ついに! ようやく? 「Intel Maxシリーズ」2023年1月から出荷 HBM付き「Xeon Max」と高密度実装GPU「Intel GPU Max」(2/3 ページ)
Intelが、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)と機械学習ベースのAI(人工知能)用のCPU/GPUの統一ブランドとして「Intel Max」を立ち上げる。その第1弾製品はSappire Rapidsと呼ばれていたCPU「Xeon Maxプロセッサ」と、Ponte Vecchioと呼ばれていた「Intel Data Center GPU Max」である。
Intel Data Center GPU Maxの概要
Intel Data Center GPU Maxは、「Ponte Vecchio」という開発コード名で開発が進められてきたHPC/データセンター向けGPUだ。
HPCや機械学習のデータ処理をする観点に立つと、GPUはデータの並行処理のオフロード用途やメモリのアクセス速度(HBMの採用)においてCPUに先行している。しかし、グラフィックスメモリの容量やプログラムの移植性やリファクタリングがボトルネックになることが多かった。
その課題を解決すべく登場するのが、Intel Data Center GPU Maxである。このGPUはIntel独自のスケーラブルGPUアーキテクチャ「Xeアーキテクチャ」をベースにエクサスケールコンピューティング(1秒当たり100京回の演算を行う処理)を行える設計としたものだ。シリーズ全体の主な特徴は以下の通りである。
- Intelの高密度パッケージ技術「Foveos」「EMIB」を適用
- 「Xeコア」と「RT(レイトレーシング)コア」は最大128基搭載
- FP64演算のピークスループットは最大52兆FLOPS
- 最大16基のGPUを転結可能
- L1キャッシュは最大64MBを搭載
- L2キャッシュ(Rambo Cache)は最大408MBを搭載
- グラフィックスメモリはHBM2E(最大128GBを搭載)
L2キャッシュの大容量化は効果てきめんなようだ。4K×4Kの2次元フーリエ変換を行う場合、L2キャッシュが32MBの場合の速度を「1倍」とした場合、408MB(最大値)とすると2倍の速度で処理できるようになるという(画像の32MB/80MBは、L2キャッシュの一部を無効化した状態で計測した値)
Intelの説明によると、NVIDIAの「NVIDIA A100」のPCI Express接続版(グラフィックスメモリは40GB:参考記事)と比べてIntel Data Center GPU Max(詳細スペックは不明)は「OpenMC」「miniBUDE」「ExaMSR」「Riskfuel」のワークロードをより高速にこなせるという。
ラインアップ
Intel Data Center GPU MaxはPCI Expressカードと、OAMモジュールの2形態で提供される。それぞれのラインアップと主な仕様は以下の通りとなる。
【PCI Expressカード】
- Intel Data Center GPU Max 1100(2スロットサイズ)
- Xeコア/RTコア:56基
- グラフィックスメモリ:48GB(HBM2)
- Xe Link Bridge(GPUリンク):最大4基
- 消費電力:300W
【OAMモジュール】
- Intel Data Center GPU Max 1350
- Xeコア/RTコア:112基
- グラフィックスメモリ:96GB(HBM2)
- Xe Link Bridge(GPUリンク):最大8基
- 消費電力:450W
- Intel Data Center GPU Max 1550
- Xeコア/RTコア:128基
- グラフィックスメモリ:128GB(HBM2)
- Xe Link Bridge(GPUリンク):最大8基
- 消費電力:600W
なお、OAMモジュールには、モジュールを4枚連結できるユニット「Intel Data Center GPU Max Sybsystem」も用意される。
OAMモジュールはIntel Data Center GPU Max 1350とIntel Data Center GPU Max 1550の2製品が用意される。それぞれを4枚セットにしたIntel Data Center GPU Max Sybsystemも登場する
関連記事
- 2種類のコアで「省電力」と「高パフォーマンス」を両立――Intelが「Alder Lake」の概要を公開 「Sapphire Rapids」にも新情報
Intelが報道関係者に技術動向を説明するイベント「Intel Architecture Day 2021」を開催。このイベントでは、次世代のCoreプロセッサとして2021年秋に登場する予定の「Alder Lake」の概要が公開された。 - Intelが「次世代Xeonプロセッサ(Sapphire Rapids)」をチラ見せ 広帯域メモリ内蔵バージョンを用意
スーパーコンピューターの世界的なイベント「ISC 2021」に合わせて、IntelがHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)に関する取り組みを発表した。その中で、次世代のXeonスケーラブルプロセッサ(開発コード名:Sapphire Rapids)にHBM(広帯域メモリ)を内蔵するバージョンが用意されることが明らかとなった。 - IntelがPC向けCPU/GPUのロードマップを更新 「Raptor Lake」は2022年後半に
Intelが投資家向けのイベントでCPU/GPUの最新ロードマップを公表した。第12世代Coreプロセッサの後継となる「Raptor Lake(ラプターレイク)」は2022年後半に登場するという。 - JEDECが「HBM3」の仕様書を公開 転送速度は毎秒819GBに
メモリの規格を策定する業界団体であるJEDECは1月27日(米国東部時間)、次世代のメモリである「HBM3(High Bandwidth Memory 3)」の仕様書を公開した。 - Intelがファウンドリ事業のイノベーション促進に向けて10億ドルの基金を設立 RISC-V団体にも加盟
米Intelは、自社で運営するファウンドリ事業のイノベーション促進に向けて10億ドル(約1150億円)の基金を設立すると発表した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.