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Sonosのサウンドバー「Arc Ultra」は“さり気ない”最新技術が光る コンパクトなのに良い音を実現した秘密は?本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/4 ページ)

Sonosが1月に発売した新型サウンドバー「Sonos Arc Ultra」は、サイズの割に低音域の再生能力が高いことが特徴なのだが、実は見どころは他にもある。しばらく使った上で、その強みを語っていきたい。

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コンピュテーショナルオーディオによる高度な「サウンドレンダリング」

 Sound Motionは、ウーファーユニットにおける機構設計を工夫している。ある意味で、スピーカーとしては“王道の”技術革新だ。一方で、Sonosは「コンピュテーショナルオーディオ」による複雑な信号処理と、ドライバーユニットの指向特性と精密な配置を組み合わせた“音作り”も得意としている。

 Arc Ultraの場合、内部に14基のドライバーユニットが精密に配置されている。物理的には5.1.4ch相当分のユニットしか備えていないのだが、ユニットごとに方向と指向性を操り、それぞれに信号処理を施すことで9.1.4ch相当のサラウンドを再現している。

 天井方向への「アップファイアリングスピーカー」、側方への「サイドファイアリングスピーカー」をたくみに連携させ、天井と壁からの反射を生み出す。これと正面に向けられたユニットの組み合わせで、包み込むような音響体験を創出する。

 またセンターチャンネルのドライバーは、広角のウェーブガイドが設けられており、幅広い視聴位置から明瞭なセリフを中央に定位させる。この際、アップファイアリングスピーカーと組み合わせ、映像の中で声が聞こえるようにしつつ、ダイアログエンハンサーで音声の明瞭度を向上させる信号処理も選べる。

 騒がしいアクションシーンの中でも、明瞭にセリフが聞き取れるバランスの良いチューニングは、単に派手なサラウンド空間を演出するだけではなく、映像作品を楽しむためのキモをSonosが理解していることを意味している。

スピーカーユニット
先に紹介したSound Motionを適用したウーファーユニットを含めて、Arc Ultraには14基のスピーカーユニットが搭載されている

空間オーディオの効果を高める「Trueplay」技術

 こうしたコンピュテーショナル・オーディオ技術の巧みな応用を支えているのが、Sonos独自の音場補正システム「Trueplay」だ。

 Trueplayはサウンドバー(スピーカー)を設置した室内の音響特性を分析し、最適なサウンドバランスを導き出す仕組みとなる。大きく分けると「クイックチューニング」と「詳細なチューニング」の2つがあり、クイックチューニングでは本体内蔵のマイクで自らが出す音を拾いながらバランスを取る。

 名前からも分かる通り、音響効果をより高められるのは詳細なチューニングだ。この方法では、「Sonosアプリ」を介してスマートフォンの内蔵マイクを用いて想定視聴位置から部屋の隅々まで、室内のあらゆるスポットの音響特性を計測し、それをクラウド上で分析することで最適な補正を得る。以前はiPhoneアプリ限定の機能だったが、現在はAndroidスマホでも利用可能だ。

Trueplay
Arc Ultraは、Sonos独自の「Trueplay」に対応している。本体単体でのクイックチューニングの他、スマホを併用する詳細なチューニングも用意されている

 Trueplay自体は、従来のSonos製スピーカーにも搭載されてきたものだが、継続的に改良が施されている。特に本機(Arc Ultra)では「Dolby Atmos」の本格的な空間オーディオを“再現”する際に大きな効果を発揮する。また後述するように、サブウーファーやサラウンドスピーカーを追加する際にも、実に簡素な手法でありながらも的確な補正効果を出してくれる。

 Arc Ultraを単体で利用する場合、人間の聴覚心理を応用した音場再現アルゴリズムで物理的には5.1.2チャンネル相当のドライバー構成から9.1.4チャンネル相当の音響体験を生み出す。単なるバーチャルサラウンド処理ではなく、仮想ドライバーを作って再現するのだが、この際の信号処理をより的確にするのだ。

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