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あの名コンビの声が“公認AI”で6カ国語に! 麻布台ヒルズ「まんが日本昔ばなし展」で体験するAI音声の最前線古田雄介のデステック探訪(2/2 ページ)

放送開始から半世紀を迎える名作「まんが日本昔ばなし」が、市原悦子さんと常田富士男さんのあの声のまま、多言語化されて現代によみがえった。開発を主導するVOICENCEカンパニーのCEOに話を聞いた。

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双方向コミュニケーションも可能な技術

 VOICENCEカンパニーが立ち上がったのは2025年10月のことだった。もともと提供エリア内で通信事業の競争が激しかった背景もあり、NTT西日本には新たな収益の柱が生み出せるような体制を求める土壌があった。

 そこで、花城さんはバックオフィス機能を母体に委ねながら、柔軟に事業展開ができる社内カンパニーを立ち上げ、動き出したのだという。

VOICENCEカンパニー長/CEOの花城高志氏
VOICENCEカンパニー長/CEOの花城高志さん

 核になるのは、公認AI音声技術だ。社内カンパニーを立ち上げる1年以上前から研究を重ねていた。特定の音源から特定の人物の音声を抽出してAI音声にする技術は、既に世の中に存在している。問題はいかに“公認”のAI音声、すなわち権利を守りながらAIで活用できる音声とするかだ。

 そこで同社は、提供された音源データから条件にあったAI音声を作り、そこからコンテンツを生み出すまでのプロセス全体を知的財産=音声IPとして管理する枠組みを作った。

 データの証明技術(Verifiable Credentials)とブロックチェーンにより、音声データの加工履歴を階層的に記録し、それぞれの過程で契約内容の履行が証明できるようにした「トラスト技術」を開発。これにより第三者の改ざん、あるいは契約の範囲外に及ぶ編集加工などができないようにしている。

 完成した作品は、同社であっても無断の変更ができない(実行すると履歴が残る)仕組みだ。

「トラスト技術」(特許出願中)の仕組み
「トラスト技術」(特許出願中)の仕組み

 この技術により、音声の提供元が求める条件に沿いながらAIで加工し、世に出した後も改ざんを防ぐ運用が可能になった。意図しない音源が世に出るエラーも防げる仕組みだ。

 花城さんは「今回でいえば(まんが日本昔ばなしの企画・管理会社である)愛企画センターさんに生成された音源をお聞きいただいた上で実装しています。市原さんや常田さんの声を皆が自由に使えるというサービスではないので、そこはご安心いただけたら」という。

 生成可能な音源には現役の声優や俳優、アーティストだけでなく故人も含まれる。故人の場合は本人から了承を取り付けるのは不可能だが、遺族などの関係者に話を通すことを徹底しているという。

 今回も愛企画センターだけでなく、市原さんと常田さんの遺族からも賛意を得ているそうだ。

 なお、この技術は対話型のサービスにも実装可能だ。その場合はプロンプトでNGワードなどを指定して振る舞いの範囲を定めたものを生成して、そこにトラスト技術を適用する流れとなる。

 実際、NTT西日本は2026年3月に俳優の別所哲也さんが一人二役で演じる音声CMを公開したが、その告知イベントで対話型の“AI別所哲也”を披露したという。

NTT西日本のAI音声CM「知っている2人」の公式ページ
NTT西日本のAI音声CM「知っている2人」の公式ページ

 サービスを展開する上で難しいのは、技術面よりも倫理面の管理だ。花城さんは、鍵になるのは生成したAI音声の使われ方だと強調する。「生成したものをコンテンツとして作って世に届けること。声だけが切り出されるのではなく、作品として見てもらえるような、そういうプロデュースが大事だと思います」

 VOICENCEの技術は、VTuberのような映像コンテンツとの組み合わせも可能だという。声の主や関係者の権利を守りながら、かつての音源を生かせる道筋が増えれば、さまざまなコンテンツ作成にプラスに働くことが期待ができそうだ。

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