“後出し”の生成AI「Apple Intelligence」がAppleの製品力を高める理由:本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/5 ページ)
生成AIにおいて出遅れを指摘されているAppleが、開発者向けイベントに合わせて「Apple Intelligence」を発表した。数ある生成AIとは異なり、あくまでも「Apple製品を使いやすくする」というアプローチが特徴だ。
そもそも「Apple Intelligence」って何?
生成AIの世界においてOpenAI、Microsoft、Googleが覇権を争う中、Appleはこのジャンルにおける開発成果を“一切”披露しては来なかった。しかし一方で、AppleはAI関連のデータ共有プラットフォーム「Hugging Face」を通して言語モデル「OpenELM」を公開するなど、オープンソースコミュニティーではむしろ生成AIに積極的な姿勢も見せている。
- →OpenELM(Hugging Face)
OpenELMを公開しているAppleは、かねて「クラウドには個人的な情報を送らない」と宣言してきた。そのこともあって、OpenELMがオンデバイス実行も可能なモデルとはいえ、生成AIを自社端末の機能向上に役立てる上でのハードルは高いと考えられてきた。
だが今回、同社はApple Intelligenceによってそのハードルを超え、iPhoneやiPad、Macなどに集約/管理されている極めて個人的な情報を活用し、エンドユーザーにアドバイスを送ることで、デバイスの活用効率を大幅に高める機能を実現しようとしている。オンデバイスでのAI処理と同等のプライバシーへの配慮を実現しつつ、クラウドベースのトップクラスのLLMに匹敵する性能を発揮できていることもポイントだ。
Apple Intelligenceでは、MicrosoftがWindowsやMicrosoft Officeなどに搭載しているAIアシスタント「Microsoft Copilot」と同様に、文章の生成やトーン変更、翻訳、要約といった機能も提供される。ただし、現状のCopilotのようなアプリ(の一部)としてではなく、OSの機能の1つとして提供される。また、サードパーティー製アプリもAPIを通して利用/連携可能だ。
例えば「メール」アプリでApple Intelligenceに文章の清書を依頼すると、エレガントなビジネスメールとして通用する文章に仕上げたり、届いたメールの文面をApple Intelligenceが要約してプレビューとして表示してくれたりする。メールを開く前に内容を把握しやすくしてくれるのはありがたい。
このApple IntelligenceのAPIは、既に統合済みの音声エージェント「Siri」の使い勝手も向上させる。
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