STEAM教育ってどうなの? マイクラで金融教育?「EDIX 東京 2024」で見た最新事情(1/3 ページ)
東京と大阪で毎年開催されるEDIX(教育総合展)では、年々STEAM教育に関連した展示が増加し、内容も充実してきている。2024年はどうだったのか、筆者が気になるブースの様子をお伝えする。
5月8日〜10日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で教育関係の総合展示会「EDIX 東京 2024(第15回教育総合展 東京)」が開催された。ITmedia PC USERでも、本イベントに関するレポートが順次掲載されている。
- →“NEXT GIGA”に向けた各社の取り組みやいかに?──日本最大の教育関連展示会「EDIX 東京」に出展していたPCメーカーのブースレポート
- →日本最大の教育展示会「EDIX 東京」に大盛りランチパック!? GIGAスクール構想のその先を見てきた
- →Next GIGAで何が変わる? 文科省が「学習用端末」の要件や補助スキームの変更などを行った理由【前編】
この記事では、本イベントで展示されていたSTEAM教育(※1)に関する展示を紹介する。
(※1)Science(科学:理科)/Technology(技術)/Engineering(工学)/Arts(芸術:図工科や美術科)/Mathematics(数学)に関する教育の総称
アーテック:新製品「アーテックリンクス」やNext GIGA向け製品を多数展示
大手教材メーカーのアーテックは、新製品の「アーテックリンクス」を中心とするSTEAM/プログラミング教材やNext GIGA向けのアクセサリー類などを展示していた。中でも、理科の授業で活用しやすい「データサイエンス」の展示は充実していた印象だ。
「アーテックロガー」は、さまざまなセンサーのデータを記録するための装置だ。学習用端末とBluetooth経由で接続して、リアルタイムにデータを送り、PCでグラフ化することもできる。
例えば、加速度センサーと組み合わせて使えば、物理の「等加速度運動」に関する実験などの際に、正確な加速度を取得できる。気象センサーや電流センサー、水温センサー、酸素センサーなど、組み合わせられるセンサーは多く用意されているので、化学分野や生物分野でも利用可能だ。
アーテックロガーのデータは、学習用端末から取得できる。WindowsやChromeOS(Chromebook)の場合、取得に必要なアプリがWebブラウザ上で動作するので、追加のアプリ導入が不要なのも魅力だ
今回が初展示だという新製品「アーテックリンクス」は、新コンセプトのSTEAM教材で、今どきの家庭で使われる「スマート家電」の仕組みも学べる面白い製品だ。
本製品は大きく「メインユニット」と「拡張ユニット」に分かれており、メインユニットの四辺に拡張ユニットを接続して“拡張”していく。メインユニットには電源供給用バッテリーを接続する必要があるため、実際に接続できる拡張ユニットは最大3つとなる。ユニット間の固定にはマグネットが使われるため、脱着も容易だ。
拡張ユニットは全部で9種類用意されている(バッテリー/光センサー/人感センサー/マイク/スピーカー/入出力ユニット/加速度センサー/温度センサー/赤外線通信ユニット)。拡張ユニットの組合せと、Scratch 3.0ベースのビジュアルプログラミングによって、さまざまな機能を実装可能だ。
例えば、メインユニットにバッテリーと光センサー、人感センサーを接続すれば、「周囲が暗く、なおかつ人感センサーが人を感知したときのみ、メインユニットに搭載されているLEDを点灯する」という人感ライトを作ることができる。Bluetoothを使ってメインユニット同士に交信させることも可能で、アイデア次第でさまざまな利用方法が考えられる。
Scratch 3.0ベースのビジュアルプログラミング環境でプログラミングが可能だ。なお、先に紹介したアーテックロガーと同様にWindowsやChromeOSであればアプリをインストールすることなく利用可能だ
その他、アーテックブースでは「アーテックロボ1.0」「アーテックロボ2.0」を利用した高等学校向けのカリキュラムの提案や、教育アプリケーションや管理システム端末の展示も行われていた。さらに、Next GIGA向けアクセサリーとして、PCケースやヘッドセット、ペンなども展示されており、学校名などの“名入れ”ができることもアピールしていた。
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