「Mac Pro」並みの動画編集能力を持ち運べる! M2 Max搭載「16インチMacBook Pro」の実力を先行チェック:本田雅一のクロスオーバーデジタル(4/4 ページ)
Appleが2月3日に発売する新しい14インチ/16インチMacBook Proは、見た目が全く変わっていないものの、チップ(SoC)がM2 Pro/M2 Maxに変わっており、思った以上にパワーアップを遂げている。M2 Maxチップ搭載の16インチMacBook Proを先行して試してみた上で、インプレッションをお伝えしようと思う。
機構設計は同一ながらも中身はより新しく
冒頭でも少し触れたが、今回登場した新しいMacBook Proは、先代モデルと外観が“全く”といっていいほど変わっていない。しかしよくよく見てみると、M2 Pro/M2 Maxチップの採用以外にもアップデートされている部分が幾つか見受けられる。
その1つがWi-Fi(無線LAN)である。新しいMacBook Pro(とMac mini)は「Wi-Fi 6E」に対応している。Wi-Fi 6Eは従来の2.4GHz帯や5GHz帯に加えて6GHz帯でも通信できることが特徴で、とても混雑している2.4GHz帯や場所によっては混雑するようになった5GHz帯を“避けて”快適な通信を実現できる。
なお、6GHz帯での通信にはWi-Fi 6Eに対応する無線LANルーター(アクセスポイント)を用意する必要があるので注意しよう(参考記事)。
加えて、映像出力仕様もアップデートされ、HDMI端子から8K/60Hzまたは4K/240Hzの映像を出力できるようになった。8K動画の編集にもピッタリである。M2 Maxモデルであれば、Thunderbolt 4(USB4)端子を併用して最大4台の外部ディスプレイをつなげることも可能だ(M2 ProモデルはHDMI出力を含めて最大2台)。
変わらない見た目もあって、筆者は当初「これはマイナーチェンジだよな」と思っていた。しかし、実際に使ってみると、特にM2 Maxモデルは“ほぼ”フルモデルチェンジと考えて差し支えないと感じる。
さすがにM1 Pro/M1 Maxチップを搭載する先代モデルを持っている人にまで買い換えを勧めることはしないが、Apple Siliconを搭載する14/16インチMacBook Proに少しでも興味のあるメディアクリエイターには購入を強くお勧めしたいアップデートとなっている。
ただし、M2チップファミリーを搭載するMacにおいて、一番コストパフォーマンスに優れているのはM2チップ搭載のMac miniだと思う。PC USERの読者であれば、USB接続のキーボード/マウスと外付けディスプレイくらいは持っているはず。そうであれば、本体(と対応する動画編集アプリ)を買うだけでMedia Engineの恩恵に浴せる。パーソナルな動画編集であれば、これで十分すぎるぐらいだ。
一方、新モデル登場が期待できない、Intel CPU搭載の「27インチiMac」を愛用しているユーザーには、M2 Proチップ搭載のMac miniと「Studio Display」の組み合わせも良い選択肢となると思う。唯一のネックは標準ガラスモデルで21万9800円というStudio Displayの価格だが、「27インチiMacをアップグレード(リプレース)する」と思えば、納得の行く金額ではあると思う。
ともあれ、M2 Pro/M2 Maxチップの登場によって、Apple Silicon搭載のMacの“層”は厚くなった。近くに試用できる量販店があれば、ぜひその“実力”を試してみてほしい。試用させてくれる所有者がいるなら、使わせてもらうのもアリだろう。
関連記事
- 新「MacBook Pro」を使って分かった超高性能と緻密なこだわり M1 Pro・Maxでパソコンの作り方まで変えたApple
AppleのM1 Pro・Maxを搭載した新型「MacBook Pro」が発売された。その性能に注目が集まっているが、実際の製品に触れて感じるのは単にベンチマークテストの結果だけでは評価できないディテールへのこだわりだった。 - M2 Pro/Maxチップを搭載した14/16インチ「MacBook Pro」が登場! 価格は28万8800円から
「MacBook Pro」の14インチモデルと16インチモデルが、搭載するSoC(プロセッサ)を一新する。CPUコアやGPUコアを強化した「M2 Proチップ」「M2 Maxチップ」を搭載することで、よりクリエイティブな作業に適したパフォーマンスを身につけた。 - 完成度を極めた新型「MacBook Air」 進化は「M2チップ」だけにあらず
7月15日に発売される新しい「MacBook Air」は、Apple M2チップが搭載されることに注目があつまりがちだが、それ以外にも見るべきポイントはたくさんある。発売に先駆けてレビューする機会を得たので、見どころをかいつまんで検証しよう。 - 新しい「13インチMacBook Pro」は誰のための製品か? 理想的な進化を遂げた「Apple M2チップ」の魅力
Appleの新SoC「Apple M2チップ」を搭載する13インチMacBook Airは、外観上はM1チップを搭載モデルと変わりない。しかし、実際に使い比べてみると、特に動画編集でパフォーマンスの差を体感できる。発売に先駆けて使ってみた感想をお伝えしよう。 - iPhoneの強みを反映した「Apple M2」登場 Appleの「黄金パターン」に弱点はあるのか?
AppleがMacにおいて自社設計のSoC「Appleシリコン」を採用する動きを強めている。Appleシリコンの展開において重要なのはiPhoneや一部を除くiPadで採用されている「Apple Aチップ」である。それはなぜなのか、ひもといていこう。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.