木に裏配線、ダミーモジュールなど“自作PCの幅”が広がった2024年:2024年のアキバまとめ【後編】(4/4 ページ)
意匠として木材を使用するPCケースが注目を集め、ケーブルを徹底的に隠す裏配線プロジェクトが話題となる一方で、ダミーモジュールが売れるなどの動きも見られた。2024年の自作PCトレンドは、案外見た目に集約されているかもしれない。
CUDIMMやダミーモジュールなど、DDRメモリにも新たなトレンド
仕上がりのトレンドでもう1つ象徴的だったのが、ダミーモジュールをセットにしたDDR5メモリキットが一定のヒットを記録しているという事実だ。11月下旬、v-colorからDDR5-6000 16GBとダミーモジュールをそれぞれ2本そろえた「Manta XFinity RGB DDR5 SCC」シリーズが2万円弱で売り出されている。
入荷したパソコンSHOPアークは「高速なDDR5メモリは4本で安定動作させることが難しく、2本で動かすというパターンが多くあります。ただ、それでも見た目重視で全てのスロットを埋めておきたいんです」というニーズがヒットにつながっていると分析していた。空きスロットを美しく埋めるという、機能性とはまた別の価値提供は今後も増えていきそうだ。
メモリ関連では、前編で少し触れたが、クロックドライバチップをモジュールに実装することで、より高速な環境で安定動作が見込める「CUDIMM(Clocked UDIMM)」と「CSODIMM(Clocked SODIMM)」がIntel Z890チップセット搭載マザーボードでサポートされている。これを受けて、10月下旬からはDDR5-8800のような超高速メモリが店頭に並ぶようにもなっている。
その他、フラッシュ関連ではmicroSDXCメモリーカードの最大容量を更新する2TBの「EXCERIA PLUS G2」が6万7000円で2月下旬に登場した。3.5インチHDDも1月に販売が始まったSeageteのエンタープライズ向けモデル「Exos X24 24TB」(ST22000NM000E)により、最大容量が24TBに更新されている。初回の価格は9万5000円弱だった。
2025年も基幹パーツの進化と共に、PCを自作するという行為や仕上がりに関するまた新たな提案が登場するはずだ。ロードマップのない進化の過程が、PCパーツ街に刻まれていくことになるだろう。
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