組み込み機器のAI処理をより高速に――アダプティブSoC「AMD Versal」に第2世代 2025年後半に発売予定:SUBARUも採用
AMDが、組み込みシステム向けのSoC「Versal」の第2世代を2025年後半に投入する。全体的な処理速度を向上することで、「エッジAI処理を1チップでこなしたい」というニーズに応えられるようになったという。
AMDは4月9日(ヨーロッパ中央時間)、組み込み機器向けSoC「AMD Versal(バーサル)」の第2世代を2025年後半に発売することを発表した。発売までの主なスケジュールは以下の通りだ。
- 4月9日から:仕様書(早期アクセス版)を公開
- 2025年第1四半期:チップのサンプル出荷
- 2025年半ば:評価キットとSoMの提供を開始
- 2025年後半:製品版チップの出荷開始
AMD Versalは、一般的な組み込みシステム向けの「Versal Prime」と、推論ベースのAIエンジンを統合した「Vesal AI Edge」の2シリーズ構成となっている。両者は、AIエンジンの有無を除く設計は共通化されている。
データの前処理を担う「プログラマブルロジック(PL)」で静止画/動画の処理を行う場合は、初代Versal比で1秒当たり4倍の画素数を処理できるようになった。その能力を活用すれば、65%少ない面積の基板で2倍のカメラストリームを処理することも可能だ。
Versal AI Edgeにのみ搭載されるAIエンジンは、TOPs(1秒当たりの積和演算回数)が最大3倍となる。
「プロセッシングシステム(PS)」はArmアーキテクチャで、アプリケーションプロセッサ(CPU)「Cortex-A78AE」を8基、機器のリアルタイム制御を担う「Cortex-R52」を10基搭載している。初代Versalと比べると、スカラー演算の速度は最大10倍となっており、各種データの“後処理”速度が大きく改善される。
特にVersal AI Primeでは「1枚のチップで前処理→推論演算→後処理」を1チップで高速に行えるようになる。他のチップに処理を渡すこともないため、データを盗み取られるのリスクも大きく軽減可能だ。
関連記事
- エッジAI対応デバイスを迅速に開発できる「AMD Embedded+」アーキテクチャ登場 Ryzen EmbeddedとVersal Adaptive SoCを活用
エッジAIへのニーズの高まりを受けて、AMDがRyzen EmbeddedとVersal Adaptive SoCを併載することで高パフォーマンスと効率性を両立できるソリューションを発表した。マザーボードはODMメーカーを通して提供されるという。 - AMDが新型CPU「EPYC Embedded 9004シリーズ」を発表 エッジコンピューティング/工場用サーバ向け
AMDが「EPYC 9004シリーズ」の組み込み機器向けモデルを発表した。エッジコンピューティングや工場で使われるサーバで利用することを想定して、冗長性を高める機能を追加搭載した他、7年間の長期供給に対応している。 - AMD、ネットワークソリューション向けプロセッサ「Ryzen Embedded 5000」シリーズを発表
AMDは、“Zen3”ベースとなるプロセッサ「Ryzen Embedded 5000」シリーズの発表を行った。 - Maxtang、Ryzen Embeddedを搭載した組み込み向けミニPCを発売
リンクスインターナショナルは、Maxtang製の組み込み向けミニデスクトップPC「Maxtang VHFP30」の取り扱いを開始する。 - AMD、HSA対応の第2世代「AMD Embedded R」シリーズ発表
組み込み市場に注力するAMDが、そのハイエンドラインアップとして“BAID EAGLE”を投入する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.