ついにカジを切ったDynabookの新モバイルPC「dynabook X83」は何がスゴい? 担当者が決断したワケ(1/4 ページ)
Dynabookが新たなモバイルノートPC「dynabook X83」を発表した。ユーザーによるバッテリー交換に対応にした設計や、小容量(S)バッテリー構成でもThunderbolt 4(USB4)端子を搭載するなど、他社のライバル機種を思いきり意識しているように見える。同社の担当者に話を聞きつつ、その特徴をチェックしていこう。【更新】
Dynabookは7月18日、ビジネス向け13.3型モバイルノートPC「dynabook X83/LW」の受注を開始した。本体価格はオープン設定となっている。
この記事では、Dynabookの担当者へのインタビューを交えつつ、本機の詳細をお伝えする。
【更新:9月6日16時】ライフサイクルマネジメント(LCM)運用サービスについて追記を実施しました
ユーザーニーズに応えてバッテリー交換可能に
dynabook X83は、Dynabookが強みとしてきた「薄型/軽量かつハイパフォーマンスなモバイルノートPC」に、ユーザーが内蔵バッテリーを交換できる設計を取り入れた新モデルだ。バッテリーを交換可能な設計としたことと、ビジネスパーソンの「ゲームチェンジャー」となるツールとなるという思いを込めて、プロモーション上は「CHANGER(チェンジャー)」というニックネームを付けて訴求していく。
なぜバッテリー交換にこだわったのかというと、自社で実施したユーザーアンケートにおいて、ペインポイント(不満点)の第2位として「バッテリー/電源への不満」がランクインしたことが大きいようだ。
本体の薄型/軽量化とバッテリーの大容量化を“両立”するため、最近のノートPCはユーザーによるバッテリー交換に対応しないことも珍しくない。昔と比べればバッテリーモジュール自体の寿命は延びたが、使い方や環境によってはあっという間に劣化してしまう。そのため、特に国内の法人ユーザーからは「バッテリーを自分(自社)で交換できるようにしてほしい」というニーズは多いという。
とはいえ、バッテリーを交換可能とする場合、バッテリー自体の強度(耐衝撃性能)をしっかり確保した上で、安全に交換できる仕組みを用意しなければならない。本体やバッテリーを無限に“分厚く重く”できるなら、安全性を確保する難易度は下がる。しかし、モバイルノートPCとして重要な可搬性(本体サイズや重量)を犠牲にしなければならない。
そこでDynabookが取った選択肢が、電源をオフにした状態で、内蔵バッテリーを簡単に交換できる設計だ。電源をオンにした状態でも交換できる「ホットスワップ」も検討したそうだが、設計面のバランスを取る観点から採用を見送ったそうだ。
dynabook X83の裏ぶたは、大きく2つの領域に分割されている。そのうち、パームレスト側は内蔵バッテリーとの“共締め”となっており、2カ所のネジを回すことで簡単に外せるようになっている。
パームレスト側の裏ぶたを外すと、内蔵バッテリーが姿を見せる。バッテリー上部にあるラッチを上方に動かしつつバッテリーに手を掛けると、簡単に取り外せる。取り付けは逆の手順で行えばよい。
バッテリーはSサイズ(2セル)とLサイズ(4セル)から選択可能で、物理的には全モデル共に両サイズのバッテリーに対応できる。ただし、Sサイズのバッテリーを標準搭載しているモデルはThunderbolt 4(USB4)端子が1基少なくなるので、注意が必要だ(詳しくは後述する)。
リチウムポリマーバッテリーというと、ふにゃふにゃしているイメージも強い。万が一、締め忘れたネジなどが原因で破損してしまうと、最悪の場合は発火事故にもつながってしまう。現に、一部メーカーのノートPCで「バッテリー破損による発火を防止するためのリコール」が行われたこともある(参考記事)。
ユーザーによる交換に対応すべく、dynabook X83は通常のリチウムポリマーバッテリーと比べると“固く”なっている。具体的には、バッテリーの表面と裏面にステンレス板を取り付けることで、異物や意図せぬ圧力でバッテリーモジュール自体が破損するリスクを軽減している。また、ユーザーがバッテリー交換時にバッテリー以外の部品に触れなくて済むように工夫も施されている。
なお、交換用バッテリーモジュールは、Lサイズのみオプションとして購入できる(※1)。有償の「ライフサイクルマネジメント(LCM)運用サービス」に加入している法人ユーザーについては、バッテリーモジュールの送付を受けるサービスも選択できるようになる。
(※1)Sサイズのバッテリーは保守部品として提供(LCM運用サポートでも入手可能)
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