「GeForce RTX 5070 Ti」は4K/ウルトラ設定でモンハンワイルズを快適にプレイできる? NVIDIAの新GPUを試す:カードの寸法はよく確かめて(2/3 ページ)
早速3Dグラフィックスをテスト……と思ったら物理的トラブルが
ここからはGeForce RTX 5070 Tiの実力をベンチマークテストを通してチェック……と行きたかったのだが、ここで想定外(というより考慮外)のトラブルが発生する。
前回と同様に、今回もIntel NUC 13 Extreme Kitを使って比較しようと思ったのだが、本キットのPCI Expressカードの長さの上限は約313mm。それに対して、GeForce RTX 5070 Ti GamingProの長さは約331.9mm。物理的に入らないのだ。
ここで取れる手段は幾つかあった。類似スペックでより大きなボディーを備えるPCで試すということも考えたのだが、機材を手配する時間がない。ライザーケーブルを使って、グラフィックスカードを外に出すという方法が手っ取り早いのだが、ライザーケーブルを介することによるパフォーマンスに与える影響が気になる。そもそも、PCI Express 5.0の伝送に耐えうる高品質ケーブルはかなり高価だ。
結局、今回は本キットのボディーを可能な限り解体し、ベンチマークテストに影響のないように配慮してカードを差し込むという選択肢を取った。カードのサイズをよく確認しなかったがために、このような手間を掛けるはめに……。GeForce RTX 40/50シリーズのFounders Editionは問題なく組み込めたので“油断した”というのもある。
小型のPCケースに組み込むグラフィックスカードを選ぶ際は、事前に寸法をよく確認したい。
念のためにNZXT製のPCI Express 4.0 x16ライザーケーブル(AB-RC200-B1:実売価格1万4000円〜1万7000円)を用意しておいた。今回のテスト環境においてPCI Express 5.0 x16でのリンク(伝送)も行えることは確認できたのだが、テストでは利用しなかった(今後、機会があったら試してみようと思う)
気を取り直してパフォーマンスをチェック!
そんなこんながあったが、ここからはGeForce RTX 5070 Tiの実力をベンチマークテストを通してチェックしていく。今回レビューするIntel NUC Extreme Kitの主な仕様は以下の通りだ。
- CPU:Core i9-13900K
- Pコア:8基16スレッド(3GHz〜5.8GHz)
- Eコア:16基16スレッド(2.2GHz〜4.3GHz)
- メモリ:DDR5-5600 32GB SO-DIMM×2(Kingstone製)
- ストレージ:1TB SSD(1000G Kingston FURY Renegade PCIe 4.0 NVMe M.2 SSD)
- OS:Windows 11 Pro バージョン24H2
今回は、前回のテスト結果を流用してスコアを比較する。グラフィックスドライバ(NVIDIA Game Ready)のバージョンは以下の通りだ。なお、GeForce RTX 5070 Tiは標準のPモードとしている。
- GeForce RTX 3080 Ti/4080:バージョン566.36(製品版)
- GeForce RTX 5080:バージョン572.12(β版)
- GeForce RTX 5070 Ti:バージョン572.43(β版)
3DMark
ULの3Dグラフィックスベンチマークテストアプリ「3DMark」では、DirectX 11/12 APIを利用する主要なテストを実行した。総合スコアは以下の通りだ。
- GeForce RTX 5070 Ti
- Time Fire Strike(フルHD/DirectX 11):4万3938ポイント
- Time Fire Strike Extreme(WQHD/DirectX 11):3万2087ポイント
- Time Fire Strike Ultra(4K/DirectX 11):1万8049ポイント
- Time Spy(WQHD/DirectX 12):2万6102ポイント
- Time Spy Extreme(4K/DirectX 12):1万3222ポイント
- Port Royal(4K/DirectX Raytracing):1万8818ポイント
- Speed Way(4K/DirectX 12 Ultimate):7649ポイント
- GeForce RTX 5080
- Time Fire Strike(フルHD/DirectX 11):4万6021ポイント
- Time Fire Strike Extreme(WQHD/DirectX 11):3万5924ポイント
- Time Fire Strike Ultra(4K/DirectX 11):2万1294ポイント
- Time Spy(WQHD/DirectX 12):2万9553ポイント
- Time Spy Extreme(4K/DirectX 12):1万5378ポイント
- Port Royal(4K/DirectX Raytracing):2万1875ポイント
- Speed Way(4K/DirectX 12 Ultimate):8983ポイント
- GeForce RTX 4080
- Time Fire Strike(フルHD/DirectX 11):4万2502ポイント
- Time Fire Strike Extreme(WQHD/DirectX 11):3万645ポイント
- Time Fire Strike Ultra(4K/DirectX 11):1万7332ポイント
- Time Spy(WQHD/DirectX 12):2万6251ポイント
- Time Spy Extreme(4K/DirectX 12):1万3375ポイント
- Port Royal(4K/DirectX Raytracing):1万8048ポイント
- Speed Way(4K/DirectX 12 Ultimate):7358ポイント
- GeForce RTX 3080 Ti
- Time Fire Strike(フルHD/DirectX 11):3万8287ポイント
- Time Fire Strike Extreme(WQHD/DirectX 11):2万3598ポイント
- Time Fire Strike Ultra(4K/DirectX 11):1万2699ポイント
- Time Spy(WQHD/DirectX 12):1万9689ポイント
- Time Spy Extreme(4K/DirectX 12):1万104ポイント
- Port Royal(4K/DirectX Raytracing):1万3125ポイント
- Speed Way(4K/DirectX 12 Ultimate):5330ポイント
基本的には「5080には負けるが4080には勝ち越し」といった感じだ。
5080との性能差は5〜16%程度で、テストによっては各種コアの削減幅ほどの差は出ていない。比較的健闘しているように見える。
一方、対4080という観点では、テスト内容によっては負けているものの、負けたもののスコア差は1%程度となっている。先代の1つ上位の製品とおおむねイーブンの性能となっているのは時代の進歩といえるのかもしれない。
FF14ベンチマーク
続けて、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」を試してみよう。本ゲームの場合、解像度プリセットはHD(1280×720ピクセル)/フルHD/4Kの3種類だが、今回はフルHD/4Kと、カスタム解像度としてWQHDを「最高画質」のフルスクリーン表示でテストした。本プログラムでは、GeForce RTXシリーズの超解像技術「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」を利用できるが、今回は「60fpsを下回る場合に有効」としている。
結果は以下の通りだ。
- GeForce RTX 5070 Ti
- フルHD:2万9268ポイント
- WQHD(カスタム解像度):2万4651ポイント
- 4K:1万3635ポイント
- GeForce RTX 5080
- フルHD:2万9860ポイント
- WQHD(カスタム解像度):2万6559ポイント
- 4K:1万5865ポイント
- GeForce RTX 4080
- フルHD:3万277ポイント
- WQHD(カスタム解像度):2万3988ポイント
- 4K:1万3849ポイント
- GeForce RTX 3080 Ti
- フルHD:2万6128ポイント
- WQHD(カスタム解像度):2万362ポイント
- 4K:1万1395ポイント
対5080で見てみると、解像度が高まるほどに差を付けられている。フルHDでは2%のスコア差だったものが、4Kでは14%差に広がっている。恐らく、負荷の高い4K解像度でのテストが“地力の差”になっているのだろう。
一方、対4080ではWQHD解像度で勝利し、フルHD/4K解像度では敗北している。ただし、4Kでの差はわずかだった。もちろん、対3080 Tiでは“完勝”だ。
グラフィックスカードのサイズはさておき、NUC 13 Extreme KitにおいてGeForce RTX 3080 Tiからのリプレースをする場合はGeForce RTX 5070 Tiの方がバランスを取りやすいように思える。
Cyberpunk 2077(DLSSテスト)
ここ数年はハイエンドGPUでも荷が重い「超・超重量級ゲーム」が存在する。その典型例が、CD PROJECT REDの「Cyberpunk 2077」だ。このタイトルは最新技術を取り入れることにも積極的で、1月23日に公開された「パッチ2.21」では最新の「DLSS 4」に対応し、GeForce RTX 50シリーズでは「マルチフレーム生成」によるフレームレート向上を実現し、超解像処理に用いるAIモデルに新型の「トランスフォーマーモデル」も導入された(従来モデルも選択可能)。
そこで今回はパッチ2.21を適用本ゲーム上で、プリセット設定では一番高負荷となる「レイトレーシング:オーバーレイ」をベースに4K解像度におけるゲーム内ベンチマークテストの平均フレームレートを計測した。今回はGPUによって使えるDLSS設定が異なるが、有効にした場合は全てAIモデルをトランスフォーマーモデルとしている。結果は以下の通りだ。
- DLSSオフ(ネイティブ解像度)
- GeForce RTX 5070 Ti:15.87fps
- GeForce RTX 5080:19.83fps
- GeForce RTX 4080:16.1fps
- GeForce RTX 3080 Ti:4.85fps
- DLSSオン(フレーム生成オフ)
- GeForce RTX 5070 Ti:51.74fps
- GeForce RTX 5080:60.07fps
- GeForce RTX 4080:53.38fps
- GeForce RTX 3080 Ti:38.83fps
- DLSSオン(フレーム生成2X)
- GeForce RTX 5070 Ti:88.96
- GeForce RTX 5080:95.81fps
- GeForce RTX 4080:90.88fps
- DLSSオン(マルチフレーム生成3X)
- GeForce RTX 5070 Ti:126.37fps
- GeForce RTX 5080:136.35fps
- DLSSオン(マルチフレーム生成4X)
- GeForce RTX 5070 Ti:158.82fps
- GeForce RTX 5080:173.3fps
スコアを見ると、5080には完敗だ。各種コアが減った分だけ順当に性能も落ち込んでいるという印象だ。一方、4080と比べた場合は「DLSSオフ」から「フレーム生成2X」まで(つまりGeForce RTX 40シリーズと共通利用できる設定)では2〜3%差で負けてしまっているものの、GeForce RTX 50シリーズ固有の「マルチフレーム生成」が使える段に入ると水を得た魚のようにフレームレートを伸ばす。
ゲームにおいて「高解像度かつ高フレームレート」をとにかく重視したいという場合は、5070 Tiも十分に現実的な選択肢となりそうだ。
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