Microsoftが提唱する「AI PC」とは何か:Windowsフロントライン(2/3 ページ)
Microsoftが、「AI PC」の普及に向けて着々と手を打ちつつある、その具体的な内容を見ていこう。
AI PCとは何か Microsoftが2段階に分けて発表?
では、5月20日のメディアイベントでは何を話すのか。この辺りのMicrosoftのビジョンを改めて説明するとともに、これを実現するのに必要なAI PCとは何かを発表するのではないかと筆者は予想する。
つまり、AI PCに要求されるハードウェア要件だ。以前にWindows Centralのザック・ボーデン氏が次期Surfaceデバイスの概要について説明していたが、5月のイベントではこの新型Surfaceが発表されることになる。
特徴の1つは「Copilot」キーの搭載だが、もう1つはAI対応ハードウェアという点だ。3月にはビジネス向けにIntelのCore Ultraを採用したSurface Pro 10とSurface Laptop 6を発表しているが、当該のボーデン氏が記事で「Don't buy.」と警告しているように、実は今回の主役はIntelプロセッサではなく、以前のレポートでも触れた「Snapdragon X Elite」を搭載したQualcomm SoCベースのArm PCだ。
Surface LaptopにArmが展開されるのは初であり、初めてSurface主力製品でのArmデバイス標準化となる。詳細は次項で触れるが、これは非常に興味深いトレンドだ。
→QualcommがPC向けハイエンドSoC「Snapdragon X Elite」を発表 CPUもGPUもNPUも高速なのに省電力
なお、MicrosoftのAI PCに関するイベントは2段階で開催されると、筆者は予想している。6月上旬には台湾の台北市で「COMPUTEX TAIPEI 2024」があり、OEMメーカー各社はここに向けて新製品を投入してくる。
その昔、Microsoftは初めてSurface Proをリリースするにあたって、OEM各社に配慮する形でSurface RTから3カ月以上発売時期をずらしている。実際、同社がOEM各社が主役となる発表の場では一度もSurfaceをアピールしたことはなく、「24H2」と「AI PC」に関する発表会は5月と6月で合わせて2回開催となると考えている。
上がるハードウェア要求スペック
さて、問題はここからだ。「Arm PCが主役になる」というのは、2012年にWindows RTとSurface RTが発表された際にもあった現象だが、このときは「省電力なSoCで長時間動作」といった具合にフォーカスされたのは可搬性であり、決してパフォーマンスの話ではなかった。
だが今回、初めてバッテリー駆動時間のみならず、パフォーマンス面でもArm PCが注目を集めるタイミングがやってきたといえるかもしれない。実際にフタを開けてみないと分からない部分もあるが、AI PCをアピールするがゆえの逆転現象なのだろう。
以前のレポートでは、「わざわざMicrosoftが積極的にボーダーラインを上げてユーザーの離反を招くのか」の考えから、MicrosoftがAI PC対応を目処にわざわざ要求スペックを高く設定することはないのではと予測していたが、これについては雲行きがやや怪しくなってきたかもしれない。
前回のレポートでは、こうした理由からTrendForceが2024年1月に発表した2024年のAI PCに関する分析について“眉唾”のような評価をしていたのだが、この話題が真実味を帯びつつある。
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