションが提供されているが、これらを契約しているユーザーであれば、指定範囲内のデバイスに対してMicrosoft Defenderアプリをインストールしてデバイスを保護できる。
どちらかといえば、セキュリティ保護を求めて新たにMicrosoft 365のサブスクリプションを契約するというより、既存ユーザーがこれを使ってアプリを追加導入するケースを想定していると思われ、Microsoft的にも「損して得取れ」ではないが、囲い込みやテレメトリデータの収集を主眼にしていると予想される。既存ユーザーで興味ある方は、公式ページからぜひアプリを導入してみてほしい。
これは次回の話題の中で触れるが、Microsoftはその抱えるクライアント数やユーザーの多さから、世界で最も攻撃を受けている企業の1つとして知られている。同社には膨大なデータが蓄積されており、これがセキュリティ対策ソフトウェアでの強みの1つとなっている。
「餅は餅屋」ではないが、特にこれは中小企業のセキュリティ対策において、専門家であるMicrosoftに委ねてしまった方が安全という考えにもつながる。こうした部分を踏まえた上で、次回のMicrosoft Defender for Businessとランサムウェアの現状のまとめを読んでいただければ幸いだ。
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