M3搭載新型「MacBook Air」は“1世代分以上”の価値をもたらす 実機を試して分かったこと(1/3 ページ)
「MacBook Air」が最新のM3チップ搭載モデルに生まれ変わった。パッと見では分からない新旧モデルで違いはあるのだろうか。林信行氏が実機を試した。
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
AppleからM3搭載の「MacBook Air」が発売された。新MacBook Airは、Appleシリコン登場以後、筆者が持っていたいくつかの仮説を裏付ける発表となった。それらを実機に触れながら述べていきたい。
Macのノート型として最も価格が手頃で、それだけに人気のMacBook Air。
多くのPCメーカーでは、値段を優先すべくCPUやディスプレイ回りのスペックやメモリ/SSD容量を必要最低限にするなどして、手頃なモデルを用意しがちだが、自社の「ブランド」の価値を大事に考えるAppleは常に「Macの最新ラインアップが備えるべき品質」に一定の基準を設けている。
つまり、最新MacBook Airは基準以下の品質の安価なPCではなく、最新Macの品質の基準点と言える製品だ(MacBook Air登場の前は、この座をiMacが担っていた)。
結論から書けば、最新のM3チップを搭載し、13インチと15インチの2つのモデルが用意され、Proモデルにはない4色のカラーバリエーションをそろえたMacBook Airは、Macを必要とする多くのユーザーのニーズに応える1台だ。
万人のニーズに応える新型MacBook Air
MacBook Airのカラーバリエーションは、全ノート型Mac共通で無垢(むく)のアルミを感じるシルバー、パールのような明るい輝きを放つスターライト、落ち着いた見た目のスペースグレー(MacBook Proのスペースブラックとは異なる)、かすかに青色のニュアンスを感じるミッドナイトの4色展開となる
ただし、ここでいくつか考えることがある。はっきりとした年数は言わないが、製品のライフサイクルを5〜6年以上と長めに設定しているAppleは、1年前のプロセッサであえて新製品は作らないが、1年前のモデルの継続販売も行っている(これはAppleのソフト開発時に設定している性能のベースラインが、2023年登場のM2モデルということの暗喩でもある)。
つまり、一口にMacBook Airを買うと言っても、ユーザーは4色2構成(標準モデルの場合)のM2版13インチMacBook Air、4色3構成のM3版13インチMacBook Air、4色3構成用意された15インチ版MacBook Airという32種類の基本構成から選ぶことになり、実は選択肢の幅は大きい(リアル/オンラインのApple Storeや一部の家電量販店などでは、さらに仕様をカスタマイズできる)。
選び方の最も簡単な方程式は、何よりも価格を優先させたい人はM2版MacBook Airを、そこまで価格にはシビアでないが、携帯性を重視したい人はM3版13インチのMacBook Airを、そして価格、携帯性と性能のバランスを重視する人は15インチ版MacBook Airを選ぶというものだ。
では、そもそもMacBook Airにするか、MacBook Proにするかをどう判断すればいいのか。MacBook Airでも、MacBook Proでできることはほぼ同様に行える。通常の利用でも性能的にもそこまで大きな差はない。上位モデルとなるMacBook Proが差を見せるのはビデオ編集や3Dコンテンツの制作、AIを使った画像編集ソフトなどの利用、生成AIをMacの上で直接動作させるといった使い方、あるいはAAAタイトルや高解像度グラフィックスのゲームをプレイするなど、まさにプロの用途(業務用途)や最新テクノロジーの活用を利用する際、それも一時ではなく継続的に利用する場合だ。
MacBook Airでも、これらができないわけではないが動作速度が劣る。特に継続的にこうした利用を行っているとプロセッサが熱を帯びてきて、それをクールダウンさせるために性能が自動的に少し落ちてしまう。MacBook Proは、これをファンで冷却して長時間高性能を保てる。ただ、冷却ファンを省いたMacBook Airは安く、軽く、薄型かつ動作音が静かであるのがアドバンテージだ。
MacBook Proはデジタル職人や研究者のためのモデルなのに対して、MacBook Airはそれ以外の多くの人のニーズに応えるモデルである。圧倒的に優れた外観、携帯性、価格、そして性能のバランスの取れたモデルで、それはM3チップになっても変わることはない。
関連記事
- 新「M3 MacBook Air」は守備範囲の広さが魅力 MacBook Proとの違いはある? 買い替え検討者に伝えたい注目ポイント
M2 MacBook AirやM3チップを搭載したiMacとのパフォーマンスの違いを考慮しながら、実際の使用感や購入時の参考となる情報についてレポートしていきたい。 - AppleがM3チップ搭載の「MacBook Air」を発売 13インチと15インチの2サイズで16万4800円から
Appleが、M3チップ搭載の「MacBook Air」を突如発表した。M2チップモデルと同様に13インチと15インチの2サイズ構成で、13インチモデルについては従来モデルも継続販売される。 - M3ファミリー搭載の新型iMacと16インチMacBook Proを試して分かったこと
Appleが新たに投入したSoC「Apple M3ファミリー」を搭載したiMacとMacBook Proシリーズが発売を迎える。一足先に実機に触れた林信行氏が、試して分かったこととは? - Appleが新型M3ファミリーを発表! M3 MaxはM1 Max比で最大80%高速化
Appleがスペシャルイベントにおいて、新型Apple SiliconのM3ファミリーを発表、同時にMacBook ProとiMacの新モデルを投入した。 - M2チップ搭載の「MacBook Air」は7月15日発売 7月8日21時から受注開始
AppleがWorldwide Developers Conference 2022(WWDC22)で発表したM2チップ搭載の「MacBook Air」が、7月15日に発売されることになった。Apple Storeでは、7月8日21時から販売予約を受け付ける。 - 「15インチMacBook Air」を買うべき人は? ベンチマークテストも交えて解説
6月に発売された「15インチMacBook Air」は、15.3型のディスプレイを備えながらも約11.5mmの薄さと約1.51kgの軽さを実現した。その秘密はファンレス設計なのだが、実用的に使えるのだろうか。検証してみたい。 - 完成度を極めた新型「MacBook Air」 進化は「M2チップ」だけにあらず
7月15日に発売される新しい「MacBook Air」は、Apple M2チップが搭載されることに注目があつまりがちだが、それ以外にも見るべきポイントはたくさんある。発売に先駆けてレビューする機会を得たので、見どころをかいつまんで検証しよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.