HPが法人向け「AI PC」を一挙に発表 最上位の「HP Elite 1000シリーズ G11」は約1.18kgから:HP Amplify Partner Conference 2024(1/3 ページ)
HPが、法人向けノートPCを一挙に発表した。その多くはNPU搭載の「AI PC」で、Microsoftが推進する「Copilotキー」も備えている。またPolyブランドの新デバイスも発表されている。
HPは3月7日(米国太平洋時間)、米ネバダ州ラスベガスで開催中の年次イベント「HP Amplify Partner Conference 2024」に合わせて、法人向けノートPCと「Poly(ポリ)」ブランドのビデオ会議システムの新製品を一挙に発表した。法人向けノートPCについては、その多くがNPU(ニューラルプロセッサ)を搭載する「AI PC」となっており、同社のAI PCへの注力が“本気”であることを物語っている。
なお、今回発表された製品の日本での展開は未定だ。
Core Ultra/次世代Ryzen PRO搭載の「AI PC」 オーディオはPoly Studio
今回発表された法人向けノートPCは、プレミアムラインの「HP EliteBook」「HP Elite x360」と、メインストリームの「HP ProBook」の計18機種となる。CPUはIntelの「Core Ultraプロセッサ(シリーズ1)」またはAMDの「Ryzen PROプロセッサ」「Ryzenプロセッサ」を搭載し、先述の通りNPUを備える「AI PC」が多数を占める。Ryzen PROプロセッサは「次世代」をうたうものを備えるモデルもある(恐らく、現時点で未発表の「Ryzen 8040シリーズ」のAMD PRO対応構成だと思われる)。
加えて、今回の新モデルは、Microsoftが推進する「Copilotキー」も搭載しており、Copilotキーを押すだけでCopilotを呼び出して活用できる。
HPのプレミアムノートPCといえば、従来は「Bang & Olufsen(B&O)」によるサウンドチューニングが施され、そのロゴが刻まれていた。
それに対して、今回の新モデルではサウンドチューニングがHP傘下のPolyによるものに変更された。プレミアムモデルだけではなく、メインストリームモデルの多くもその対象で、「Poly Studio」というロゴがキーボードの右下に刻まれている。なお、Polyによるチューニングは、Webカメラの画質にも及んでいるという。
なお、同社のプレミアムノートPCのうち、「HP Dragonfly」は今回の発表に含まれていない。ブランドが消滅したわけではなく、「今後、別のタイミングで発表する」(関係者)そうだ。
パワフルなCPUを選択可能な「HP Elite 1000シリーズ G11」
先述の通り、今回の発表にDragonflyはない。そのため、最上位モデルは「HP Elite 1000シリーズ G11」ということになる。このシリーズは、クラムシェル型の「HP EliteBook 1040 G11」と360度回転ヒンジを備える2in1タイプ「HP Elite x360 1040 G11」の2製品から構成される。いずれも4月の発売を予定しており、価格は発売が近づいたタイミングで公表される。
EliteBook 1040 G11は約1.18kg、Elite x360 1040 G11は約1.38kgと、重量差が意外と大きいのは、剛性を確保する観点からElite x360 1040 G11がアルミニウムボディーを採用しているからだ(EliteBook 1040 G11はマグネシウム合金ボディー)。
いずれもCPUはCore Ultraプロセッサで、メモリは最大32GB、ストレージは最大2TBとなっている。熱設計が強化されており、同社が密度を2倍にしたという「ターボファン」が2基搭載されており、従来製品よりも騒音を40%抑制した一方で、1.4倍の放熱能力を実現したという。
ターボファンの搭載により、新モデルではCPUの標準消費電力(PBP)が15Wの「Uシリーズ」に加えて、PBPが28Wの「Hシリーズ」も選択できるようになった。「とにかく最高性能が欲しい」という性能重視のユーザーにとっては朗報といえるだろう。
ディスプレイは14型のWUXGA(1920×1200ピクセル)液晶または2.8K(2880×1800ピクセル)有機ELから選択できる。WUXGA液晶はパネルのスペックが複数用意されており、電子のぞき見防止機能「HP SureView」に対応するパネルや、タッチ操作に対応するパネルも用意されている(※1)。
HP SureViewは、本モデルから「第5世代」となり、前世代(第4世代)と比べると最大輝度が向上した一方で、消費電力は削減されている。これにより、SureView対応パネルを搭載した構成にありがちだった「のぞき見防止を有効にすると、バッテリー駆動時間が短くなる問題」を緩和した。
(※1)HP Elite x360 1040 G11は全構成がタッチ操作/ペン入力対応
ポート類も充実しており、左側面にはThunderbolt 4(USB4)端子×2があるだけでなく、右側面にもUSB 3.2 Gen 2 Type-C端子が1基ある。いずれもUSB PD(Power Delivery)とDisplayPort Alternate Modeに対応しているため、左側/右側のどちらにもUSB Type-C充電器を挿すことが可能で、使い勝手に優れている。USB 3.2 Gen 1 Standard-A端子とHDMI 2.1出力端子も用意されている。
バッテリーの容量は、標準バッテリー構成が56Whで、大容量バッテリー構成が68Whとなる。68Wh構成の場合、MobileMark 25での計測値で最長21時間、ビデオ再生で最長29時間という長時間駆動を実現している。
右側面にはnanoSIMスロット(モバイル通信対応モデルのみ)、USB 10Gbps(USB 3.2 Gen 2) Type-C端子とUSB 5Gbps(USB 3.2 Gen 1) Standard-A端子を備える
ノートPCは他にも多数リリースされている。
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