立体での「映え」を意識する潮流が生まれた2023年:2023年のアキバまとめ【後編】(1/4 ページ)
1年を通して振り返ると、とりわけショップ内の様相が大きく変わったのはPCケース売り場かもしれない。10万円超のマザーボードが増え、96コアのCPUも登場した。年の瀬に2023年のアキバ自作街を振り返ろう。
PCケースのトレンドは、1年かけて形成された感がある。2023年1月にフロントと左側面の間に支柱を置かないピラーレス仕様の「H9」シリーズがNZXTから登場し、ヒットしたのが皮切りだ。ピラーレスを実現したケースはHYTEから2022年4月に登場した「Y60」などがあったが、1年を通して複数のショップで売れ筋に挙げられるほどの売れ方をしたのは「H9」が初めてだった。
PCの内部を立体で鑑賞できるピラーレスケースがブームに
その後、8月にはフロントから背面にかけてコの字で曲げた強化パネルが覆うmicroATXケース「TK-1 White」がJONSBO SHENZHEN TECHNOLOGYから登場し、9月にはピラーレス構造も選べるLian-Liのミドルタワー「O11D EVO XL」が売り場に加わるなど、選択肢が広がっていく。
11月以降は、その動きが加速した。NZXTの「H6 Flow」やPC Coolerの「C3T500-ARGB」、DeepCoolのE-ATXケース「CH780」、フロントと左側面の間にタッチパネル液晶を加えたHYTEの「Y70 Touch」、天面を含む3面ピラーレスを実現したLian-Liの「O11 Vision」、フロントと左側面を曲面ガラスでつないだMONTECHの「KING 95 PRO」が立て続けに登場し、PCケース売り場の景色を大きく変えていった。
年末に複数のピラーレスケースが選べる状況の中で、TSUKUMO eX.は「今でも一番人気はH9シリーズですが、他にもたくさん選べる状況になっていて、工夫次第で面白くできそうですよね。自作欲を高めてくれたらと思います」と話していた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 街は回復するも、自作予算の青天井は止まらない
コロナ禍が収まった電気街の様子は2019年以前に近くなったが、売れ筋パーツの価格はその頃から大きく上昇している。とりわけ目立つのはグラフィックスカードだ。前編はそこにスポットを当てて2023年を振り返る。 - 落ち着かない価格、ヒットを続ける30万円のグラフィックスカード
2022年のアキバまとめ前編は、グラフィックスカードの動向を中心に振り返る。1年を通して価格と供給量が不安定な中、秋にはGeForce RTX 4090搭載カード、年末にはRadeon RX 7900 XTX搭載カードが登場した。そして、いつの間にかハイエンド級の価格感も変わっていた。 - コロナ禍の影響と子供連れが減ったアキバ自作街の1年
2022年の自作街を振り返ると、ここ3年で最もコロナ禍の影響が薄まったといえる。自作PCのプラットホームは1年を通してIntelが主流を担ったが、AMDも随所で存在感を放って市場を盛り上げた。 - 2021年のアキバ自作街は「警戒」に終始した
コロナ禍による対面営業の難しさと、半導体不足による慢性的な供給の不安定さ。そして、熱狂的なマイニングブームによる特定パーツの払底。1年を通して警戒すべきことが多かった2021年のアキバ自作街を振り返りたい。 - 曲面ガラス採用のピラーレスケース&スニーカー型PCがショップ店頭に登場
年末年始はPC一新の需要が高まるタイミングでもあり、それを見越して斬新なPCケースが並ぶ時期でもある。ピラーレスのPCケースも多彩なモデルから選べる。