なぜ高い? 59万円超のフォルダブルPC「ThinkPad X1 Fold 16 Gen 1」の秘密に迫る:発表から約1年(1/4 ページ)
レノボ・ジャパンが、ThinkPadの研究/開発拠点である大和研究所で「ThinkPad X1 Fold 16 Gen 1」とサステナビリティーに関する説明会を開催した。ThinkPad X1 Fold 16 Gen 1は2022年9月に発表されたモデルだが、最近になって本格的な販売を始めた所である。どのような特徴があるのだろうか。
レノボ・ジャパンは11月28日、大和研究所(横浜市西区)でフォルダブルPC「ThinkPad X1 Fold 16 Gen 1」と、同社のサステナビリティー(持続可能性)に関する取り組みを報道陣向けに説明した。
ThinkPad X1 Fold 16 Gen 1は、2022年9月に「ThinkPad X1 Fold」の新モデルとしてグローバル発表され、2022年10月には日本投入も発表された……のだが、本格的な出荷は最近始まったばかりである。
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11月28日現在の直販価格が59万9599円(税/送料込み)からと、他のThinkPad X1ファミリーと比べても“非常に”高価だ。しかし、それにはそれなりの“理由”がある。
コロナ禍を経て激変したPCの開発現場
大和研究所のルーツは、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)の「大和事業所」にある。1992年、ThinkPadはこの大和事業所で生まれた。それ以来、大和事業所は一部を除くThinkPadの研究/開発拠点となった。
2005年にLenovo(連想集団)がIBMのPC事業を買収した際に、大和事業所のThinkPad(ノートPC)の研究/開発機能はLenovoの日本法人であるレノボ・ジャパンに引き継がれた。その後、2010年12月に大和事業所は現在の場所に移転することになったが、その名称は“日本の”研究/開発拠点という意味を込めて「大和研究所」とされた。
現在も、ThinkPadの開発は大和研究所が主導する形で行われている。グローバルメーカーのノートPCは数あれど、“日本で”開発されているものはレアだったりする。
ThinkPadの開発をリードする大和研究所は、Lenovoグループ全体にとって最も重要な事業所の1つだ。近年では「日本から、世界へ――あらゆる人にテクノロジーの恩恵を届ける」というスローガンを掲げて活動している
1992年に生まれたThinkPadは、主にビジネスユーザーをターゲットとするノートPCとして進化を続けてきた。このことは現在も変わりなく、全シリーズに共通する哲学(フィロソフィー)として「意図のあるデザイン(Purposeful Design)」「信頼に裏打ちされた品質(Trusted Quality)」「妥協なき革新(Relentless Innovation)」を掲げ、研究/開発しているという。
1992年に初めてのThinkPadが発売されて以来、ThinkPadの開発哲学は現在に至るまで受け継がれている。過去には哲学に忠実であったがゆえに“冒険をしすぎた”製品もあったが、その経験も含めて現在のThinkPadに生かされている
そんなThinkPadも、時代の潮流の影響を受ける。特に2020年から始まった「コロナ禍」は、ThinkPadを含むノートPCに求められるものを大きく変えた。
まず、自宅や外出先での勤務(テレワーク/リモートワーク)とオフィスでの勤務を組み合わせた「ハイブリッドワーク」に取り組む企業が増え、それに伴いPCを使った「ビデオ会議(Web会議)」も一般化した。このことで、ノートPCでも高い処理パフォーマンスが求められるようになり、カメラや内蔵スピーカー/マイクの品質を意識するユーザーも増えた。
加えて、SDGs(持続可能な開発目標)を達成する観点から、PCに対して「サステナビリティー」を求める動きが強まっている。特にヨーロッパでは、PCの調達要件に「環境負荷の軽減」を盛り込む企業が多くなったといい、開発の時点から環境への配慮が強く求められるようになった。
生まれた時からスマートフォンに慣れ親しんでいて、環境問題への関心も高いとされる「Z世代」の社会進出が進んでいることも受けて、昨今の大和研究所では「現代的なデザイン」「従業員(ユーザー)体験の向上」「AI(人工知能)への対応」「持続可能性への対応」の4点に重点を置いた研究/開発活動を行っているとのことだ。
発表から1年が経過して“ようやく”登場するThinkPad X1 Fold 16 Gen 1も、そんな流れを受けて登場する1台だ。
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