究極の液タブは55万円! ワコムの新モデル「Cintiq Pro 27」をプロ絵師がレビュー(2/6 ページ)
ワコムから待望の新型液晶ペンタブレット「Wacom Cintiq Pro 27」が登場した。発売に先立ち、イラストレーターのrefeiaさんが実機を試してみた。新モデルの出来栄えは、いかに?
軽量/コンパクトになった別売の専用スタンド
次に専用スタンドです。Cintiq Pro 24/32用の「エルゴスタンド」の半分以下の9kgに軽量化して、全体的にシンプル/コンパクトになりました。
背面の大きなスライドがロック機構で、解除していると2つのヒンジを動かせます。角度が自由なだけでなく、ある程度浮かせることもできます。また、ロックをかけたときには、かける前から微妙に動くこともなく、その場でしっかり止まります。
浮かせた状態での安定感は悪くないと思います。揺れないわけではないですし、許容度も人それぞれある部分ですが、個人的には十分と思える剛性感です。ただしハッチングなどで、4Hz前後で上下に繰り返し動くような描き方をすると、振動を拾って大きめに揺れるシーンはあります。気になる人は下面を机につけた設置にするか、浮かせるにしても積んだ本などで隙間を埋めると良いでしょう。
回転機構もあり、左右に20度傾けることができます。個人的には回転させたい時はアプリ上で回転させますし、回転機構があると水平を外して使っていないかが心配になるので、ロックして使うと思います。
メカゴコロをくすぐりすぎる「Pro Pen 3」
次の注目点は、新開発のPro Pen 3でしょう。まずは見てください。
グリップが取り付け/交換可能なだけではなく、重さや重心も付属のオモリ(真ちゅう製のバランスウエイト)でカスタマイズできるようになっています。サイドボタンも2個から3個に増えています。従来は細いペンがよければ「Pro Pen slim」を、サイドボタンが3個欲しければ「Pro Pen 3D」を購入する必要がありましたが、今回はその需要を1本だけでカバーできます。
また、従来よりテーパーが鋭く、芯の伸び出しも長くなっています。ペン先周辺の視界が良くなっているだけでなく、深く傾けた持ち方でも描くことができます。
それ以外に、座標の取得頻度のような基礎スペックの向上や、芯穴と芯のクリアランスを詰めてガタつきを低減するなど、描き味の向上も盛り込まれています。
ファンの風切り音は聞こえるが集中を乱しやすい音ではない
次は気になる人は気になるポイント、冷却ファンの音を見て行きましょう。
従来のモデルは耳につきやすい音だったり、短時間で音が変化したりするファン制御でユーザーの集中を乱しやすい弱点がありましたが、本機はどうでしょうか。実感ベースで恐縮ですが、2つの条件でファン音を聞いてみました。
- 輝度最大/室温28度で1時間使用:相応の大きさで聞こえるが、音は丸めで嫌な音ではない
- 輝度50%/室温22度で長時間使用:静かな部屋なら常時聞こえる。バックグラウンドで動画などを流していれば気にしないでいられそう
ぐらいでした。いずれの場合も回転数がころころ変わるような様子はなく、集中を乱しやすい鳴り方ではありませんが、自分としては不満寄りの中立ぐらいです。皆が満足できるかというと「どうかな……」と思います。ノイズが気になる人なら、実機を確認するのが良いと思います。
また、せっかくなので吸音の工夫も試しておきました。本機は上面の排気口が音の主な出口です。試しにアクリル板を曲げてフェルトを張り付けたものをかぶせてみたところ、聞こえるファン音がかなり減って、個人的には十分満足できるレベルになりました。
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